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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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セスク、ルーカス・ぺレス、岡崎…現地はどう見た!?EFLカップの2ゴールでレギュラーを狙う男たち

マイケル・キャリック、メンフィス・デパイ、セスク・ファブレガス、ヴァンサン・コンパニ、ルーカス・ペレス、ボルハ・バストン、ロリス・カリウス、そして岡崎慎司。EFLカップは、プレミアリーグで不遇をかこつ実力者やフィットしていない期待の新戦力、あるいは負傷やコンディション不良で出遅れたレギュラークラスの選手たちにとって、貴重なアピールの場でもあります。7月に35歳になったキャリックは、チームには経験値が必要なのだと証明する彼らしいさばきと美しいゴールを披露し、プレミアリーグでまだ顔を見せていないコンパニは、敵陣でのインターセプトや高速フィードを連発。ペップのサッカーで必要となるCBであるところを見せてくれました。

しかし、ミッドウィークのEFLカップで注目すべき選手は、今まで控えに甘んじながら2ゴールを挙げた3人なのではないでしょうか。レスターVSチェルシーの前半に泥くさいゴールを連発した岡崎慎司、2-2の延長戦で有無をいわさぬ2発を叩き込んだセスク・ファブレガス。ノッティンガム・フォレスト戦の後半に、PKとクレバーなゴールを決めたルーカス・ぺレス。レギュラー奪取をめざす彼らのゴールシーン、現地の評価、今後の見通しなどについてまとめていきたいと思います。

「先発で出られたのがうれしかったね。これで、くだらないことばかりいっているジャーナリストたちが黙ってくれるといい」と語ったのは、レスター戦勝利の立役者となり、「デイリー・メール」にこの試合における最高採点の「8」をもらったセスク・ファブレガスです。コンテ監督就任後、プレミアリーグでの出場機会が激減したスペイン人MFにまつわる記事は、「不満」「確執」「放出」「移籍」などの言葉をローテーションでまわすゴシップばかり。突発性低気圧に見舞われたのは8月末からで、「ザ・サン」が「コンテ監督はセスクを必要としておらず、移籍容認」とぶち上げると、「エクスプレス」は「ユヴェントスなどイタリアのビッグクラブが冬のマーケットで争奪戦」と報道。昨季までの主力がプレミアリーグで26分しか使われていなければ、マスコミの餌食になるのがこの世界の常ですが、本人は二重に悔しい思いをしていたでしょう。

延長戦開始から2分、4分に立て続けにゲットしたレスター戦のゴールは、ヴァシリエフスキが退場となり、脆弱になった相手の守備陣を一気に崩しにいったチームの作戦勝ちを物語る2発。ゴール前にスペースが空くと目ざとく見つけて入り込むセスクのセンスと、シュートコースがどこにあるかを冷静に見極める判断力が最高の結果を導き出しました。感動的なゴールではあったのですが、この活躍で彼の出番が増えるかといわれれば微妙です。コンテ監督がカンテの守備力とマティッチの運動量を手離すとは思えず、争う相手はオスカルでしょう。「早く前へ」の新指揮官は、今のところセスクの展開力よりもオスカルの局面打開力を買っているようで、慎重なコンテさんを翻意させるには時間がかかるかもしれません。とはいえ、終盤のゴールがほしい場面で登場した4番が決定機を創り出し、ジエゴ・コスタとの相性のよさを認められれば道は開けるはずです。

同じ試合の岡崎慎司は、ゴールというものはルール上定められたラインをボールが越えればいいのであって、鮮やかさは必ずしも必要ないといわんばかりの2本を揃えました。GKベゴヴィッチの読みを欺いたヘッドとダヴィド・ルイスを抑えて決めたボレーについて、まずはラニエリ監督が「岡崎は賢かったね。2度とも相手を見切っていた」と絶賛。これに続いてイギリスの現地メディアも、最大級の賛辞を並べています。

地元紙「レスター・マーキュリー」は、ドリンクウォーターと並ぶ8点と評価したうえで、「失われた信頼を取り戻すことになる。不屈のハードワークに対する報酬だ」とコメント。「BBC」の解説者であり、クラブOBであるガリー・リネカー氏は、「フットボールにおいて、岡崎のゴール後の笑顔よりも素晴らしい光景はなかなかない」と、地元のサポーターが大きくうなずく表現で日本代表のストライカーの活躍を称賛していました。「デイリー・メール」の採点はセスクに次7.5。「スカイスポーツ」のマッチレポートは、「岡崎慎司とアーメド・ムサがチェルシー守備陣に大混乱を起こし、レスターは意気揚々と4回戦に向かっていた」と振り返っています。最終的には逆転負けを喫してしまい、カップ戦をひとつ失ったラニエリ監督は、プレミアリーグでの布陣をどうするでしょうか。

楔のパスをうまくさばき、タイミングよく縦に走れる岡崎か、横からのボールにも強く、得点力で勝るイスラム・スリマニか。ムサの使い方も含めて、イタリア人監督の試行錯誤はしばらく続くかもしれません。岡崎が定位置を奪取するには、この2ゴールだけでは不充分でしょう。プレミアリーグやチャンピオンズリーグでも結果を出し、スリマニを攻撃への比重を高めたいときや主力が疲れているときに呼ばれる選手にさせたいところです。

ノッティンガム・フォレストに0-4で圧勝したEFLカップで、ルーカス・ぺレスがその実力の一端を披露しました。60分に自らのパスで呼び込んだPKを決めた後、縦パスに反応してGKまで抜き去った2点めが彼の真骨頂です。このゴールが素晴らしかったのは、パスに対して駆けっことなったとき、相手が先に触るとみて、肩で当たって体勢を崩させた後のタッチを奪いにいくと切り替えた的確な判断でした。シュートを打つタイミングも申し分なし。この活躍を見た「スカイスポーツ」が、「Lucas Perez gives Arsenal ‘a new attacking option’, says Alan Smith(アラン・スミスは、ルーカス・ぺレスがアーセナルの攻撃に新しいオプションを与えたと語っている)」と題した記事を掲載しました。アラン・スミス氏は彼の強さと瞬発力をほめ、ヴェンゲル監督は速さ、決断力、インテリジェンスあふれるプレイぶりをリスペクトしています。今回取り上げた2ゴールの3人のなかで、最もレギュラーポジションに近いのは彼でしょう。ジルーがつま先を痛めている間にさらにゴールを決めれば、昨季プレミアリーグで16ゴールを決めたフランス人のほうが、終盤のオプションとしてカウントされることになるかもしれません。

何しろ、3人ともゴールシーンが感動的でした。ルーカス・ぺレスはこれからですが、岡崎慎司とセスクはここ2年の優勝クラブの中心にいた選手です。プレミアリーグでも真価を発揮し、再びチームの中心として活躍していただければと思います。今週はお見事。引き続き、がんばってください!

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