勝って当然、負ければ騒然…移籍金レコードの重圧に耐えるカイセドは、苦難の時を乗り越えられるのか?
「昨季は、最初の質問が移籍金ばかりだった。今は、誰もがフットボールについて聞いてくれる」。発言の主は、ポール・ポグバ。2017年の夏、ネイマールが2億2200万ユーロでバルサからパリに移籍した後の言葉です。前年に8900万ポンドでマンチェスター・ユナイテッドに復帰したMFは、ネイマールが叩き出した倍額以上の世界レコードで、プレッシャーから解放されたそうです。
モイセス・カイセドは今、ポグバと同じ苦しみを味わっているのでしょう。1年前、カイセド獲得のトップランナーといわれていたのはアーセナルでした。オープニングオファーは6000万ポンド。ブライトンに拒否されると、6500万ポンドとアドオン500万ポンドに引き上げました。クラブ史上初のEL出場権をめざしていたクラブは、絶対に売らないと通告したといわれています。
ビッグクラブでプレイしたかったカイセドが、SNSで移籍志願という荒業に打って出ると、ブライトンはトレーニングの参加を禁止し、トランスファーマーケットが終わるまで自宅待機を命じました。交渉は決裂。獲得を断念したアーセナルは、ジョルジーニョを1200万ポンドで押さえ、夏のターゲットをウェストハムのデクラン・ライスに切り替えました。
2022-23シーズンが終わり、カイセドのブライトンは6位フィニッシュでEL出場決定。デクラン・ライスはECL制覇という別ルートで、ウェストハムを3年連続の欧州に導きました。ブライトンもハマーズも、売却容認にシフトチェンジ。半年前にムドリクをチェルシーにさらわれていたアーセナルは、速攻でマン・シティに競り勝ち、ハマーズのキャプテンを手中に収めました。
カイセド獲得の本命はチェルシー。ブライトンとは、1億ポンドで合意と報じられていました。デクラン・ライスが幸運だったのは、このディールがすぐに決まらなかったことです。ハイジャックを狙ったリヴァプールのオファーは、アーセナルに移籍したMFを超える1億1000万ポンド。チェルシーはすかさず巻き返し、プレミアリーグレコードの1億1500万ポンドで決着しました。
移籍金レコードに伴うプレッシャーを回避したデクラン・ライスは、すぐにアーセナルにフィットし、10年前からプレイしていたかのように振る舞っています。片やカイセドは、プレミアリーグ通算45試合出場という浅いキャリアで、史上最高の選手のように祭り上げられてしまいました。新監督の下に14人の新戦力をあてがったチェルシーは、未だ低空飛行を続けています。
カイセドはチェルシーの低迷の元凶か?いや、そんなことはないでしょう。序盤戦は手探りで戦っている感があり、好不調の波がありましたが、年明けからは攻守の関与度が低い試合が減っています。経験値が高いとはいえない選手が、試行錯誤を続けるチームに加わったため、もの足りなさを感じさせるゲームが多かったのではないでしょうか。
チームと本人に事情はあれど、最高額の移籍金はついてまわります。デクラン・ライスと比べられると劣勢というだけでなく、リヴァプールが代役として獲得した遠藤航が活躍し始め、昨季までチェルシーにいたジョルジーニョも素晴らしいパフォーマンスを披露しています。遠藤航は1600万ポンド、ジョルジーニョは1200万ポンド。記者もファンも、こういうネタは大好きです。
「カイセドの1/7の値段だったエンドーが、トロフィー獲得に貢献した」「アーセナルとリヴァプールは賢明な補強をした」。いやいや、彼らは交渉に失敗したり、争奪戦で負けたりしただけです。今でもカイセドを獲れると聞けば、スルーせずに値段を確認するでしょう。もとい、初年度の2月に良し悪しを断じるのは急ぎすぎです。
それにしても…。移籍金の額が近いデクラン・ライスと、格安のベテラン2人の包囲網は、22歳のMFにとっては厳しい環境です。彼らは揃ってキャプテン経験者で、こちらは2年前までブライトンで出番を得られなかった選手なのですから。せめて移籍金がアーセナルのアンカーより安ければ、現状よりは目立たずに過ごせたのではないでしょうか。
フラーフェンベルフの足を踏んでしまったシーンは、彼にとってもアクシデントだったのだと思われますが、気遣う姿勢を見せなかったこと、レファリーがカードを出さなかったこと、彼が負傷してしまったことで、激しい非難を浴びてしまいました。直近のプレミアリーグ2シーズンでイエロー18枚という「前科」も、旗色を悪くする原因となったようです。
8年プラス1年のオプションという長期契約を結んだMFは、指揮官に不要と見做されれば、移籍金を回収するためのローン移籍の連鎖に足を踏み入れる可能性があります。今はただ、有望な選手がときどき襲われる試練を乗り越えてほしいとしかいえません。本日はリースとのFAカップ5回戦。欧州に行きたいチェルシーにとっても、巻き返しを図りたい彼にとっても大事な試合です。
