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復帰への第一歩…ヤヤ・トゥレが代理人にペップと和解要求、シュヴァインシュタイガーは練習合流!

2人のベテランが、プレミアリーグのピッチに戻ってくるかもしれません。ヤヤ・トゥレとバスティアン・シュヴァインシュタイガー。チャンピオンズリーグの登録メンバーから外れたことに対するディミトリ・セルク代理人の「人事介入」により、態度を硬化させたペップ・グアルディオラ監督から「セルク氏の謝罪がなければ起用しない」といわれていたヤヤ・トゥレは、自ら謝罪声明を出すとともに、代理人にもアクションを促しました。Facebookに掲載された、ヤヤのコメントからは、「試合に出たい」「マンチェスター・シティに貢献したい」という切実な思いがにじみ出ています。

「自分自身として、そして私を代表している人々に代わって、過去に誤解を与えたことを謝罪します。(中略)私は含むところなく、マンチェスター・シティをリスペクトしており、クラブの最高の未来を願っています。ここでプレイしてクラブの歴史の一部になれたことを誇りに感じるとともに、この先の成功に貢献したい。サッカーがしたいし、ファンを楽しませたい。難しい時期にメッセージをくれたファンに感謝しています。私と家族にとっては大きな支えでした」(ヤヤ・トゥレ:Facebookの原文より抜粋、翻訳は筆者)

このメッセージが発信される12時間ほど前、イギリスメディア「デイリー・メール」が、ペップを激怒させた張本人のセルク氏がヤヤの意向を受けて手打ちをしたがっていると報じました。「ヤヤにペップと和解してくれといわれ、同意した」「私は非合理的な人間ではない。ペップに好かれることはないとしても、過去に起こったことを許し合い、新しい関係を築くことが最も大事なことだ」「ペップが、私たちがまっさらなページからスタートしたいと望んでいるのを受け入れてくれるよう願っている」。うーん、これは、さすがに都合がよすぎるでしょう。「王様気取だ」「追い出したペジェグリーニやジョー・ハートに謝罪しろ」などと好き勝手に非難しておいて、クライアントにせっつかれたから新しい関係を…といわれても、ペップは態度を変えないでしょう。ヤヤの声明について「チームにとっていいニュース」と語った指揮官のニュアンスは、「前進」であって「和解成立」ではないのではないでしょうか。あちらの方々が、われわれ日本人と比べて「簡単に謝らない文化」のなかにいることを勘案したとしても、ここまでやってしまったら、発言者によるきちんとした謝罪がなければ選手と監督の完全な関係修復には至らないと思われます。

私たちプレミアリーグファンとしては、選手が健全なチーム内競争以外の理由で試合に出られないのを見続けたくはありません。代理人が選手起用に口出しするのは絶対に許さないというペップの毅然とした姿勢を支持しつつ、セルク氏がクライアントを難しい立場に追いやっていしまったことを反省し、誠意ある対応を見せてくれることを期待します。ヤヤ・トゥレは、マンチェスター・シティをトップクラブに導いた立役者です。レジェンドといわれるべき選手が、このままプレミアリーグを去ることがないよう祈っております。たとえペップが、終盤どうしてもゴールがほしいときのジョーカーとしてしか、ヤヤ・トゥレを使わなかったとしても。

一方のシュヴァインシュタイガーは、今週からトップチームのトレーニングに合流したと伝えられました。ヤヤ・トゥレと事情は大きく異なるものの、ピッチに戻るためのスタートラインにようやくたどり着いた現状は、同じような立ち位置にいるように見えます。モウリーニョ監督は、ドイツ代表でキャプテンまで努めたセントラルMFのトレーニング参加について「人間的な判断」として詳細に語っていますが、こちらはいささか長いので、マンチェスター・ユナイテッドの公式サイトよりポイントとなるコメントを抜粋して紹介させていただきます。

