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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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チャンスをつかんだスミス・ロウと、不遇だったウーデゴーア。アーセナルのトップ下争いに注目!

アーセナルの経営ボードとエドゥTD、アルテタ監督にとっては、冬のトランスファーマーケットは納得できる着地だったのではないでしょうか。夏からの懸案だったエジル。パパスタソプーロス、コラシナツといった余剰戦力を手離し、サラリーの負担は軽くなりました。潜在的なリスクとなっていた第2GKは、プレミアリーグの経験豊富なマシュー・ライアンを獲得。替えが効かなかったスミス・ロウのポジションには、15歳の頃から天才といわれていたマルティン・ウーデゴーアを加えています。レアル・マドリードでなかなか出番を得られず、ラ・リーガで7戦ノーゴールとくすぶっていたプレーメイカーは、アーセナルで持てる力を発揮できるのでしょうか。

Arsenal star must rise to meet challenge of new arrival Martin Odegaard, says Jamie Redknapp(アーセナルのスターは、新戦力のマルティン・ウーデゴーアの挑戦を受け、さらに向上しなければならない」。ノースロンドンで競うことになった2人のヤングスターについて、「スカイスポーツ」のインタビューに応えたのは、ジェイミー・レドナップさんです。20歳のスミス・ロウと、22歳のウーデゴーア。プレミアリーグサイドから見ると、「アーセナルの若き司令塔に、マドリードで苦しんでいた天才プレーメイカーが挑戦状」という図式ですが、両者のキャリアをフラットに見ると、2つ年上のニューフェイスが経験値で圧倒しています。

16歳だった2014年に30以上のクラブのスカウトを受け、レアル・マドリードを選んだウーデゴーアは、最初の2年半を下部組織であるカスティージャで過ごしました。チームが所属するセグンダ・ディビシオンBは、いわば「2部リーグの下、3部リーグの上」。エル・ブランコで主力として活躍する日々を夢見ていた逸材にとって、公式戦62試合5ゴールは不本意な数字だったのではないでしょうか。

カスティージャ時代は、レアル・マドリードでは32分しかプレイできず、2016年からの2シーズンは、エールディヴィジのヘーレンフェーンにレンタル。ここでも43試合4ゴールと結果を出せなかったウーデゴーアは、2018-19シーズンのフィテッセで公式戦39試合11ゴールというスタッツを残し、トップリーグでも主力としてプレイできるという手応えを得ました。昨シーズンは、かつてミケル・アルテタがプレイしていたレアル・ソシエダで36試合7ゴール。ようやくレアル・マドリードで真価を発揮するかと思いきや、ジネディーヌ・ジダン監督の評価は低く、出場機会がほしければチームを離れるしかないという状況でした。

一方、スミス・ロウは、2019年12月にプレミアリーグデビューを果たしたばかり。エジルがトップフォームを取り戻していれば、今頃はチャンピオンシップのチームに貸し出されていたかもしれません。負傷で出遅れた2020-21シーズン。彼の運命が変わるきっかけとなったのは、11月末からのヨーロッパリーグでした。3試合とも途中出場ながら、1ゴール2アシストと爪痕を残したプレーメイカーは、敗れたらアルテタ解任とまでいわれていた必勝のビッグロンドンダービーで、追い詰められていた指揮官を救いました。

チェルシー戦でアシストを決めたスミス・ロウは、トップ下に定着して通算アシストを3に伸ばしました。アーセナルは、プレミアリーグ5勝1分と完全復活。未だトップリーグではゴールなしの20歳は、なくてはならない存在となっています。レドナップさんは、両者が歩いてきた道を比較し、プレースタイルが確立する前にビッグクラブの門を叩くという選択に警鐘を鳴らしています。

「エミール・スミス・ロウの夢が叶ったね。彼はアカデミー出身であり、素晴らしい仕事をしている。ファンは彼を愛している」
「彼はわかっていると思うけど、最も難しいのは、彼がプレーする場所はどのクラブも世界最高を探しているポジションであるということだ。彼は常にベストと争わなければならない。そして今、築き上げているレベルをキープしなければならないね」
「彼にとても感銘を受けた。彼の仕事観が大好きだ。ボールを持って走る姿は好ましい。チームにとって、まさに必要なタイミングで新鮮な空気を吹き込んでくれた」

「彼はレアル・マドリードに行ったけど、そのタイミングは早すぎたという感覚がある。正しいアクションとは思えなかった。23~24歳でレアル・マドリードの選手になるプロセスを、着実に進めなければならない。そうしないと、Bチームで迷子になる。ジダンがそれほど彼のファンでないのは明らかだ」
「彼は22歳だ。びっくりだね。6~7年もムダにしてしまったように感じる。本人はそうはいわないかもね。素晴らしい経験だというかもしれないけど、ローンを続けていると、家が必要になるものだ」

アーセナルのアカデミーで力を磨き、まっずぐレギュラーの座を勝ち取ったスミス・ロウと、さまざまなクラブのスタイルに慣れることを強いられ、未だ自分の居場所を決められていないウーデゴーア。将来を嘱望される2人のバトルは、どんな決着を迎えるのでしょうか。「彼がうまくフィットし、チームに影響を与えるられれば残ることができる。結局は、レアル・マドリードと本人次第だけど」。アルテタ監督が望むパフォーマンスを披露できれば、ウーデゴーアのプレミアリーグチャレンジは、キャリアの重要なターニングポイントになるかもしれません。どうなるか、見てみましょう。


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