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「BBC」の敏腕記者がフラットにレポート「スールシャール監督の可能性と限界」

How bad is the latest crisis for Ole Gunnar Solskjaer’s side?(スールシャールサイドにとって、最近の危機はどれほど悪い状態なのか?)」。降格ゾーンと2ポイント差のプレミアリーグ12位に沈み、インターナショナルマッチウィークにおけるゴシップの主役に躍り出たスールシャール監督をテーマに、「BBC」のサイモン・ストーンさんがフラットなレポートを配信しています。休み明けの9節にオールド・トラフォードで開催されるリヴァプール戦に敗れれば、残留バトルに巻き込まれるチームについて、「過去30年では最悪のスタート」「直近15試合の14ポイントは、同期間にプレミアリーグに在籍したクラブのなかでは下から4番め」「ショットコンバージョン8.2%は15位」と厳しいスタッツを列挙。過去8回のレッズ戦で1度しか勝っていないという不穏な数字を紹介しつつ、指揮官をフォローすべき状況についても言及しています。

プレミアリーグ開幕節でチェルシーに4-0と圧勝した後のウルヴス戦は、「ポグバがPKを決めていれば勝てた試合だった」。その後、負傷者が続出したのも不運だったとして、1-0で敗れた8節のニューカッスル戦には、チェルシーを蹂躙したメンバーからデ・ヘア、マグワイア、マクトミネイ、アンドレアス・ペレイラ、ラシュフォードの5人しか残っていなかったと指摘しています。

「最近の7試合中5試合を足首の負傷で欠場したポグバをはじめ、チェルシー戦にいた選手たちが揃えば、パフォーマンスも結果もよくなるはず」という主張については、賛否両論あるでしょう。モウリーニョ監督解任の後を受けたレジェンドが、9人の入れ替えが必要と主張していたにもかかわらず、放出できたのは3人に留まり、望んだ選手を獲れなかったのも”情状酌量”の余地ありとしています。

ベストメンバーで戦えれば勝てるのか?1月に補強できればプレミアリーグのTOP6には残れるのか?戦力の問題は、スールシャール体制の継続が妥当かどうかに直結する重要なテーマです。1999年のCL決勝で、カンプ・ノウの奇跡に号泣したサポーターとしては、スールシャールで勝ってほしいというのが唯一最大の願いではあるものの、これまでの足跡を冷静に辿れば悲観的にならざるを得ません。「降格に向かっている」「次節の結果次第で解任」「後任はナーゲルスマン」などのゴシップが吹き荒れるなか、サイモン・ストーンさんの冷静な筆致には感謝しているのですが、「もはやスールシャール監督の指示に、選手たちは反応しないのではないか」という不安を消し去れないのです。

昨年末、暫定監督に就任したスールシャールさんには、それまでのモヤモヤを吹き飛ばす明快なメッセージがありました。攻撃的なフットボール、選手と対話する姿勢、自主性の尊重。戦術的には粗削りではあったものの、ラシュフォードの最前線コンバート、右サイドのリンガードを中央に走らせるアタック、ルカクのウイング起用など興味深いアイデアが次々と繰り出され、ポグバが上がった後のスペースをマティッチとエレーラで埋める中盤も機能していました。ラシュフォードは20節のボーンマス戦から4戦連発、ポグバは最初の5試合で4ゴール4アシスト。「攻撃しないなんてばかげている」とうそぶく指揮官の下で、生え抜きのエースとワールドクラスのプレーメイカーが結果を出したあの頃、ささやかでも夢を見たサポーターが圧倒的に多かったのではないでしょうか。

私も、ハイテンションでチャントをがなり立てたサポーターのひとりです。最終的な順位はともかく、あの戦い方を貫いてシーズンを終えてくれていれば、今季も全幅の信頼を置いて新チームを見守っていたでしょう。スールシャール監督への信頼が揺らぎ始めたのは、4月に入ってからです。バルサショックの後、若き指揮官はチームをいじるようになりました。4-3-1-2、4-2-3-1、3バック。リンデロフがSBで起用される試合もあり、守備は徐々にバランスを失い、スローなアタックが目立つようになります。ほとんど5バックだったマンチェスター・ダービーに「この戦い方ならモウリーニョさんが数段上」と絶句し、攻めるというポリシーを捨てたのに果実を得られなかった最悪の結末を見て、チームの行く末を危惧しました。

