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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

アンチェロッティ退任で構想外…苦しかったハメス・ロドリゲス、選択肢はカタール一択。

彼のシンボルだった4-4-2から脱却し、当時のメインストリームだった4-2-3-1へのモデルチェンジを図っていたサー・アレックス・ファーガソンは、チームに変革をもたらすキーマンとしてドルトムントで活躍していた香川真司を指名しました。2012-13シーズンのプレミアリーグで、開幕から5試合2ゴール1アシストは上々のスタート。膝の負傷で長期離脱となった後、コンディションが上がらず苦しみましたが、3月のノリッジ戦でハットトリックを達成しました。

初年度のプレミアリーグは20試合6ゴール4アシスト。「来シーズンはもっとよくなる」と語っていたファーガソンは、シーズンが終わると突如引退を発表し、後任としてデヴィッド・モイーズがやってきました。彼のフットボールには、香川真司は必要なかったといい切っていいでしょう。左のサイドアタッカーという不慣れなポジションを強いられ、2年めのプレミアリーグは18試合ノーゴール。フォームを崩したプレーメイカーは、2014年5月に就任したルイ・ファン・ハールに構想外と告げられ、古巣ドルトムントに復帰となりました。

指揮官に熱望されて移籍した選手が、監督交代人事によって居場所を失うというのはよくある話。カルロ・アンチェロッティに請われてエヴァートンに移籍したハメス・ロドリゲスも、そのひとりです。冒頭でシンジ・カガワの苦闘を振り返ったのは、マージーサイドにやってきたコロンビア代表のスタッツが彼と酷似していたからです。プレミアリーグ23試合6ゴール4アシスト。香川と同様に、負傷で12試合を失った選手の初年度としてはまずまずです。

ビッグチャンスクリエイト11回はチームTOP。オンターゲット18本とキーパス40本は3位で、コンスタントに出場できていれば、トフィーズを欧州のステージに連れていった立役者と評されていたかもしれません。30歳になったレフティの2年めは、アンチェロッティの退任とラファエル・ベニテスの招聘によって暗転しました。

補強資金を得られなかった新指揮官は、フリーでいけるタウンゼントと160万ポンドのお得案件だったデマライ・グレイを獲得。これによって、新チームにはハメス・ロドリゲスが得意とするポジションが存在しないことがはっきりしました。4-4-1-1や3-4-2-1で戦うチームで中盤の軸となるのは、ボックス・トゥ・ボックスのアブドゥライエ・ドゥクレ、守備のスペシャリストであるアラン、汗かき役に徹することができるイオビです。

コロナ禍に端を発したエヴァートンの財政難も、彼を売りに出す理由となりました。FFPのルールを遵守するうえで、ハメスのサラリーは重荷になっていたと伝えられています。「われわれはリソースを最大限に活用し、クラブの長期的な未来を守らなければならない」。売却の要因を問われたベニテス監督は、フットボール以外の話を持ち出し、記者が聞きたかったテーマに触れずに済ませました。

ベニテスが嫌ったのは、負傷の多さや運動量の不足よりも、スペインのイビサ島で開催されたパーティーにおける電子タバコをくわえた写真だったのかもしれません。いや、お互いが別々の道を歩くと決まった今、過去を詮索するのはやめましょう。かくして、ハメス・ロドリゲスのプレミアリーグチャレンジは、1年で幕を閉じました。9月末までマーケットが動いているカタールのアル・ラーヤンという選択肢しかなかったMFについて、放出を決めた指揮官は「彼は満足している」といい切っています。


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