「これは現状をふまえた判断だ。この時期に、全員揃ってトレーニングするのはとても困難だ。トレーニングに最適な頭数をそろえるために、アカデミーの選手を数人呼んだこともある」
「コーチとともにトレーニングに取り組むバスティアンのプロ意識の高い姿勢を見て、彼をファーストチームの練習に呼び戻すことは、非常に合理的かつ人間的な判断であると考えた。この先、彼がクラブを離れることになったら、いい準備になるだろう。ここに残るにしても、試合に向けてより調整が進むはずだ」
「決定にはもうひとつ理由がある。今はMFには問題はないが、DFは負傷者が多発しており、同じことが中盤に起こったら彼はオプションとなる。トレーニングにおける理想的な人数や方法と、チームのメリットを考えた結論だ」(ジョゼ・モウリーニョ)

あくまでもトップチームの状況変化による復帰であり、シュヴァインシュタイガー自身がモウリーニョ監督を納得させない限りはこのまま残ることはないというお話のようです。それでも、チャンスはチャンス。昨季プレミアリーグでは、攻撃への貢献は足りず後半戦は負傷で戦列を離れたものの、随所で見せてくれたベテランらしい冷静なプレイは、ぎこちない連携と守備陣の混乱が続くチームを落ち着かせてくれるかもしれません。既に32歳とはいえ、ワールドカップで優勝した国の中心にいた選手であり、第一線から退くのはまだ早いでしょう。シュナイデルランやフェライニにはできないプレイがあるということを、試行錯誤中の指揮官に見せてもらえればと思います。

最後に。バスティのトップチーム合流を伝える記事で、さすがにこれはないだろうとがっかりするものがありました。某メディアの「モウリーニョ監督、シュヴァインシュタイガーの練習復帰は『移籍に向けて』」というタイトルが事実と大きく異なることは、マンチェスター・ユナイテッドの公式サイトを見ればすぐにわかります。監督の会見を全文紹介しているクラブ、ましてや日本語サイトがあるクラブについては、3分あればひととおり読めるニュースのコーナーを確認することをお勧めします。監督がいかに丁寧に説明しているかがわかれば、ただ煽るだけの見出しを立てる気にはなれなくなるでしょう。昨季、ファン・ハール監督が「激怒」としきりに書かれたときにも、会見のニュアンスとはかけ離れていると指摘したことがありますが、これらに心当たりがあるメディアのみなさんには、事実をベースに報道していただくようお願い申し上げます。稀代の名将とワールドクラスの選手の名誉をいたずらに傷つけないことは、メディアやファンの矜持として守り続けるべきではないでしょうか。われわれは、幾度となく彼らに感動させられているのですから。

ヤヤ・トゥレとシュヴァインシュタイガーが元気な姿を見せてくれることを、心より願っております。それぞれ、少し先の話になりそうですが。

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“復帰への第一歩…ヤヤ・トゥレが代理人にペップと和解要求、シュヴァインシュタイガーは練習合流!” への3件のフィードバック

  1. サンドバック より:

    バスティが、またピッチに立つ姿を見たいですね。
    現在の点が取れないユナイテッドでは、アンカーにキャリック(or エレーラ)を置いて、その前にポグバとバスティを並べる4-1-4-1が打開策として有効ではないかと思います。
    両翼はマルシャルとマタをメインに据えて、ワントップはイブラとラッシュフォードでローテする。この形なら今よりも点を取れるのではないかと。
    モウリーニョには負けない事を念頭に置いたユナイテッドはなく、点を取って勝つためのユナイテッドを目指して欲しいです。

  2. シティふぁん より:

    ヤヤトゥーレを使わない理由はよくわかりますが
    それでも練習に参加してたと思います
    シュバインシュタイガーが練習に参加した理由より参加させなかった理由が気になります
    今後2人が試合に出ることはあるのでしょうか?

  3. makoto より:

    サンドバックさん>
    私もそう思います。バスティはうまく使えば、ちゃんと機能してくれそうですよね。ヘンダーソンを見ていると、アンカーもありではないかと思います。

    シティふぁんさん>
    可能性は充分にあるのではないでしょうか。バスティが練習に出られなかったのは、夏に売却が少なく、人数が多くなっているからという認識です。

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