エレーラとマティッチの負傷がチーム作りを難しくしたのは確かですが、元々緩かった基盤が崩れてしまうほどのいじり方に、不安が頭をもたげたのでした。「負けが込むと冷静さを失ってしまう監督なのではないか」「選手たちは混乱し、再びモチベーションが下がっているのではないか」。新シーズンは最高のスタートでしたが、2度のPK失敗でウルヴスとクリスタル・パレスに勝ち点をプレゼントすると、チームは春のカオスに引き戻されたように見えました。モウリーニョ監督が築いた守備のベースの上に、急いで立ち上げた砂上の楼閣。同じく苦しんでいるポチェッティーノ監督には、原点回帰という選択肢がありますが、スールシャール監督に戻れる場所はなさそうです。

プレミアリーグ19位のニューカッスルに、1-0で敗れた8節の絶望的な終盤戦。空中戦が得意とはいえないグリーンウッドやタヒス・チョンを投入しながら、マグワイアにロングフィードを入れさせるちぐはぐな放り込みを見て、指揮官と選手たちの溝は深まるのではないかと暗澹たる気分に支配されました。足元にしかパスを出せないのは、攻撃における連携のバリエーションを持っていないからで、バイタルエリアが空いてしまうのは、守備の約束事がないからでしょう。攻守とも課題山積のチームは、どこから改善すればいいのでしょうか。

数か月後に、「あの頃は、疑ってごめんなさい」とスールシャール監督に謝れればいいのですが、クリスマスを前にして16位に沈んで解任されたチェルシー時代のモウリーニョさんの足跡をトレースしているように思えてなりません。「However, the alternate view is that Solskjaer is not up to the job and a defeat by Liverpool would merely confirm it.(しかしながら、スールシャールは任に耐えられず、リヴァプール戦の敗北は単にそれを確認するだけという別な見方もある)」。サイモン・ストーン記者は、マンチェスター・ユナイテッドの関係者やサポーターが怖れる厳しい未来の可能性に触れ、筆を置いています。

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“「BBC」の敏腕記者がフラットにレポート「スールシャール監督の可能性と限界」” への16件のフィードバック

  1. ユナサポ より:

    ナーゲルスマン就任の噂がありますが、実現するわけがないと思っています。
    今季ライプツィヒに就任したばかりの上にチームの伸び代はライプツィヒのほうがはるかに上。
    わざわざ途中就任で泥舟状態のユナイテッドに来る理由がありません。
    アッレグリも来シーズンならともかく途中就任で引き受けてくれるとは思えませんし、今シーズンはプレミアの中堅を率いたことのある監督かギグスあたりに頼むくらいしか選択肢はないと思います。

    メンバーが揃わないからスールシャールが悪くないなんて言い訳にもなりません。
    ニューカッスルのメンバーも相当やばいのに、そのチームにすら完封負けですからね。ユナイテッドの選手がもらってるサラリー考えれば勝って当然くらいの差があるのに。
    発言内容だけはポジティブで試合になれば改善も見られず、ただ何も考えずプレスかけるだけのスールシャールサッカーはもう見たくありません。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    個人的にはシーズン途中の解任は反対なんですが、
    擁護することができない状態でもあるのでこのままならいずれシーズン途中での解任になりそうですね。
    ただアッレグリを望む人をよく見ますが、実際どうなんですかね?
    正直アッレグリは実績ぐらいしかあまり知らないのですが時間を与えれば今のユナイテッドのようなチームをうまく復権させれるような人物なんですかね?

