「ルーニー移籍」「セスクがプレミアリーグ希望」…予断を許さないマンチェスター・ユナイテッドの周辺事情
私は、レアル・マドリードやパリ・サンジェルマン、マンチェスター・シティ、最近ではモナコのような「資金力で短期的に高額選手を集めているクラブ」はあまり好きではありません。クラブは移籍で強化するのみならず、自国の選手をしっかり育成して、そこからスターを輩出しなければアイデンティティを失ってしまうと考えるからです。25年以上、マンチェスター・ユナイテッドを応援し続けている理由のひとつは、彼らが自国出身の生え抜き選手を多数、ピッチに送り出してきたことにあります。同様の理由で、プレミアリーグ以外では、デル・ピエロのユヴェントスや、バレージ、マルディーニのACミラン、バイエルン・ミュンヘンにも好感を持っています。そしていつも、資金力のあるクラブに闘志を燃やすのです。長期的なチームづくりをしているクラブは、金で選手を買うだけ(=あくまでもこの表現は”闘志の燃やし方”であり、事実ではない場合もあります。すみません)のクラブに勝って、その正しさを証明してほしい、と。
その趣旨でいえば、下部組織のしっかりしたバルセロナは好きなクラブのほうに入るのが自然なのですが、理由があって、上記の資金力のあるクラブよりも好きではありません。というより、はっきりいいましょう、世界のサッカークラブのなかで、唯一嫌悪感があるクラブなのです。大量に高額補強をするクラブに対しては「違うんじゃない?」と思いながらも時にリスペクトもあり(特に、最近のマンチェスター・シティの補強のうまさ)、チェルシーやアーセナル、リヴァプールなど、プレミアリーグのライバルクラブを「嫌い」と思ったことなど一度もないにも関わらず、です。
なぜ嫌いなのかといえば、話は数年前、アーセナルに所属していたセスクにバルセロナへの移籍話があったときに遡ります。何かのパレードで、ジェラール・ピケが、まだアーセナルとの契約があるセスクにバルセロナのユニフォームを着せたのです。これを観て、アーセナルのファンの心情を慮りました。裏切り行為に映るだろうな、と。実際、同じバルセロナに移籍したアンリに比べて、セスクに対して冷ややかなグーナーは多いんですよね。あれだけの功労者なのに、とても残念です。
つまりこういうことです。バルセロナの選手は、自チームの他の選手の移籍話や、他クラブから来るといわれている選手に対してひとこと多く、余計なことをし過ぎるのです。今回のセスクの移籍についても、イニエスタ、ソング、ピケが「絶対にない」と話しており、ピケにいたっては(この人がいちばんやっかい)「マンチェスター・ユナイテッドは時間をムダにしている」とまでいっています。バルサ愛のなせる技なのかもしれませんが、人のキャリアや他チームの方針に口をはさむ行為は私にはとても傲慢に映ります。「いなくなったら寂しい」「チームにとって大事な選手」といったコメントならまだしも、必要以上に他クラブに対して攻撃的。現役選手が評論家みたいなことをいうのはやめなさいよ、大きなお世話だよ、といいたくなります。
そうそう、抜く抜かれる、といえば、チェルシーがルーニー獲得に、最大3000万ポンド(46億円)まで用意する、といっているようですね。本人のコメントも代理人の動きも報道がないので何ともいえませんが、移籍しないとルーニーのモチベーションが上がらないのであれば、クラブとしても決断せざるを得ないかもしれません。私は、長年の活躍でチームのシンボルとなっているルーニーには、ぜひマンチェスター・ユナイテッドでキャリアを終えてほしいと願っていますが、モイーズのいう4-3-3のシステムには彼の望むレギュラーストライカーの椅子は一つしかなく、そこにはプレミアリーグ得点王となったオランダ代表のエースが座っています。1年前、ファン・ペルシをお得な価格で獲得できたときは、これでチームが強くなると喜んだのですが、彼より若いルーニーを失うとなると、そのプラスマイナスは微妙ですね…。やはり、移籍の損得勘定は難しい、と最後は月並みなひとことで。
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