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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ビッグセーブ、完璧ヒールパス…週末にプレミアリーグファンを熱狂させた5つのスーパープレー!

プレミアリーグ第8節は、上位クラブで快勝したのはチェルシーのみ。アーセナルは最近10試合で5敗していたスウォンジーに攻め立てられながら3-2で何とか逃げ切り、マンチェスター・シティとトッテナムはドローに終わりました。なかでも最も苦しかったのはWBA戦のトッテナムでした。昨季プレミアリーグ全試合出場で途中交代も1試合だけだった大黒柱のアルデルヴァイレルトが、0-0の残り30分で負傷退場。急遽エリック・ダイアーを投入したものの、昨季までチームにいたシャドリにこぼれ球を決められ、82分に0-1。敗色濃厚だったチームに何とか勝ち点1をもたらしたのは、89分のデル・アリでした。このあまりにも素晴らしいゴールについて書き残したいと思ったのが、本稿をまとめる動機です。思い出せば、今週末のプレミアリーグはスーパープレーが目白押しでした。ここでは、スタジアムを湧かせた5人の選手をピックアップさせていただき、その凄さを紹介させていただければと思います。

まずは、トッテナムのデル・アリです。残り1分、右からのクロスが流れたところにいたのは絶好調のソン・フンミン。縦に持ってクロスを出そうとするとコースを切られ、切り返しを入れた7番はニアで呼んでいたエリクセンにダイレクトで打たせるパスを送ります。エリクセンの左足ボレーは相手に当たり、足元に戻ってきたこぼれ球を中央にいたデル・アリへ。スパーズの20番はこのパスをワントラップで決めたのですが、何が凄かったかといえばプレイ選択です。

トラップした瞬間、コースが空いていたのは左でしたが、こちらに打っていれば、読んでいたGKフォスターに止められた可能性が高かったと思います。ところがデル・アリが選んだのは右隅でした。右足のアウトにかけたシュートはスピードこそなかったものの、ここしかない!と叫びたくなる見事なコース。WBA守備陣は全員欺かれ、足が止まりました。1点負けている試合の最終盤、相手がすぐに寄せてくる状況、考える時間は1秒もないなかで何という冷静さ、そして技術!このゴールのリプレイをつまみに、ビールを3本ぐらい呑めます。彼の判断力によって、トッテナムは貴重な勝ち点1をゲットし、プレミアリーグ開幕以来の無敗をキープしました。

2つめのスーパープレーは、昨日のサウサンプトンVSバーンリーから。調子を上げてきたピュエル監督のセインツが、チャーリー・オースティンの2発とレドモンドの強烈なシュートで3-1と快勝したゲームですが、リスペクトしたいのは敗れたバーンリーのGKトム・ヒートンです。開始5分のビッグセーブは、この試合がワールドカップやチャンピオンズリーグの大事な一戦なら、長く語り継がれたかもしれません。左サイドのマット・ターゲットのクロスにジャンプしたのはチャーリー・オースティン。完全に競り勝ったストライカーのヘディングシュートは、GKの脇に叩きつけるお手本通りの一撃で、打った瞬間セインツが先制したと思いました。ところがヒートンは、素晴らしい瞬発力で左に飛んでこれを弾き出します。現地の実況は即座に、「ゴードン・バンクス!」と絶叫。1970年のワールドカップメキシコ大会で、ペレのヘディングを止めてサッカー史に名を残した守護神を挙げて、その凄さを称えました。ジョー・ハートとジャック・バトランドの次、イングランド代表の第3GKにおさまっているヒートンですが、監督が代わっても常に呼ばれる理由がわかる素晴らしいセービングでした。

GKといえば、2発のPKストップでマンチェスター・シティをドローに引きずり込んだエヴァ―トンのマールテン・ステケレンブルクの神セーブを紹介しなければなりません。81分、スコアは1-1。左サイドからドリブルで中に入ってきたデブライネが放ったミドルは強烈なシュートで、ゴール右隅に一直線。マークがしっかりついているなか、相手に予測させない速い振りであれだけ完璧なシュートを打てるデブライネは化け物ですが、左にダイビングして手を伸ばし、指先に当てたステケレンブルクもまた、信じられない瞬発力です。ボールはポストに当たり、ゴールの外に抜けていきました。試合後、PKを2本取られたジャギエルカについて、「ディナーをおごってもらえるかもね。彼に頼んでみよう」とジョークを飛ばしていたステケレンブルクは、このセーブでチーム全員からさらに1回、ごちそうになってもいいのではないでしょうか。プレミアリーグ首位クラブからゲットしたプライスレスの勝ち点1が、ローストビーフとワインで済むならフィールドプレイヤーにとっては安いものです。

