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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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キング・オブ・スプリント!レスターを優勝に導く岡崎慎司の勲章ともいうべき2つの記録

「Barcelona, we’re coming for you(待ってろ、バルセロナ)」

エースのジェイミー・ヴァーディを欠きながら、プレミアリーグ35節のスウォンジー戦に4-0と快勝したレスターのサポーターは、クラブがチャンピオンズリーグ本大会に出場することが決まった喜びを早くもチャントに乗せていたそうです。いやー、いいですね。対戦相手がどこになるにせよ、レスターが今季のクオリティをキープできれば、欧州でもかなりやってくれるのではないでしょうか。彼らこそが、「カンプ・ノウでバルセロナから勝ち点を奪えるプレミアリーグ唯一のチーム」なのではないかと、気の早いのは重々承知で妄想してしまいます。5月1日あるいは2日に、ラニエリ監督のチームはプレミアリーグ優勝を決めると思われます。「レスターがマンチェスター・ユナイテッドに勝つ」「スタンフォード・ブリッジでチェルシーがトッテナムに勝つ」「レスター、トッテナムがいずれも引き分ける」。この3つのいずれかが起こる確率は極めて高いでしょう。

ホーム最終戦のチケットは100万円以上というお値段まで高騰しており、ホーム、アウェイ、サードとユニフォームはすべて完売。彼らの優勝が決まれば、さらに2つのエキサイティングなイベントが待っています。ひとつは、総額10億円以上となるブックメーカーによる配当金の支払い。プレミアリーグ開幕前に5001倍だったレスター優勝は、スポーツに関するベットでは空前絶後の大穴です。そしてもうひとつは、クラブOBであるガリー・リネカー氏が、12月にツイッターで宣言した「レスターが優勝したら『BBCマッチ・オブ・ザ・デイ』にパンツ1枚で出演する」という公約の実現です。リネカーといわれてもピンとこない、という若い方もいらっしゃるかもしれませんが、イングランド代表で80試合48ゴール、1986年のワールドカップメキシコ大会の得点王です。日本でいえば、イチローがパンツでTVに出るぐらいのインパクトといえば、伝わるでしょうか(微妙ですね)。地元ラジオ番組「ラジオタイム」で約束について語ったリネカー氏は、既に心の準備のほうはできているようです。

「みんなは少し待たなければならない。そのときが来たらやらざるをえないだろう、というしかない」「”頼むからやめてくれ、といってくれないか”と、彼ら(BBC)にお願いしているのだが…。12月にツイートしたときは、優勝の可能性はゼロに近かったはずだ。私は、おっさんにしてはいいカラダをしていると思うけど、これから2週間、壮絶なトレーニングに励むことになるだろう」

見たいようなスルーしたいような…。ご本人にとってはシェイプアップは重要なのかもしれませんが、プレミアリーグファンにとっては、体型がどうこうというお話ではないような気がします。

さて、レスター優勝直前のトピックスをいくつか紹介させていただきましたが、ここからは岡崎慎司のお話です。彼の勲章ともいうべき2つの記録が、イギリスメディアによって報じられていました。プレミアリーグの公式スタッツを提供しているスポーツデータカンパニー「Opta」は、岡崎慎司がリーグ記録に迫っていると伝えています。一般的にはいい記録ではありませんが、今季の岡崎慎司なら「名誉の」と頭につけたくなる「最多途中交代」。過去のレコードホルダーは、フラム、トッテナム、サンダーランドで活躍したフランス人MFスティード・マルブランク。2009-10シーズンにサンダーランドでプレイしていた29歳のマルブランクは、本来のポジションではない左サイドに置かれたことも影響したのか、先発30試合のうち26試合で途中交代。今季33試合出場の岡崎慎司は、そのうち23試合のタイムアップをベンチで過ごしており、残り3試合でラニエリ監督が「いつもの采配」を揮えば、同い年だったマルブランクにぴったり並びます。

後ろに仲間が控えているから、前半からいけるところまで全力でいってくれという指揮官のオーダーに、手を抜くことなく応えた結果でしょう。レギュラーではないのに27試合も出場しているウジョアも凄いです。マフレズとオルブライトンも交代がそれぞれ21試合もある一方で、アンディ・キングとネイザン・ダイアー、ジェフリー・シュラップの途中出場がトータル36試合。ラニエリ監督は、サッカーの世界に初めて「クローザー」の概念を持ち込んだのかもしれません。

そしてもうひとつ、岡崎慎司らしい記録を紹介していたのはイギリスメディア「デイリー・メール」。「Chelsea goalkeeper Asmir Begovic didn’t impress Antonio Conte and Shinji Okazaki is king of sprints – 10 THINGS WE LEARNED(チェルシーのGKベゴヴィッチはコンテ新監督に印象を残せず、岡崎慎司はスプリントの王様である~われわれが学んだ10のこと)」と、10個のトピックスを紹介している記事は、岡崎推しの大見出しです。スウォンジー戦で73分間ピッチにいた日本代表ストライカーは、86回もスプリントをしていたとのこと。プレミアリーグ35節で、90分フル出場を果たした選手でもこれを超える数字はなく、「キング・オブ・スプリント」という極上のリスペクトは決して大げさではありません。

残り3試合、優勝まであと1勝です。プレミアリーグ5ゴールは、本人にとっては納得のいく数字ではないかもしれませんが、イングランドの目が肥えたサッカー記者やファンは、86回のスプリントという価値を理解してくれています。このうえは、優勝を決めるゲームで、決勝ゴールを奪ったのが岡崎慎司だったら最高ですね。できれば週末のマンチェスター・ユナイテッド戦ではなく、エヴァートンと戦うホーム最終戦、キングパワー・スタジアムのほうでお願いいたします。オールド・トラフォードで岡崎が決めたゴールに拍手を送れるほどには人間ができていませんので…。

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“キング・オブ・スプリント!レスターを優勝に導く岡崎慎司の勲章ともいうべき2つの記録” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    たとえ記録が華やかなものでなくても、日本人がプレミアの地で、チームに貢献する記録を残すというのは誇らしいです。まして、在籍チームが優勝目前で、岡崎自身も多大な貢献をしているとなれば尚更ですね。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    そうですね。表向きの記録だけでなく、見るべきを見て評価しているところにも喜びがあります。その意味では、逆に吉田麻也の評価は厳しくなっているはずですので、来季はがんばってほしいです。

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