    —–
    アッレグリはチームを長期的に強くする監督かは疑問ですが 今いる戦力に最高のパフォーマンスをさせることについては世界一でしょう
    少なくとも今スールシャール解任ならアッレグリが最適だと思います やってるサッカーはくっそつまらないことになると思いますがアッレグリは勝ちだけは計算できます

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    アッレグリ?ナーゲルスマン?ポチェッティーノ?
    皆シーズン途中からの指揮を受け入れる監督には思えないですね。
    降格も見える今季は余り上を望みすぎるのではなく、最低限の結果を出すことを考えて’ビッグ’サム・アラダイスあたりは意外と適任だと思うのですがね。
    テンションが上がるサポーターはいないでしょうがw

  4. makoto より:

    みなさま>
    確かに、厳しい状態のチームではありますが、ユルゲン・クロップは前年6位でロジャース解任時は10位だったリヴァプールを引き受けました。サポーターのひいき目ではなく、マンチェスター・ユナイテッドのブランド力は依然として高いので、チャレンジする監督がいる可能性はそんなに低くはないのではないかと思います。

    売上絶好調で、ルカク資金を「使うのを断念した」クラブなので、1月と来夏に希望の選手を獲れるという口説き方もできます。ワールドクラスを10人連れてくるという命題なら、今の状態では難しいという見方が妥当でしょうが、「その気になってくれるひとり」でいいなら、クラブの情熱と条件次第でしょう。夏に高すぎる選手の獲得を見送ったばかりの今は、指揮官に対していいオファーを出せるという意味では、悪くない状況なのではないでしょうか。

    「スールシャールで復活」が第一希望ですが、厳しかった場合の打ち手についても、悲観しすぎずにウォッチしたいと思ってます。ホントに何が起こるかわからない世界ですので。

  5. UK在住です より:

    (申し訳ありません、古い記事に書き込んでしまいまして、あちら削除お願いできませんでしょうか?)

    最近思うんですが、グレーザー一味とウッディはわざとこのチームを強くしないのではないでしょうか。確か、今は史上最大の収入だったと思いますが、優勝を重ねちゃうと、判官贔屓(?)で売り上げが落ちるのではないかと(根拠のない推測です)。さらに中位ぐらいだと、最終的にアラブの王様がなかなかの金額で買い取るなども想定できますし…(ちょっと前に話がありましたが、金額がまだ低かったのか、まだこのチームで稼げると思ってるのか…)。もし、強くすることで収入が増えるなら、とっくに強くしてる(良い監督を呼んで、その監督の考えた通りに補強する)んではないかと。

    だから我々サポがどうすれば良いのか…ってのはわかんないですが、なんかもうキツイっす…←弱いことにではなくて、状況にです。結局、ファギーの後半も、グレーザーの懐だけって感じでしたし。

  6. プレミア より:

    管理人さんは低迷していたリバプールにクロップが来たことを例にしていますが、その就任条件には移籍の全権をクロップに委ねることがあったことを忘れてはいけないでしょう。
    そしてリバプールのフロントにはその条件を呑むだけの度量があったことも。
    いまだにSDの設置さえ拒むユナイテッドの素人フロントが同じ条件を呑むとは思えません。またモイーズ、ファンハール、モウリーニョといずれも就任前までは名監督と言われていた監督がことごとく失敗したこと。
    ロクな選手がいない現状のスカッド、身内には甘く外様に厳しい口だけは達者なOB,期待値が高すぎる懐古厨のサポーターとマイナス要素だけは腐るほどあります。
    ブランド力は高いからといってシーズン途中から一流の監督が引き受けてくれるだろうなんて予想は楽観的すぎると考えます。

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    さすがと言うべき、スールシャール就任から現在の不調まで見事にまとまったレポートでした。
    実際にこの怪我人の多さは誰が監督でもかなり厳しいですよね。
    逆にいえば、きちんと主力が揃えば…。
    ラッシュフォード、マルシャル、ポグバが絡んだ攻撃に、ショー、リンデロフ、マグワイア、ワンビサカのDFラインが揃えば、一定以上の監督なら最低限トップ6は確保できるはず。

    でも実際スールシャールではもうモチベートできないかな…。
    多くの権限を渡してでもアッレグリを呼んだほうがおそらく…。

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