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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグ案件が何と6割!2014-15シーズン高額移籍金ランキング・TOP30

いろいろなことがありすぎて、 スアレスがプレミアリーグを去ったのが、数年前の出来事のように感じます。「えっ!? 10月末まで試合に出られない選手に110億!やっぱりスペインは凄い」という驚きから始まった2014-15シーズンの移籍市場でしたが、マーケットが締まってみると、投資額No.1はプレミアリーグ。サッカー関連のお金にまつわるさまざまなデータを取りまとめている世界的な会計事務所「デロイト」の調査によると、昨季は6億3000万ポンドだったプレミアリーグ全20クラブの総投資額は、この夏は8億3500万ポンド(約1446億円)に急増。伸び率30%以上は尋常ではありませんが、1位マンチェスター・ユナイテッドの290億円をはじめ、リヴァプール、チェルシー、アーセナルのトップ4で6割弱を占めており、特定のクラブの大型補強が総額を押し上げたという状況です。

プレミアリーグに次いで投資額が大きかったのはスペインですが、総額は意外と少なく4億2500万ポンド(約736億円)。プレミアリーグの半分しかないというのも驚きですが、全体の15%がスアレスと聞いて、さらにびっくりです。3位と4位のセリエA、ブンデスリーガは430~450億円で、この数字はマンチェスター・ユナイテッドとリヴァプールの2クラブ合計の数字より低く、5位リーグ・アンの173億円は、チェルシー単体の投資額よりやや多いぐらい。満員のスタジアムと行列状態のクラブスポンサー、そして放映権バブルで潤う懐の深さをまざまざと見せつけた恰好となりました。これは、チャンピオンズリーグでベスト4進出ゼロというわけにはいきませんね。

そして選手個人に目を向けると、100億円以上が3人、50億円以上が8人と、過去にない規模で大型移籍が頻発したシーズンでもありました。以下に「Transfermarket.de」がまとめた高額移籍金選手のトップ30を紹介しておりますが、ここでもプレミアリーグが大暴れ。全体の6割が、プレミアリーグのクラブが支払う側にまわった案件です。…すみません。マンチェスター・ユナイテッドがトップ10のうち、3件を占めています。いや、私が謝る話ではありませんね。そもそもこれは、サポーターも一緒になって怒っていい話ですから。もちろん、文句をいうのは、「投資が成績に反映されなかったら」です。

とはいえ、選手の移籍金が高騰するのは、クラブの金庫を人件費が圧迫し、中小クラブと強豪クラブの格差を助長する可能性もあるので、あまりいい話とはいえません。マンチェスター・ユナイテッドは2012-2013の売上が580億円(デロイト調べ)という規模で、今季移籍金のマイナスが約230億円。アーセナルは380億円規模に対して今季移籍金支出が約130億円。これに選手や監督、スタッフの給与が加わるとなると、売り上げに対する人件費は、おそらくアーセナルで5割を超える程度。数年前は人件費比率がプレミアリーグ最低レベルだったマンチェスター・ユナイテッドは、6割を余裕で超える計算になります。選手は一方で、グッズやシャツの売上や肖像権使用等によるスポンサー収入に寄与しており、かかるお金ばかりではないものの、リーグがコンペティティブであり続けるために、現在の「プレミアリーグバブル」が一過性のものであることを願うばかりです。マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルは、今までは移籍金抑えめプランでまわしてきたクラブですので、「今季はワケありでいっちゃいました」というだけかもしれませんが。

というわけで、こちらが高額移籍金ランキング・トップ30です。トップラインもさることながら、中堅・若手有望選手の移籍金が、以前よりも明らかに高くなっているのも気になるところではあります。

★2014-15シーズン 高額移籍金ランキング
(金額はすべて推定。青字はプレミアリーグ投資案件)