モイセス・カイセドは今、ポグバと同じ苦しみを味わっているのでしょう。1年前、カイセド獲得のトップランナーといわれていたのはアーセナルでした。オープニングオファーは6000万ポンド。ブライトンに拒否されると、6500万ポンドとアドオン500万ポンドに引き上げました。クラブ史上初のEL出場権をめざしていたクラブは、絶対に売らないと通告したといわれています。
ビッグクラブでプレイしたかったカイセドが、SNSで移籍志願という荒業に打って出ると、ブライトンはトレーニングの参加を禁止し、トランスファーマーケットが終わるまで自宅待機を命じました。交渉は決裂。獲得を断念したアーセナルは、ジョルジーニョを1200万ポンドで押さえ、夏のターゲットをウェストハムのデクラン・ライスに切り替えました。
2022-23シーズンが終わり、カイセドのブライトンは6位フィニッシュでEL出場決定。デクラン・ライスはECL制覇という別ルートで、ウェストハムを3年連続の欧州に導きました。ブライトンもハマーズも、売却容認にシフトチェンジ。半年前にムドリクをチェルシーにさらわれていたアーセナルは、速攻でマン・シティに競り勝ち、ハマーズのキャプテンを手中に収めました。
カイセド獲得の本命はチェルシー。ブライトンとは、1億ポンドで合意と報じられていました。デクラン・ライスが幸運だったのは、このディールがすぐに決まらなかったことです。ハイジャックを狙ったリヴァプールのオファーは、アーセナルに移籍したMFを超える1億1000万ポンド。チェルシーはすかさず巻き返し、プレミアリーグレコードの1億1500万ポンドで決着しました。
移籍金レコードに伴うプレッシャーを回避したデクラン・ライスは、すぐにアーセナルにフィットし、10年前からプレイしていたかのように振る舞っています。片やカイセドは、プレミアリーグ通算45試合出場という浅いキャリアで、史上最高の選手のように祭り上げられてしまいました。新監督の下に14人の新戦力をあてがったチェルシーは、未だ低空飛行を続けています。
カイセドはチェルシーの低迷の元凶か?いや、そんなことはないでしょう。序盤戦は手探りで戦っている感があり、好不調の波がありましたが、年明けからは攻守の関与度が低い試合が減っています。経験値が高いとはいえない選手が、試行錯誤を続けるチームに加わったため、もの足りなさを感じさせるゲームが多かったのではないでしょうか。
チームと本人に事情はあれど、最高額の移籍金はついてまわります。デクラン・ライスと比べられると劣勢というだけでなく、リヴァプールが代役として獲得した遠藤航が活躍し始め、昨季までチェルシーにいたジョルジーニョも素晴らしいパフォーマンスを披露しています。遠藤航は1600万ポンド、ジョルジーニョは1200万ポンド。記者もファンも、こういうネタは大好きです。
「カイセドの1/7の値段だったエンドーが、トロフィー獲得に貢献した」「アーセナルとリヴァプールは賢明な補強をした」。いやいや、彼らは交渉に失敗したり、争奪戦で負けたりしただけです。今でもカイセドを獲れると聞けば、スルーせずに値段を確認するでしょう。もとい、初年度の2月に良し悪しを断じるのは急ぎすぎです。
それにしても…。移籍金の額が近いデクラン・ライスと、格安のベテラン2人の包囲網は、22歳のMFにとっては厳しい環境です。彼らは揃ってキャプテン経験者で、こちらは2年前までブライトンで出番を得られなかった選手なのですから。せめて移籍金がアーセナルのアンカーより安ければ、現状よりは目立たずに過ごせたのではないでしょうか。
フラーフェンベルフの足を踏んでしまったシーンは、彼にとってもアクシデントだったのだと思われますが、気遣う姿勢を見せなかったこと、レファリーがカードを出さなかったこと、彼が負傷してしまったことで、激しい非難を浴びてしまいました。直近のプレミアリーグ2シーズンでイエロー18枚という「前科」も、旗色を悪くする原因となったようです。
8年プラス1年のオプションという長期契約を結んだMFは、指揮官に不要と見做されれば、移籍金を回収するためのローン移籍の連鎖に足を踏み入れる可能性があります。今はただ、有望な選手がときどき襲われる試練を乗り越えてほしいとしかいえません。本日はリースとのFAカップ5回戦。欧州に行きたいチェルシーにとっても、巻き返しを図りたい彼にとっても大事な試合です。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
コメントを残す