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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「フットボールは人生と同じ。すべての出来事に意味がある」復活を約束するファン・ダイクのメッセージ。

大変なことが起こったのではないかという胸騒ぎが半分、すぐに立ち上がっていつもの場所に戻ってくれるはずという気分が半分。スローの映像で内側に突っ張った膝を見たとき、最悪のアクシデントを想像しました。プレミアリーグ5節、エヴァートンVSリヴァプールの開始6分。ボックス右に浮いたボールを追ったファン・ダイクに対するピックフォードのチャージは過剰で、カニばさみになった足を抜けなかったCBは宙に浮いて転倒しました。

1分半ほどの応急処置の後、ピッチの外を歩いてドレッシングルームに去ったファン・ダイクは、微妙に足を引きずっているように見えました。表情から、苦痛は窺えない…。ピッチにはジョー・ゴメスが入り、ゲームは序盤戦の雰囲気に戻りました。サラーのスーパーショットが決まったときも、カルヴァート=ルーウィンのヘッドがゴールラインを越えたときも、彼が気になっていました。大事をとったのか重傷だったのかわからないなか、試合が終わった直後には何も書けず、チェルシーの試合を見ながらネットニュースをチラ見する時間が続きました。

リヴァプールの公式サイトに、プレミアリーグ屈指のCBのコメントが掲載されたのは日曜日でした。「I’m fully focused on my recovery – I’ll be back(回復に向けて集中している。戻ってくるよ)」。右膝の前十字靭帯損傷。手術とリハビリテーションで、復帰まで6か月以上の時間を要する重傷です。メディアには、ピックフォードとマイケル・オリヴァーさんに対する非難の声が寄せられています。前者は無謀なチャージに対して。後者は、レッドカードを出さなかったことを咎められています。

「ピックフォードのチャレンジは明らかに出遅れていた。不細工なタックルに対して、オリヴァーはVARのモニターをチェックすべきだった。そうしていれば、重大なファールと見てレッドカードを出していただろう。私ならそうする。VARのレフェリーを担当していたら、映像を確認するよう求めたはずだ」(プレミアリーグの元レフェリー、ピーター・ウォルトン)

「とてもひどいチャレンジだった。その後のジャッジも含めて最低だった。最もひどいのは、オフサイドに気を取られて見逃したマイケル・オリヴァーだ。彼はVARのチェックすらしなかった。見落としを指摘されるのが恐かったからか。明らかなミス。相手を危険に晒しており、答えは明確だ。ピックフォードは退場で、VARはチェックしろとアドバイスすべきだった」(イアン・ライト「Match of the Day」)

レフェリングに対して私見をはさむのは控えますが、こういった主張が挙がるのを理解するとともに、「オフサイドとはいえるけど、退場かどうかは難しい(アラン・シアラー)」「いいチャレンジではなかったのは間違いないだろう。ジョーダンは試合後に私に謝罪し、ヴィルジルにも伝えてほしいといってきた(ジョーダン・ヘンダーソン)」といった声もあったということを付記しておきます。

今、いえるのは、このアクシデントがプレミアリーグ2020-21シーズンの展開を変えるほどのインパクトがあるということだけです。デヤン・ロブレンとキ・ヤナ=フーフェルを手離した昨季王者は、本職のCBがジョー・ゴメスとマティプしかおらず、ファビーニョをまわすなどの対応を強いられます。2019-20シーズンは、ペップ・グアルディオラがラポルテを欠き、フェルナンジーニョをアンカーで使えない苦しい時期を過ごしましたが、今年はユルゲン・クロップがバトンを受けてしまったかのようです。チアゴ・アルカンタラを獲得したのは大ヒットだったと振り返るシーズンになるかもしれません。

「今日の午後、最先端のコンサルタントと会いました。昨日の事件を受けたリハビリテーションプランのディテールを確認し、そのプロセスがスタートしています。復帰することに完全に集中しており、より早く戻るために、できる限りのことをします。明らかな失望ではあるけれど、困難のなかにチャンスがあると強く信じています。神の助けを得て、これまで以上にベターでフィットし、強くなって帰ってこられると確信しています」

「フットボールは、人生と同じように、すべての出来事に意味があると信じています。いいときも悪いときも、同じようにトライし続けることが大事です。妻、子供、家族、そしてリヴァプールのみなさんのサポートによって、これからのチャレンジの準備ができました」

「ご支援のメッセージをいただき、感謝しています。私と家族にとって、大きな意味があります。チームメイトをサポートすべく、できる限りのことをしつつ、数週間にわたる自分自身のリカバリーに日々、取り組んでいきます」(ヴィルジル・ファン・ダイク)

プレミアリーグで最も強いCBは、最も好きな選手のひとりです。彼を見られない時間を過ごさなければならないということを考えたくはありませんが、その強い精神力によって、報じられているより早いタイミングで戻ってくると信じています。ファン・ダイクとリヴァプールに、エールを送りたいと思います。苦しい季節を耐え、素晴らしいフットボールを披露し続けてほしい、と。


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“「フットボールは人生と同じ。すべての出来事に意味がある」復活を約束するファン・ダイクのメッセージ。” への3件のフィードバック

  1. hiro より:

    アーセナルのファンとしては「ざまあみろ!」………なんてことは口が裂けても言えません。
    怪我に悩まされ続けた天才達を何人も見てきた側としては「どうか、完全復活して欲しい、トップフォームを取り戻して欲しい」と祈るばかりです。

  2. アイク より:

    更新ありがとうございます。
    本当にショックな事故ですが、ご本人がその言葉通りにすでに復帰に向けてフォーカスしているとしたら救いです。
    先日内田篤人の「自分にはピークは来なかった」と発言しており、アスリートの怪我の残酷さを思いました。
    元のフィジカルに戻れれば最高ですが、ロナウドのようにプレースタイルを変えて再び輝くことも、ファンダイクのインテリジェンスとコーチング能力をもってすれば容易いように思います。とにかく完全に治して欲しい、とファンとして願います。

    遠くない昔、強豪には競り勝つのに下位チームのCKなんかであっさり失点していた時代もあったような気がします。今シーズンは彼のもたらしたものの大きさを再認識する時間になるかもしれません。
    まぁクロップ監督なら手薄なCBにも秘策有りと信じてますけどね(震え声)

  3. 帰ってきた9番 より:

    むしろ、あの蟹挟みを受けてなんで歩けてるの?と思ってましたがやはり前十字やってましたか。
    本来ならルークショーやアンドレゴメスのように複雑骨折や靭帯断裂もあり得たチャージです。ファンダイクのタフさと鍛えた肉体に敬意を。リバプールの関係者やKOPに向けて、そしてなにより本人のため早期の回復を祈ってます。

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