イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ダービーのMOMに続いて9月のMVPも…!? グーナーが熱狂する冨安健洋の激闘をチェック!

結果を見て、びっくりしました。候補者は4人。甲乙つけがたい投票は、僅差になるのではないかと思いました。いえ、自民党総裁選のお話ではなく、ノースロンドンダービーのマン・オブ・ザ・マッチです。プレミアリーグ6節、アーセナル3-1トッテナム。勝者の公式サイトがノミネートしたのは、1ゴール1アシストのサカ&スミス・ロウ、素晴らしいゴールシーンと気迫のこもったチェイシングを見せたオーバメヤン、そしてもうひとりは右サイドの守備とビルドアップを落ち着かせた冨安健洋でした。

グーナーの投票が終わり、得票率を見てみると、冨安健洋が53.58%でぶっちぎりのTOP!チーム最多のボールタッチ67回を記録し、ソン・フンミンのドリブルを封じた右のフルバックが素晴らしい出来だったのは確かですが、ここまで熱狂的に支持されるとは思いませんでした。

通したパスは37本で、成功率80%はプレミアリーグデビューからの3試合で最高の数字です。ロングフィード5本、クロス2本、デュエル5勝3敗、圧倒的な強さを誇る空中戦は4勝1敗。守備力もさることながら、現地のグーナーが最も評価したのは、恍惚の前半を演出したビルドアップなのではないでしょうか。

12分に先制という願ってもないスタートを切ったガナーズは、1-0の辛勝だったノリッジ戦、バーンリー戦の課題を見事に解決しました。ビルドアップは別のチームのようにスムーズになっており、ウーデゴーアとスミス・ロウが前を向いてプレイできたシーンでゴールを重ねています。最大の変化は、冨安のポジションと役割です。マイボールになると、ベン・ホワイトの脇にポジションを落として3バックを形成した日本代表が、チーム全体に落ち着きをもたらしたといっても過言ではないでしょう。

バーンリー戦では冨安との間に距離があり、右に出しづらそうにしていたベン・ホワイトは、左右に均等にコースを確保できたことで、持ち前のパスセンスを発揮しやすくなりました。ハリー・ケインが詰めてくるのを待って、脇にさばくほどの余裕を得た新入りのCBは、エースをポストに使おうとしたレギロンのロングフィードを跳ね返し、先制ゴールにつなげています。冨安のジャッジは的確で、CBと2センターに余裕があるときは前にポジションを取り、プレスをかけられそうになると3人めのCBとしてビルドアップをサポートしていました。

バーンリー戦では前にいたニコラ・ペペの守備がアバウトだったため、オーバーラップを自重していた右SBは、しっかり戻ってきてくれるサカという相棒を得て、攻撃にも参加できるようになりました。最初の45分でソン・フンミンが彼らしいプレイを見せたのは、冨安がスプリントした瞬間にウーデゴーアが奪われた22分のシーンだけでした。空き巣狙いに成功したかに見えた韓国代表は、カバーに入ったトーマス・パーティーにコースを切られ、強引なシュートをニアに打ってラムズデールに止められました。

3-0で折り返したガナーズは、後半は守備を重視しながら着実に時間を進めました。サカに外のスペースをまかせ、3バックの右のようなポジションで戦った冨安は、右からクロスが上がった際にはファーから入ってくる選手をしっかりケアしていました。「スカイスポーツ」「フットボールロンドン」など現地メディアが8点という高評価を付けるなかで、「イブニングスタンダード」が7点に留めたのは、62分にハリー・ケインの裏抜けを許したからという理由でした。これについては、弁護人として熱弁を振るいたくなります。

「ハリー・ケインがラムズデールをかわしてネットを揺らしていれば、むしろ冨安の評価は高まった」と。

エリック・ダイアーがロングフィードを縦に出した瞬間、スパーズの10番はオフサイドポジションにいました。冨安が転倒した直後にティアニーが手を挙げ、シュートを打たれた瞬間にはガブリエウもオフサイドラインから出ていたと主張しています。フィニッシュが枠に収まっていれば、VARという最高の証人によって事実が明るみになり、無罪判決を受けたSBがFKでゲームを再開していたでしょう。

冨安の執拗なチェックを嫌がっていたソン・フンミンは、70分のブライアン・ヒルの投入以降は中央で勝負するようになりました。ヌーノ監督が左サイドに1枚足したのは、冨安を与しやすしと見たわけではなく、疲労と痛みで運動量が落ちたサカが脅威ではなくなったからでしょう。冨安がカットした後のこぼれ球をさらわれた失点シーンは、サカが元気なら先に触っていたはずです。22歳の日本代表をプレミアリーグ6節のベストイレブンに選んだ「ミラー」は、「アーセナルのユニフォームを着て3試合に出場し、まだ1度も失敗していない」といい切っています。

「1600万ポンドという比較的安い移籍金で加わった冨安がこの調子でいけば、”the signings of the summer”のひとりになるかもしれない」(「ミラー」のジョシュ・オブライエン記者)

最後にもうひとつだけ、冨安のプレイがいかに印象的だったかがわかるニュースを紹介して、この稿を締めたいと思います。アーセナルの公式サイトにおける「グーナーが選ぶ9月のMVP」も、冨安健洋が46.58%の票を集めてダントツの1位です。いやー、びっくりしました。候補者は4人。甲乙つけがたい投票は、僅差になるのではないかと思いました。いえ、自民党総裁選のお話ではなく…。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“ダービーのMOMに続いて9月のMVPも…!? グーナーが熱狂する冨安健洋の激闘をチェック!” への2件のフィードバック

  1. グーナーです より:

    筆者様は、ユナイテッドに香川選手が加入したときはどのような気持ちだったのでしょうか。

    アーセナルで日本人選手が活躍する姿など一ヶ月前まで考えたこともありませんでした。
    ましてやガチのスタメン、ノースロンドンダービーに加入3試合目で出場などと。
    「とんでもない失敗をするんじゃないか」「そしたらアジアンヘイトに巻き込まれないか」などと心配していたのも本当です。

    ですが、今はもう毎試合が楽しみでしょうがないです。
    アーセナルで日本人選手が活躍する。
    こんなに幸せなことなんだなと自分でも驚いています。

    MOMおめでとう富安!

    良いときばかりでなく、これから冨安選手も怪我をしたり不調になったり大失敗をすることもあると思います。
    その時でも全力でエールを送りたいと思います。

  2. 水色 より:

    流石に緊張していたのかボールタッチが固かったり、ボールを持った時の判断が普段に比べて遅く(対戦相手や味方のサポートによりけりな面もありますが)奪われることもありましたが、初のNLDで堂々のプレイでしたね。

    現地のグーナーの方々の心をすっかり掴んだようで毎試合賞賛の嵐ですが、贔屓目抜きにこの3試合のパフォーマンスは彼にとってのアベレージだと思っているので、悪い時期も来るとは思いますがこれからが本当に楽しみです。

    苦しんでるとはいえ本領発揮を期待されている南野、そして主力の冨安と贔屓に日本人選手がいるのは羨ましい…

コメントを残す