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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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未だゴールもアシストもゼロ…現地記者が語る「ジェイドン・サンチョが機能しない理由」

プレミアリーグ9節のリヴァプール戦で0-5の大敗。解任が噂されているスールシャール監督は、持てる戦力を十全に活かしているとはいえません。2020年の夏に加わったファン・デ・ベークは、プレミアリーグ出場がわずか6分。3ヵ月前に移籍が決まったジェイドン・サンチョは、公式戦11試合に出場しながら、未だゴールもアシストもありません

ドルトムントに7300万ポンドも支払ったウインガーの空回りは、由々しき事態です。「スカイスポーツ」のニック・ライト記者が、「Jadon Sancho at Manchester United: Ole Gunnar Solskjaer’s failure to get him playing exposes flaws(彼をプレイさせることができないスールシャールの欠陥が露呈)」と題した記事で、ジェイドン・サンチョが機能しない理由を分析しています。

2019-20シーズンは公式戦44試合20ゴール20アシスト、昨季は38試合16ゴール20アシスト。ユルゲン・クロップに「世界最高の選手になるために必要なものをすべて持っている」と言わしめたウインガーの能力を疑う余地はありません。ニック・ライト記者は、「スターに最高のパフォーマンスを発揮させる戦略とシステムが必要」と指摘。ブルーノやロナウドのように、「魔法のような瞬間を提供できる選手に向いているチーム」は、チームプレーヤーを殺していると主張しています。

誰もが気づく最大の過ちは、プレミアリーグ出場7試合のうち、6試合を左サイドで過ごしていること。スールシャール監督が彼の獲得を熱望した最大の理由は、左サイド偏重になりがちだったアタックの強化だったはずです。ところが、いざ蓋を開けてみると、指揮官は開幕から好調だったグリーンウッドを外せず、サンチョは逆サイドであえいでいます。プレミアリーグ7試合で先発は3試合、シュートはわずか3本、クロスも4本しか記録していません。

「スカイスポーツ」の記者は、サンチョの強みとして「プレッシングとオフ・ザ・ボールの動きのクオリティ」を挙げています。ブンデスリーガでプレイしていた過去3シーズンで、ファイナルサードにおけるプレス成功数のTOP50をキープしていたウインガーは、周囲との連携のなかで活かされる術を知っている選手でもあるとレポート。スールシャールのチームは、彼の持ち味を発揮させられない戦い方を続けているといっています。

最前線にクリスティアーノ・ロナウドを配するマンチェスター・ユナイテッドは、ファイナルサードでのプレッシングが貧弱で、彼らよりも成功が少ないのはニューカッスルのみ。タックル104回はリーグ最下位で、前と後ろの分断が目立つチームです。プレスをかけて前で奪い、ワンツーやスルーパスを活かして右サイドを突破するのが得意なサンチョは、サポートがなければ孤立してしまうというわけです。

「4-2-3-1が彼に合わない理由はないだろう。ドルトムントのルシアン・ファーヴルの下では、このフォーメーションで活躍している」
「フルバックとの関係は重要。サンチョは、彼らのオーバーラップによってスペースを確保したいと考えている。ドルトムントが3-4-3を採用していたときは、ウイングバックのアシュラフ・ハキミと素晴らしい関係を築いていた」
(ニック・ライト)

入団から3ヵ月も経つのに、リヴァプール戦という大事なゲームでサンチョをベンチに縛り付けた指揮官は、何のために獲得したのかと突っ込まれても返す言葉がないでしょう。「アヤックスで複雑なコンビネーションをこなし、構造化されたビルドアップに対応していた」と記者が評するファン・デ・ベークとともに、プランなきままベンチを定位置とさせられるのでしょうか。

「マンチェスター・ユナイテッドは安定しておらず、チームとしてもまとまっていない。その結果、サンチョはシーズンを左右する試合を欠場することになってしまった。7300万ポンドの夏のサインを消化不良にしていることが、スールシャールのプロジェクトにとって決定的なエラーになりつつある」(ニック・ライト)

スールシャール監督がすぐにでもやるべきは、本来の目的を思い出し、25番の得意なポジションでブルーノ・フェルナンデス、マクトミネイ、ワン=ビサカとプレイする時間を与えることでしょう。次に彼を取り上げるのは、右からのカットインで記録したゴールかアシストであることを願っています。

「マンチェスター・ユナイテッドのスカッドは、エリート監督であればチームづくりに楽観的になれるだろう。世界のどのチームとも互角に戦えると希望を抱くはずだ」。ニック・ライトさんの見立てに賛同します。もったいない…。


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