偏愛的プレミアリーグ見聞録

多くのグーナーが、この知らせを心待ちにしていたのではないでしょうか。アーセナルの公式サイトが、ブカヨ・サカが新しい契約書にサインしたと伝えています。プレミアリーグ2022-23シーズンは、37試合13ゴール11アシスト。ゴールもアシストも2ケタに乗せたのは、彼とモー・サラーだけです。

「BBC」によると、新契約は2027年までで、推定年俸は1500万ポンド（約25億8000万円）。メスト・エジルのクラブレコードには及ばないものの、現在の最高給となります。トータル24のゴール＆アシストもさることながら、リーグTOPのドリブル成功130回、敵陣ボックスにおけるタッチ数245（2位）、チャンスクリエイト74回（4位）も見逃せないスタッツです。

トップチームデビューは17歳だった2018年12月13日、カラバフとのヨーロッパリーグ。2019年1月1日のフラム戦で、21世紀生まれの選手として最初のプレミアリーグデビューを果たしました。2019-20シーズンは、プレミアリーグ26試合出場と順調に出番を増やしたのですが、何でもできてしまうゆえに、5つのポジションで起用される忙しい1年となりました。

ウナイ・エメリの4-2-3-1では2列めの左。フレディ・リュングベリは左ウイングとSBで、アルテタの下では左右のウイング、レフトバック、サイドMFに加えてセントラルMFまでこなしています。2020-21シーズンも「便利なレフティ」で、まかされたポジションは6つ。シーズンの終盤は、8試合連続で前節と違う位置でプレイしています。

サカの能力が完全に開花したのは、アルテタ戦術が明確になった2021-22シーズンです。11月以降は右サイドに固定され、4-2-3-1の2列めか4-3-3のウイング。攻撃に集中することができ、プレミアリーグ38試合11ゴール7アシストという素晴らしいスタッツを残しました。2年連続でクラブの年間MVPに選出され、優勝をめざした今季もカラバオカップ以外の全試合に出場しています。

まだ21歳ながら、公式戦通算178試合37ゴール40アシスト。長期的な視点をもってチーム作りを進める指揮官に、右ウイングという最適な役割を与えられ、輝きを増したあたりはモー・サラーと同じです。世が世なら、3バックを信奉する監督に左のウイングバックをやらされていたかもしれません。アルテタ監督との出会いは、最高だったといえるのではないでしょうか。

「ブカヨの契約延長は、クラブにとって素晴らしいことです。最高の若い才能をキープすることは、われわれの継続的な進化のカギを握ります。ブカヨは今も将来も、スカッドの重要なパートを占めています」（ミケル・アルテタ）

「とてもハッピー。いろいろな話をしたので時間がかかったけど、僕は今ここにいます。次のステップに進むために、最適なクラブであり、最適な場所だと思っています。美しいクラブであることは、見てもらえばわかるでしょう」

「重要なのは、個人的な野心を達成すること。毎試合、どれだけ自分を追い込み、要求するかです。家族、練習場、チームメイト、コーチングスタッフなど、周囲のすべてに支えられています。それだけに、将来にわたってここにいられることをうれしく思っています」（ブカヨ・サカ）

中盤から後ろが強化されるクラブで、中央に斬り込む機会を増やせれば、サラー、マネ、ソン・フンミンのように得点王を争う存在になれるのではないでしょうか。サイドを主戦場としていたティエリ・アンリやロビン・ファン・ペルシが、エースと呼ばれたように。まだまだ伸びしろが感じられるヤングスターの、さらなる進化が楽しみです。