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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

代表でもクラブでもベンチへ…キャリアの転機を迎えたウェイン・ルーニーの未来を考える。

 イングランド在住のスポーツライター・山中忍さんが、「フットボールチャンネル」「サッカーダイジェスト」にて、代表でもクラブでもベンチスタートとなったウェイン・ルーニーの苦境についてレポートしています。論旨は、「どのポジションにおいても一番手ではないのがつらい」「中盤に転向したほうがいいのではないか?」「いずれにしても時間がほしいところ」。おっしゃるとおり、マンチェスター・ユナイテッドでもイングランド代表においても、ルーニーを起用する可能性があるポジションには突出したタレントがいます。

クラブの最前線には、プレミアリーグで既に4ゴールを挙げているイブラヒモヴィッチが構えており、もはや不動。トップ下を置くならマタのゲームメイクやポグバの推進力と比べられます。4-3-3なら、サイドにはマルシアル、ラシュフォード、リンガード。アンカーにフェライニやキャリックが入り、ポグバとルーニーがインサイドMFという布陣は充分に考えられますが、モウリーニョ監督はエレーラやマタと天秤にかけ続けるでしょう。決める力はズラタン&ラシュフォード、遠めから狙わせればポグバ、ゲームを創るのはマタ、スピードではマルシアル、守備ならキャリックとフェライニ。すべてにおいて高いレベルにあるルーニーは、すべてのポジションで自分よりも一芸に秀でた選手と戦うことになります。プレミアリーグで2戦連続のスタメン落ちとなったキャプテンは、自分がいればチームはスムーズに動くのだということを、短い時間で証明してポジションを奪い返さなければなりません。

イングランド代表でも、キャプテンは同じ悩みを抱えています。最前線には昨季プレミアリーグで25ゴールと、8本に留まったルーニーの3倍以上のゴールを決めたハリー・ケイン。トップ下でもインサイドMFでも得点シーンによく絡むデル・アリは、完全に主力に定着しました。運動量、連携力、さばく速さが際立つララナはキャプテンよりも攻撃をペースアップでき、ロングフィードでは互角でも守備力でヘンダーソンには勝てそうにありません。11シーズン続けたプレミアリーグ10ゴール以上を昨季で止めてしまった10番は、最後までストライカーとして勝負するのか、スコールズになるのか、さらにその後ろで新境地をめざすのか。代表とクラブ双方で、難しい判断を強いられています。

「現状を乗り越えなければならない。対処できるはずだ。まだ30歳で、35や36じゃない。イングランド代表でのプレイをやめたりはしない。『もう充分プレイした』と代表から離れるのは簡単だったけど、そうはしたくない。サウスゲイト監督にも、ワールドカップロシア大会まではやると伝えている。 これを翻すつもりはない」
「30歳になったギグスは18歳の頃と同じではなかったけど、彼は40歳までプレイした。それは大きなお手本だ。選手は再評価されることがある。それは自分にも起こりえることだ。昔とは違うけど、今でもチームを支えられるクオリティはあると思う。 難しい状況に立たされていることは否定しないけど、こういうときこそ正しい態度でいなければならない。ポジティブに振る舞い、チームメイトをサポートしたい」(ウェイン・ルーニー)

代表での記者会見で、悔しさを押し隠して率直に心境を語ったルーニーの眼には、中盤の選手として活躍する自身の姿が映っているのではないでしょうか。スピードに長けたサイドアタッカーから、晩年にはセントラルMFをこなすようになったギグスの名前を出しているところからも、その意向が窺えます。私が、ルーニーに期待したいのは「ララナやマタよりもゴールが奪えるインサイドMF」、例えるなら、スコールズというよりは軽々とプレミアリーグ10ゴールに乗せてしまうフランク・ランパードです。その道があるとするならば、今のルーニーに足りないのは、ダイレクトやツータッチでさばくスピーディなパスワークと、バイタルエリアではシュートを最優先とする獰猛な姿勢でしょう。