4つめの素晴らしいプレイは、チェルシーの21歳MFナサニエル・チャロバーです。前節のハル・シティ戦の89分にプレミアリーグデビューを果たしたばかりの期待の若手は、レスター戦の68分に投入されると、ヴィクター・モーゼスと見事なワンツーを決めて3点めをお膳立てしました。マーカーを背負いながらのおしゃれなヒールパスは、GKが出るに出られない完璧なコースと強さでした。3-0で勝ったこの試合では、20歳のオラ・アイナとロフタス=チークも途中出場しており、ベンチには19歳になったばかりのストライカー、ドミニク・ソランケもいました。コンテ監督が、昨季のファン・ハール監督のように欧州最強のユースで鍛えられた若手たちを次々と育て上げたら、チーム内競争が激化したチェルシーは相当強くなるのではないでしょうか。私は、ソランケとアブラハムのブレイクを楽しみにしております。

さて、いよいよ大トリです。今季はなぜかアシストはゼロながら、相棒のアレクシス・サンチェスのクロスを3回決めているメスト・エジルの絶品ボレー。自らのゴールには情熱がないのか、GKとの1対1を顔色ひとつ変えずにあっさり外したりするガナーズの司令塔は、難しい浮き球のシュートとなると天才的です。右からファーに上がったボールを完璧にミートして叩き込んだのは、スウォンジー戦の57分でした。ゴールのやや外側からのシュートは、マン・シティ戦のルカクのようにクロスに狙って遠いほうのサイドネットを揺らすか、GKが反応しにくいニアの肩越しを抜くのがセオリーですが、難易度の高いボールをものともせず、エジルは意図的にファビアンスキの右肩の上に蹴っていました。アレクシスとのコンビが、これからのプレミアリーグで皆勤賞となれば、アーセナルは今季こそ悲願達成に辿り着けるかもしれません。

以上、ビールを合わせて10杯は呑める極上のおつまみ5品を用意いたしました。お酒があまり強くない方は1~2品を選んでいただき、下戸の方はイングランド気分を盛り上げる紅茶でも淹れつつ、できれば映像で見ていただければと思います。ベストをひとつ選べといわれれば…やはりデル・アリですね。あれは、胆力と判断力と冷静さと技術をすべて持ち合わせた人間が、それらを同時に発動しなければ決まりません。…さあ、いよいよです。8節最後のゲーム、マンデーナイトのリヴァプールVSマンチェスター・ユナイテッドに、6発めのスーパープレーを期待しております!

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“ビッグセーブ、完璧ヒールパス…週末にプレミアリーグファンを熱狂させた5つのスーパープレー!” への3件のフィードバック

  1. 新参 より:

    サンチェスーエジルの得点はすべてアシストがゆったりとしたボールで「なんでディフェンダーはカットできないんやろ」って思ってしまいます。しかし、おそらくあれは2人ともがギリギリ絶妙なタイミングをとっているからこそ、ディフェンダーは飛び込めないんでしょう。おそらくこのプレーはCLのトップクラスであっても、止めるのは容易ではないと思います。他のビックゲームでも是非見せて欲しいものです。

    一流のストライカーを獲得することと同じくらい、サンチェスとエジルの連携が深まることは重視していましたので、今の彼らには大満足です。

  2. 青サポ より:

    更新お疲れ様です。
    10代の頃から怪童として鳴らし、ファンの間ではよく知られた存在だったチャロバーですが、あまりに長すぎるレンタル期間の為に今回のレスター戦が国内公式戦100試合目となりました。
    このままチェルシーでのキャリアは終わりへ向かっていくとも思われましたが、PSMでの猛アピールによりスカッド入りを果たし、今回のような活躍を見せてくれた事はファンとしては感慨深いです。

    彼の活躍が発端となりレンタル政策をはじめとするチェルシーの現在の育成システムに変革がもたらされる事を期待しています。

  3. reds より:

    新参さん>
    あのボールの怖さは、ピンポイントで最高の落下点に届かせていることと、GKが出てこられそうに見えることだと思います。出すほうも打つほうも、すごい技術です。サポーターにとっては最高ですよね。

    青サポさん>
    あれだけすごいユースがあれば、若い選手を青田買いするのは控えてもいいですよね。ロフタス=チーク、チャロバー、トラオレ、ソランケ、アブラハム、クリステンセンがしっかり育てば、上の選手も整理が必要となるのではないでしょうか。

    —–
    更新お疲れ様です。
    アリのゴールはコースが的確過ぎてライブでは狙ったのかたまたまなのか疑わしくなったほどですが、リプレイ観る限り狙ったのでしょうね。終了間際の0-1の状況・DFが詰めてきてる中であの選択は末恐ろしいとしか形容出来ないです。
    エジルはチェルシー戦のボレーも今回のボレーも半端ないですね。ベルカンプとの評も納得でございます笑

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