■1位/ルイス・スアレス(リヴァプール→バルセロナ)
 移籍金8125万ユーロ(約111億2000万円)
■2位/ハメス・ロドリゲス(ASモナコ→レアル・マドリード)
 移籍金8000万ユーロ(約110億円)
■3位/アンヘル・ディ・マリア(レアル・マドリード→マンチェスター・ユナイテッド)
 移籍金7495万ユーロ(約103億5000万円)
■4位/エリアキン・マンガラ(FCポルト→マンチェスター・シティ)
 移籍金5382万ユーロ(約74億3000万円) 
■5位/ダヴィド・ルイス(チェルシー→パリ・サンジェルマン)
 移籍金4950万ユーロ(約67億9000万円) 
■6位/アレクシス・サンチェス(バルセロナ→アーセナル)
 移籍金4250万ユーロ(約58億7000万円) 
■7位/ジエゴ・コスタ(アトレティコ・マドリード→チェルシー)
 移籍金3800万ユーロ(約52億2000万円)
■8位/ルーク・ショー(サウサンプトン→マンチェスター・ユナイテッド)
 移籍金3750万ユーロ(約51億5000万円)
■9位/アンデル・エレーラ(アスレティック・ビルバオ→マンチェスター・ユナイテッド)
 移籍金3600万ユーロ(約49億4000万円)
■10位/ロメル・ルカク(チェルシー→エヴァートン)
 移籍金3536万ユーロ(約48億5000万円)
■11位/セスク・ファブレガス(バルセロナ→チェルシー)
 移籍金3300万ユーロ(約45億3000万円)
■12位/アダム・ララナ(サウサンプトン→リヴァプール)
 移籍金3100万ユーロ(約42億5000万円)
■13位/トニ・クロース(バイエルン→レアル・マドリード)
 移籍金3000万ユーロ(約41億2000万円)
■13位/アントワーヌ・グリーズマン(レアル・ソシエダ→アトレティコ・マドリード)
 移籍金3000万ユーロ(約41億2000万円)
■15位/メフティ・ベナティア(ASローマ→バイエルン・ミュンヘン)
 移籍金2600万ユーロ(約35億9000万円)
■16位/デヤン・ロヴレン(サウサンプトン→リヴァプール)
 移籍金2530万ユーロ(約34億7000万円)
■17位/ラザル・マルコヴィッチ(ベンフィカ→リヴァプール)
 移籍金2500万ユーロ(約34億3000万円)
■18位/マリオ・マンジュキッチ(バイエルン・ミュンヘン→アトレティコ・マドリード)
 移籍金2200万ユーロ(約30億2000万円)
■18位/フアン・マヌエル・イトゥルベ(ヴェローナ→ASローマ)
 移籍金2200万ユーロ(約30億2000万円)
■20位/カラム・チャンバース(サウサンプトン→アーセナル)
 移籍金2023万ユーロ(約27億8000万円)
■21位/マリオ・バロテッリ(ACミラン→リヴァプール)
 移籍金2000万ユーロ(約27億4000万円)
■21位/アルバロ・モラタ(レアル・マドリード→ユヴェントス)
 移籍金2000万ユーロ(約27億4000万円)
■21位/フィリペ・ルイス(アトレティコ・マドリード→チェルシー)
 移籍金2000万ユーロ(約27億4000万円)
■21位/ダニー・ウェルベック(マンチェスター・ユナイテッド→アーセナル)
 移籍金2000万ユーロ(約27億4000万円)
■21位/ジェレミー・マテュー(バレンシア→バルセロナ)
 推定移籍金:2000万ユーロ(約27億4000万円)
■21位/マルコス・ロホ(スポルティング・リスボン→マンチェスター・ユナイテッド)
 移籍金2000万ユーロ(約27億4000万円)
■27位/チーロ・インモービレ(トリノ→ドルトムント)
 推定移籍金:1940万ユーロ(約26億8000万円)
■28位/イヴァン・ラキティッチ(セビージャ→バルセロナ)
 移籍金1800万ユーロ(約24億9000万円)
■28位:アルベルト・モレノ(セビージャ→リヴァプール)
 移籍金1800万ユーロ(約24億9000万円)
■30位:ダレイ・ブリント(アヤックス→マンチェスター・ユナイテッド)
 移籍金1750万ユーロ(約24億2000万円)

…マンチェスター・ユナイテッドは、獲得した主要選手がこのなかにすべて入っているんですね。代表主力クラスの大物が多いとはいえ、こうして並べると、どうみても買い物下手です。現在、このクラブにとって最高の補強は「デイヴィッド・ギルCEO」でしょう。ああ…。

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“プレミアリーグ案件が何と6割!2014-15シーズン高額移籍金ランキング・TOP30” への2件のフィードバック

  1. makoto より:

    こんにちは。欧州もデフレ気味なのに、フットボール界だけは凄いインフレですね。NFLやNBAなどのようなサラリーキャップを導入し、少しは自制しないと・・・。
    ガナーズも最強の補強はデビッド・デインの復帰かもしれません。

    —–
    londres nordさん>
    私も、サラリーキャップはありなのではないかと思います。特殊な業界なのだとは思いますが、人件費50%なら少ない方、というのはリスクが高いですよね。

  2. Uボマー より:

    サラリーキャップは閉じた市場における戦力の均一化が主目的なので、フットボールの場合は導入が難しいかもしれません。クラブが破たんしても新規参入があればよいという考えが前提にありますから。リーグごとに導入することも考えられますが、リーガエスパニョーラのように格差が大きすぎる場合は年俸総額をどこで設定するかでも揉めそうです。
    現状ではFFPを上手く機能させるほうが現実的でしょう。FFPの問題はやや基準が曖昧なところにありますが、これは先例を増やしていくしかないので時間が掛かるのはやむを得ないと思っています。

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