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直近16試合でわずか1本!? メスト・エジルのアシスト数が激減した理由

「メスト・エジルにアシストがない」…イギリスメディア「メトロ」が、昨季プレミアリーグのアシスト王の異変を取り上げています。 彼らによると、昨季は2月までの27試合で18のアシストを積み上げていたコントロールタワーは、今季初登場となった2節からの6試合を含む直近16試合のプレミアリーグで、わずか1アシスト。2015-16シーズンのアーセナルは、3月以降の11試合を5勝5分1敗で終え、トッテナムをかわして2位フィニッシュ。この間のゴール数は22と、決して少なくはありません。2016-17シーズンに入り、エジルが出場した6試合は5勝1分で13ゴールと好調で、11番は既に2ゴールを挙げています。ご本人に不調は感じられず、出場した試合は10勝5分1敗と悪くないのに、なぜアシストが減ってしまったのでしょうか。昨季13アシストで2位だったエリクセンは2アシスト、3位だったパイェは3アシスト、今季ここまで最もアシストが多いデブライネは4つ記録しているのに、ガナーズの司令塔は未だゼロです。

理由として考えられることのひとつは、ジルーのコンディションです。2015-16シーズンの後半戦から、エースストライカーの動向を振り返ってみましょう。年明け以降、ジルーがゴールを決められなくなってから、プレミアリーグのレコード更新は確実といわれていたエジルのペースが鈍り始め、2月にウェルベックが復帰するとスタメンから外される試合が増えました。最終戦でハットトリックを達成するなど、最後の最後でゴールの感触を思い出したジルーは、ユーロ2016出場による出遅れと負傷で新シーズンはまともにプレイできておらず、ここまでの出場時間はわずか51分。空中戦に強く、ワンタッチゴールがうまいストライカーがいない時間が増えれば、エジルが中央にピンポイントのクロスをフィードする頻度も少なくなります。いい時期と悪い時期の差が激しいストライカーが、エジルの数字を左右している面はあるでしょう。

今季に関しては、トップにいるのがアレクシス・サンチェスであることも大きいでしょう。ワトフォード戦ではアレクシスのクロスをエジルがボレーで決め、チェルシー戦のカウンターでも、アレクシスの浮き球をエジルがダイレクトで叩いてネットを揺らしています。クロスに合わせるよりも、自ら持ち込んだり周囲の選手との短いパス交換から決めることが多いアレクシス・サンチェスは、お膳立てがうまい選手でもあります。2人の息は合っているのですが、エジルがピンポイントのクロスをアレクシスに合わせようとする機会は少なく、決定機ではエジルがフィニッシャーにさせられ、「アレクシス・サンチェスのアシストをアシスト(!?)」しているのです。エジルのアシストが減ったという現象は、ネタとしては興味深いのですが、必ずしも悪いことではありません。サイドの選手を走らせるパスや、中が空いたと見るやすかさずぶちこむ高速の楔は健在で、11番がガナーズの攻撃に変化をもたらしているのは昨季前半戦と変わりません。

エジルが決して不調ではないと証明するデータを紹介しましょう。今季プレミアリーグにおけるパス本数ランキングです。上位の顔ぶれを見ると、ヘンダーソン、グイェ、カソルラ、カンテ、フェルナンジーニョ、ドリンクウォーター…。10位までのほとんどを、攻守のハブとなるアンカーとセントラルMFが占めており、他のポジションから入ってきているのはコラロフとアスピリクエタのみです。エジルはこのランキングで16位の380本と、攻撃的MFといわれる選手ではトップ。すぐ上にはホイビュルク、スティ-ブン・デイヴィス、ポグバがいますが、いずれもセントラルMFに入ることが多い選手たちです。これだけパスを供給していながら、クロスの本数は40本のパイェの半分にも満たない16本で、39位。ヘンダーソンやジョー・アレンよりも最前線へのラストパスが少ない選手が、直接的なゴールへの関与を示す数字を減らしているのは、貢献の仕方が変わったからといえるのではないでしょうか。

逆にいえば、ジルーがトップフォームを取り戻し、ルーカス・ペレスが本領を発揮できるようになれば、エジルはクロスとスルーパスの本数を増やし、アシストランキングのトップに返り咲くのではないでしょうか。予想しましょう。今季プレミアリーグのアシスト王は、2年連続でメスト・エジルとみます。ここまでゼロ?いやいや、トップが4なら、ちょうどいいハンディキャップです。

