偏愛的プレミアリーグ見聞録

「彼らのほうが優れていた。われわれが対戦したのは、これまでの数年はTOP4に入れずに苦しみ、今シーズンも最下位スタートだったチームだ。しかし、彼らは現在4位に着けている」。ペップ・グアルディオラが、苦しい試合だったと振り返ったように、エミレーツのゲームを支配していたのはアーセナルでした。

31分にジャカ、ウーデゴーア、ティアニーとつながり、左からのラストパスを受けたサカがダイレクトショットを叩き込んで先制。完璧な試合運びでハーフタイムを迎えたプレミアリーグ4位は、後半も前からプレスを敢行し、マンチェスター・シティの中盤からスムーズなパスワークを奪っていました。

ウーデゴーアと接触したエデルソンがPKを取られなくても、ベルナルド・シウヴァのシャツをつかんだジャカがファールとジャッジされても、厳しすぎるジャッジによるガブリエウの退場さえなければ、彼らが勝っていたのではないかと思える素晴らしい出来でした。

リーズ戦で足を痛めた後、コロナウイルスに感染し、ボクシングデーのノリッジ戦を欠場した冨安健洋は、2週間弱のブランクを感じさせないパフォーマンスを披露してくれました。「スカイスポーツ」の採点を見ると、プレミアリーグ王者がいかに苦戦していたかがよくわかります。冨安健洋とティアニーが「7」、ガブリエウとベン・ホワイトは「8」。デブライネとマフレズ、ジェズス、スターリングは全員「6」に留まっています。

前半のスターリングとデブライネに、決定的な仕事を許さなかったのは、企む時間を与えない冨安の速いチェックでした。得意のカットインを封じられたスターリングが放ったシュートは、苦し紛れのミドルのみ。デブライネが機能するようになったのは、レッドカードが出た後でした。クリア5回、インターセプト3回、タックル3回、クロスとグラウンダーが1本ずつ。現地メディアは、軒並み高評価です。

チーム最高タイの8点とした「イブニングスタンダード」は、「アーセナルの守備の重要なパートを担っている。ラヒム・スターリングを一日中静かにさせた」と絶賛しています。「Squawka」もトーマス・パーティーと並ぶ8点で、「スターリングをポケットに入れ、決して外に出さなかった」。何とか状況を打開しようと動き回ったイングランド代表を「トミヤスに勝てなかった」と評しています。

7点の「ザ・サン」も、「スターリングやデブライネに攻められても、体を張ったプレイを見せた。ガナーズにとって、うれしい復帰。守備力を武器にシティをほとんど寄せ付けず、1～2本の的確なクロスをフィードした」とレポート。現地発の記事を読み続けると、最後まで11人対11人で戦った結末を見届けたかったという思いが込み上げてきます。

93分にロドリの決勝ゴールがネットを揺らし、タイムアップの笛が鳴った後、ベン・ホワイトと冨安健洋はピッチに倒れ込み、トーマス・パーティーに激励されながらロッカールームに向かいました。スチュワート・アトウェルという黒いシャツの演出家が、悲劇に仕立ててしまった「昼の部」は、今となっても起承転結の「転」から書き直したいシナリオです。