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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

主要スタッツは軒並みダウン。現地記者が指摘する「マルティン・ウーデゴーアが輝きを失った理由」

「なめらかではなく、バタバタすることもない。何しろ走るスペースがないからね。時速100マイルで走りたいのに、渋滞に巻き込まれている。周りにバスが3台、タクシーやバイクが55台もいれば、やっかいだ」

アーセナルの得点力が落ちた理由について、ミケル・アルテタ監督は「相手の戦い方の変化」を挙げています。開幕当初は、優勝候補と見做されていなかった昨季は38試合で88ゴール。マン・シティとのマッチレースという予想が増えた今季は、プレミアリーグ13節までで27ゴールしか決めていません。

The data that shows Martin Odegaard is victim of Arsenal’s defensive shift(マルティン・ウーデゴーアが守備シフトの犠牲者であることはデータが示している)」。スペースを使えなくなったアーセナルのなかで、最も苦しんでいるのはキャプテンと指摘しているのは、「テレグラフ」のサム・ディーン記者です。

わかりやすいレポートが取り上げたデータのなかで、最初に着目すべきは、早い時間帯にゴールを決められなくなったことでしょう。昨季プレミアリーグでは、20分までに19ゴールをゲット。これは全体の22%を占めています。対して今季は、ボーンマス戦の17分にブカヨ・サカが決めた1発のみ。シーズンを通じて3つしかなかった1-0の勝利は、既に4つを数えています。

クリスタル・パレス、エヴァートン、マンチェスター・シティ、ブレントフォード。カウンターをケアしながら最少ゴールで競り勝った4試合のファーステストゴールは、クリスタル・パレス戦の53分にウーデゴーアが成功させたPKです。前半7ゴール、後半20ゴールのスロースターターは、ハーフタイムにリードしていた4試合はトータル14ゴールで全勝しています。

「昨年は、早い時間帯に多くのゴールを決めた。そうなると試合は変わってくる」(ミケル・アルテタ)

守備的な戦い方で接戦に持ち込もうとするクラブが増えたため、スペースを活かすのがうまいウーデゴーアが輝く試合が減ったという記者の主張を受けて、2シーズンのスタッツを比較してみましょう。昨季はプレミアリーグ37試合15ゴール7アシスト。今季は10試合3ゴールで、アシストはひとつしかありません。

25本のうち6本を成功させていたスルーパスは、6本出して通ったのは1本のみ。1試合あたり2.1本だったキーパスは1.6本、1.5本だったロングフィードは1.0本と、影響力があるプレイが減っています。サム・ディーン記者は、中盤の顔ぶれの変化も苦戦の要因のひとつといっています。1試合あたり8.5本のパスを8番に出していたトーマスに対して、デクラン・ライスは5.2本です。

なるほど、確かにパフォーマンスは落ちています。その理由のひとつとして、鼠径部、臀部の負傷に脳震盪が重なり、トップフォームで戦える試合が減ってしまったということもあるでしょう。だとすると今後は、稀代のプレーメイカーのラストパスやミドルシュートで勝利に辿り着く試合が増えるはずです。

キャプテンとジェズスが不振でもプレミアリーグで首位のクラブが、全員元気なら破壊力抜群であることは、6-0で圧勝したランス戦が証明しています。本日はウルヴス。先制されて前がかりになったところで、マテウス・クーニャとファン・ヒチャンが仕掛けるカウンターを喰らうのが最悪のシナリオです。

キックオフから15分以内のゴールがないアーセナルは、アドバンテージをもって戦える展開に持ち込めるでしょうか。エミレーツでの最初のチェックポイントは、キャプテンがプレイを始めるエリアです。デクラン・ライスの鋭いパスを、ボックスに近いエリアで受けられればOK。自陣に下がってもらい、ドリブルで上がると既にスペースはなし…となれば苦戦必至です。


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