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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

アストン・ヴィラの快進撃の原動力…数字でよくわかるジャック・グリーリッシュの凄さ!

開幕からアップセット続出。混戦模様のプレミアリーグ2020-21シーズンのなかで、ひと際輝きを放っているのが、5勝2敗で6位に着けているアストン・ヴィラです。開幕2連勝で波に乗ると、4節では昨季プレミアリーグチャンピオンのリヴァプールに7-2の大勝。5節は敵地キングパワーでレスターに0-1と競り勝ち、先週末もエミレーツのアーセナル戦を0-3で快勝しています。アウェイで3戦3勝、ビッグ6とレスター相手に未だ負けなし。18ゴールはチェルシー、トッテナムに次ぐリーグ3位で、9失点は最小です。

ブレントフォードから移籍したオリー・ワトキンスは、初めてのプレミアリーグながら7戦6発とゴールセンスのよさを発揮しており、リヴァプール戦で合流したロス・バークリーはチェルシー時代が嘘のようなアグレッシブなプレイで4試合2ゴール1アシスト。右サイドに定着したマット・キャッシュは攻撃への貢献度が高く、ゴールマウスではアーセナルからやってきたエミリアーノ・マルティネスが堅実なセービングを続けています。大当たりの新戦力が躍進の原動力であるのは間違いありませんが、ヴィラの躍進はこの人抜きでは語れないでしょう。2列めの左サイドを主戦場とするジャック・グリーリッシュ。「スカイスポーツ」が、25歳のキャプテンがいかに特別な存在かをデータを駆使してレポートしています。

興味深いアナライズを紹介する前に、プレミアリーグの公式サイトより今季の秀逸なスタッツを拾っておきましょう。プレミアリーグ7試合で4ゴール5アシスト。ハリー・ケインの8本に次ぐアシストランキング2位で、5ゴール以上を挙げているMFはブルーノ・フェルナンデスのみです。シュート数22本はMFのTOPで、オンターゲット9本はハーヴィー・バーンズとブルーノ・フェルナンデスに1差の3位。対峙するインサイドMFやSBを翻弄するドリブル、完璧なタイミングで出すショートパス、精度の高いクロスとミドルシュートは、いずれもプレミアリーグのトップクラスです。

さて、ここからが「スカイスポーツ」の評価です。彼らが「Opta」から引っ張ってきたおもしろいスタッツを並べてみましょう。「プログレッシブ・キャリー・ディスタンス(前に運ぶドリブルで稼いだ距離)」が1268.9メートル、「キャリー・リザルティング・イン・ア・チャンス(ボールを運んで作り出したチャンス)」は9回で、いずれもリーグTOP。ボックス内でのボールタッチ70回は、モー・サラーの85回に次ぐ数字です。過去2シーズンの被ファール数196回は、ドリブル王ウィルフリード・ザハの144回を凌ぐぶっちぎりのNo.1。「ボールを持ちすぎるという非難は妥当か」と問いかけたアダム・ベイト記者は、勝敗予想で有名なポール・マーソン氏やブレンダン・ロジャース監督のコメントを引用しながら、ドリブルをベースにしたプレーメイクがいかに有効かを力説しています。

「彼はなぜ、トップレベルでプレイしていないのか?自分が何を見落としているのか、よくわからない。彼には、他の誰もが見えない何か違うものが見えているように感じられる。その手掛かりは、まったくつかめない」
「グリーリッシュが、ボールを長く持ちすぎとは思わない。昨季の終わりに差し掛かった頃、彼はよりキャプテンらしくなったと思う。以前は他の選手を信頼しておらず、すべて自分でやろうとしていた」(ポール・マーソン)

「ボールを運ぶとき、彼のスペースに対する認識は、その才能をよく示している。彼はスペースがどこにあるかを理解しており、多くのタックルを仕掛け、他の選手よりも少し長くボールを持ち、ファウルを引き出す。彼のパスの重みは並外れている」(ブレンダン・ロジャース)

2人の言葉にも共感しますが、グリーリッシュの特徴を最もよく表しているのは、アダム・ベイト記者のこのひとことだと思います。「グリーリッシュは、ベターなポジションにいないプレーヤーに不必要なパスを出さないことを好む。代わりに、彼は待つ」。エミリアーノ・マルティネスのスローを自陣で受けたアーセナル戦の3点めは、ヴィラの10番の真骨頂でした。ドリブルで進んだ彼は、ベジェリンがボールに触れないと確信しており、どのコースを辿ればSBをブロックし続けられるかも把握していました。2番が肩を入れてきたタイミングで、前にいたオリー・ワトキンスに完璧なラストパス。フリーでレノと向き合ったストライカーは足元を抜くだけでした。

ロス・バークリーとの絶妙なパス交換、マット・ターゲットとの連携で崩すサイドアタック、オリー・ワトキンス、ジョン・マッギン、トレセゲにフリーで打たせる絶妙なラストパス。今季のグリーリッシュをまだ見ていない方は、ハイライトだけでもチェックしてみてください。彼が絡んだゴールシーンを見ていただければ、世界中の指揮官が全員絶賛しているかのようなハイテンションなベイト氏の書き出しにも、うなずいてもらえるのではないかと思います。

“What a footballer,” says Jurgen Klopp. “One of the best in the league,” according to Pep Guardiola. For Jose Mourinho, it’s his creativity. For Mikel Arteta, his personality.Brendan Rodgers and Ole Gunnar Solskjaer point to his ability to drag opponents out of position.

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“アストン・ヴィラの快進撃の原動力…数字でよくわかるジャック・グリーリッシュの凄さ!” への1件のコメント

  1. n より:

    昔、引退した中田英寿が代表戦を俯瞰の中継位置から解説していた時に、「ピッチでこの目線を持てれば素晴らしい」みたいな事を言っていたのを思い出しました。第三の目があるのでしょうかね。

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