マンチェスター・ユナイテッドでは、ルーニーが持ちすぎるためにペースダウンしてしまうことが多く、バレンシアやマルシアルがサイドで勝ってもボックスの中にはズラタンのみというシーンもしばしば見られます。力むからか、時折打つシュートが弱々しくGKの正面にいってしまうことが増えたルーニーが、ソン・フンミンやアレクシス・サンチェスのようなコーナーにズバリと決まるミドルシュートを思い出せば、マタやララナよりも10番をというチョイスが増えるでしょう。モウリーニョ監督やサウスゲイト監督は、「何でも中の上」のルーニーを、どこで使っていいかわからなくなっているのではないでしょうか。元より、嗅覚や強さで勝負してきたストライカーではなく、正確なキックと相手の読みを外すクレバーなプレイが持ち味です。ララナのように速くさばき、デル・アリのように隙あればすかさずシュートを狙い、マタがしばしば見せる裏への飛び出しが冴えるようになれば、確実にフィニッシュできるルーニーは必要とされるはずです。

プレミアリーグ7試合1ゴールという数字には、何の不安もありません。毎シーズン、1~2ヵ月ゴールがない時期がある選手で、2010-11シーズンは年明けまでPK1本しか決めていませんでした。しかし、このシーズンも最後は11ゴールまで積んだように、どこかで必ず固め獲りする選手でもあり、寒くなるにつれて調子は上がってくるでしょう。問題は、「どこで、どうやって」です。「デイリー・ミラー」で、リヴァプールOBのディトマール・ハマンさんが、「マンチェスター・ユナイテッドはルーニーを先発させるべき。ピッチ上の全員にとって大きなメリットがある。ズラタン・イブラヒモヴィッチの後ろで、10番としてね」とおっしゃっておりましたが、私はいわゆる8番を推したいと思います。スピードや鋭いフェイントで相手をかわすことができなくなってきた元ストライカーは、前で標的にされるより、前線への的確なフィードと後ろからスペースを見つけて入り込む動きを極めたほうが、よりゴールに絡めるのではないかというのがその理由です。

プレミアリーグ第3節、0-0のまま追加タイムに突入してしまったバーンリー戦の最後に左サイドから上がったルーニーは、ボールを押し出すタイミングだけで相手を抜き去り、点で合わせる見事なグラウンダーでラシュフォードの決勝ゴールを演出しました。スピードもフィジカルも必要とせず、判断力と正確なキックだけでゴールを陥れたあのプレイこそ、ルーニーの真骨頂です。必ず、復活すると信じています。ただし次は、おそらく新しいスタイルで。年末までかかっても構いません。それまでは、ズラタン、ポグバ、マルシアル、マタが何とかしてくれるはずです。「決められるセントラルMF」ウェイン・ルーニーの誕生を、心より楽しみにしております。(フランク・ランパード 写真著作者/Ben Sutherland)

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“代表でもクラブでもベンチへ…キャリアの転機を迎えたウェイン・ルーニーの未来を考える。” への5件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    給料高いので損切りも難しそうですね

  2. 雨好 より:

    更新お疲れ様です。
    他人の芝は…とはいいますが普通に考えたら凄く羨ましい悩みですよね。ですがポグバとルーニーがセンターハーフで並ぶイメージは自分にはどうしても浮かばないのでそうなるとポグバをあげるんでしょうか?人や基本フォメを変えないイメージがついた近年のモウですし。ライバルチームのエースとはいえこのまま控えのマルチロールに落ち着けるのだけはやめて欲しいです…。

  3. ゆうま より:

    サッカー選手が以前より選手寿命が伸びたと言われるのは
    選手がしてアスリートとしてサッカーに取り組むようになったからで
    昔ながらの英国人フットボーラー気質の選手としてキャリアを送ってきたルーニーが
    以前サッカー選手のように30過ぎたら急速に力が衰えるのは当然のことだと思いますし
    これまでの積み重ねが有って今があるのですから30過ぎて衰えた選手が
    復活した例が殆ど無いのでルーニーはキャリア晩年を
    どう締めくくるかを考える時が来たのではないでしょうか

  4. ドラカリス より:

    将来的には古巣エバートンに戻るのはどうでしょうか。いずれビッグクラブへステップアップするだろうルカクや、年齢的に下り坂のバリーあたりのポジションが空きそうですが。

  5. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    そこまで考えるべき状況ではないかなと思います。

    雨好さん>
    アンカー置いてインサイドにポグバとルーニー、ならありではないかと思います。

    ゆうまさん>
    ギグスのようにプレイスタイルを変えて生き残る、トッティやジダンのようにいいところを活かしながら生きながらえるという道はあるのではないかと思います。

    ドラカリスさん>
    ルーニーが減給を呑んででも最後は古巣へ、と望めばありますね。そうなったら応援し続けます。

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