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“直近16試合でわずか1本!? メスト・エジルのアシスト数が激減した理由” への6件のフィードバック

  1. ひろと より:

    グーナーです。
    全く同感です。
    エジルがどれだけチームに貢献しているかは毎試合みていれば、数字のことなど疑問に思わなくてすみます。
    年を重ねる毎に、アーセナルの選手としてフィットしていくのが喜ばしい限りです(まわりの選手が天才に合わせて成長したとも言えるかも?)。
    アシスト王になれるかは分かりませんが、ジルーが返ってきたときにはエジルはプレースタイルを柔軟に変えれば、さらに攻撃に厚みが増すでしょう。
    今のアーセナルには珍しく(失礼)、プランが3〜4通りほどあるので心強く思っております。
    前節バーンリー戦のように、ベタ引き相手の試合ではジルーがいてくれた方がエジルもやりやすかったかなと思います。
    というわけで、エジルのためにも、早く帰ってこいジルー。

  2. 新参 より:

    数字ではそんなことになってるんですね…
    今季はサンチェスとのコンビネーションが良くなっている印象を受けますし、よりサンチェスがストライカーらしい動きをし始めたら、ジルー以上の相棒になりうる気がします。

  3. ヤンガナ大好き! より:

    この記事、読みました!面白かったですね。確かMETROではなく、ESPNだったと思いますが。

    記事の通り、アシスト数が少ないのはジルーの体調不良とペレスのフィットレスでエジルがシャドーストライカーの役割を担っている点が大きいと思っています。エジルが不調ではない証拠に、今期のリーグ戦パス成功率は現時点で90%を越え、トップ下ではウィルシャーについでNo.2です(リーグ11位)!

    ただし、バーンリー戦でわかったように完全に引いてくる相手に今のメンバーによる戦術だけでは中々得点するのが難しいと思います!ジルーかペレスをトップに据えたプランBを使い始めれば、彼のマジックアシストは増えて行くと思ってます。実際、10月のリーグ戦は引いてくる相手が多いので、ベンゲルさんには柔軟な戦術と、メンバーのターンオーバーを期待します!

  4. queen より:

    思うにエジルは「数ある選択肢の中で、最もチームが勝利できる選択肢を選ぶ」スタイルを貫く選手ではないでしょうか。それが昨シーズンはアシスト数と言う結果に表れましたが、今シーズンはチームの好調という形となっています。
    ですので、最終的なアシスト数がいくつであれ、彼のことは尊敬します。

  5. どど より:

    エジルファンとしては微妙な記事(原文の方)だったので、このようにフォローして頂けるとありがたい限りです
    個人的には、今年はシュートの年なのかなぁと眺めているのですが…
    1〜2年目でフィジカル、次にとりあえず何でも良いからタイトル、そして自分の為のタイトル…の為に分かり易いシュートかと
    長期的に考え実行に移す彼らしいパフォーマンスだと思いますが、ファンとしてはやはりキングを見たいですね〜
    戦術的には代表を見てると違和感ない程のゼロトップ、そしてゴシップ向けの効果が分かり難いプレー内容…絶対的なストライカーと組ませてあげたい‼︎と切に願うばかりです

  6. makoto より:

    ひろとさん>
    エジルが悪くないにも関わらず、2ゴールでアシストゼロというのは、昨季よりも攻撃が多彩になった証かもしれません。ジルーが戻り、相手が引いてきたら必殺ピンポイントクロスの出番ですね。

    新参さん>
    楽しみですよね。アレクシスのお膳立てでエジルが年間15ゴール!(ただしアシストはひとケタ)でもそれはそれでいいのですが。

    ヤンガナ大好き!さん>
    私が参照した元記事はこちらですね。
    http://metro.co.uk/2016/10/04/arsenals-mesut-ozil-has-just-one-assist-in-his-last-16-premier-league-games-6169507/
    おっしゃるとおり、チャレンジするパスが多いのに成功率が高いんですよね。アシストはこれから増えてくるものとみています。

    queenさん>
    そうですね。勝利以外に対するこだわりが少ないですよね。クレバーな選手だなといつも思います。

    どどさん>
    元の記事は、表面的な感があったので(ヒマつぶしフリーペーパーのメトロですから当然なのですが)、私なりに深掘りしてみました。どこをどう取っても、今のところはネガティブな要素はないですね。数字は、これから変わってくるでしょう。

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