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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

王様は裸なのか…ジョゼ・モウリーニョの悲しき90日戦争。

トップレベルで、監督とチームの将来について話し合われるだろう(リオ・ファーディナンド)」「モウリーニョは仕事を失うだろう。彼がチームをよくすることはできないと思う(アラン・シアラー)」。ウェストハム戦の惨敗がトリガーだったかのように、プレミアリーグの評論家たちが、モウリーニョ解任説に傾いています。「クラブ史上最悪のシーズン」というファーディナンド氏の言葉は、過去29シーズンの最少勝ち点という数字に裏付けられており、「最初から最後まで絶望的だった。あまりにもスロー、無気力、そして脆かった」とウェストハム戦の出来に顔を曇らせたシアラー氏に、深くうなずいたサポーターも少なくないでしょう。私が絶望的な気分になったのは、カラバオカップと週末のプレミアリーグにおける指揮官のコメントです。「個別の選手についてコメントしたくない」とプレスを牽制していた指揮官は、自ら前言を撤回してしまいました。

「(PK戦が)6~7巡めと進んだときに、(フィル・)ジョーンズやエリック(・バイリー)で危なくなるとわかっていた」(カラバオカップ3回戦のダービー・カウンティ戦について)
「マルシャルを起用したのは、あなたがたがずっと”マルシャル”といい続けてたからだ。だから、サンチェスを外した」(プレミアリーグ7節のウェストハム戦の試合後会見にて)

少なくとも4人のモチベーションを下げるであろう心ない発言に、慄然としました。いずれも、語る必要のない話でしょう。今のボスには、選手たちが見えていないのではないか…。CBを獲るべき、マルシアルを売るべきと主張した8月の自分は正しかったはずと、未だ拘泥しているようにしか受け取れませんでした。

ポグバ、マルシアル、ラシュフォード、バイリーとの確執が報じられている指揮官について、「That was as bad as you’ve seen from a United team for a long time(長い間見てきたユナイテッドで最悪の状態)」と嘆いたのはポール・スコールズ。クラブOBの見解を紹介した「BBC」は、望みどおりにいかない補強に端を発したネガティブなモウリーニョ語録を「Mourinho’s ‘mini wars’ this season(今季のモウリーニョの小さな戦争)」と題して時系列でまとめています。

7月29日/モウリーニョ vs プレシーズンツアー 「私がファンなら、こんな試合は観に来ない」
7月29日/モウリーニョ vs ウッドワード 「私は数ヵ月前に、5人のリストを出している」
8月10日/ウッドワード vs モウリーニョ「マネージャーのCB補強を経営ボードがブロック」
8月28日/モウリーニョ vs メディア 「リスペクト、リスペクト、リスペクト!」
9月1日/モウリーニョ vs マルシアル「プレシーズンにチーム合流で揉めたFWの放出を画策」
9月24日/ポグバ vs モウリーニョPART1「ホームならアタック、アタック、アタック!」
9月25日/モウリーニョ vs ポグバPART2 「問題ないけど副キャプテン剥奪」
9月26日/モウリーニョ vs ポグバPART3 「トレーニング場で一触即発事件」

腹心ルイ・ファリアと2人3脚で築いた強固な守備戦術とトレーニングメソッド、ベテラン選手たちを心酔させ、120%の力を発揮させる魔法の言葉。チャンピオンズリーグ、プレミアリーグ、セリエA、ラ・リーガを次々と制した稀代の名将は、自らの成功の基盤となっていた2つの武器を手離していました。ルイ・ファリアが去ったチームは、昨季プレミアリーグでマン・シティに次ぐ28失点に抑えた機能的な守り方を忘れ、たった7試合で12失点。若手との橋渡し役を担ってくれたズラタンやルーニーの不在によって、ドレッシングルームの秩序は失われてしまいました。王様は裸なのか、誰が彼を孤独から救えるのか。不満をマスコミに発さず、まずは選手と対話してくれと進言する存在があれば、たった90日で事態はここまで悪化しなかったかもしれません。

2015-16シーズン、前季のプレミアリーグを制したモウリーニョ第二次政権の3年め。スウォンジーとの開幕戦で、アザールの治療のためにピッチに入ったエヴァ・カルネイロさんを罵倒したことがトリガーとなり、過去に見ない混乱を招いてクラブを去ったあのシーズンも、ババ・ラーマンやケネディ、ジロポジといった補強に対する不満が背景にありました。あのときのチェルシーで、複数の選手が突如バーンアウトして勝てなくなったのを見たときは、ただただ混乱するばかりでしたが、今は悲しみを覚えます。2016年の夏、モウリーニョ監督がキャリントンにやってきたとき、私のなかには2つの大きな期待があったのです。

この年の新戦力には、ズラタン・イブラヒモヴィッチ、ポール・ポグバ、ヘンリク・ムヒタリアンがいました。マンチェスター・ユナイテッドで、攻撃的なフットボールにモデルチェンジするのではないか。チェルシーで味わった失敗を糧にして、長くチームを成長させてくれる新しいジョゼ・モウリーニョに出会えるのではないか…。2年3ヵ月を経た今、攻撃は前線の補強で唯一成功したルカク頼み、バイリーとリンデロフを育てるはずだったCBに6人めを加えるかどうかが「90日戦争」のひとつの種となりました。補強した選手たちを活かせず、若手との軋轢ばかりが話題となっている指揮官は、ボクシングデーを待たずして去るのではないでしょうか。ジネディーヌ・ジダンが英語のレッスンを始めたと報じられています。

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“王様は裸なのか…ジョゼ・モウリーニョの悲しき90日戦争。” への3件のフィードバック

  1. ペップの街 より:

    チェルシーでの美人医師への罵倒事件が終わりの始まりだったのかな。自分へのリスペクトばかり要求し、自分は誰もリスペクトしない「裸の王様」。
    かってはチームを掌握するために裏方や掃除夫にまで接して意見を聞いたあのエピソードももはや伝説の中なのでしょうか。
    スパーズに0ー3で完敗した時の「3はプレミア制覇の回数だ」と負け惜しみを放った頃はまだテンション保っていたのかも。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    「失敗のスペシャリスト」
    他人にこんなこと言える立場ではないですね。
    時代の移ろいを感じます。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    チェルシーの時も会見でナッシングトゥセイ連呼したのが今季のリスペクト連呼に通ずる物がある
    こういうのがモウがダメになった合図かも

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