イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

未だセンスは衰えず…新時代を迎えたプレミアリーグでも輝き続けるマイケル・キャリック!

「Sportie」に、「リヴァプールとチェルシーはなぜ強い?プレミアリーグ『好調クラブ』の共通項」と題した記事を書かせていただきました。厳しいプレスを仕掛けてできるだけ前でボールを奪い、めまぐるしくポジションチェンジしながら直線的に攻める「走るサッカー」「速いサッカー」が、ペップ、コンテ、クロップ、ポチェッティーノが創った現在のメインストリーム。アレクシス・サンチェスやフィルミーノといった「偽9番」が活躍する一方で、いわゆる10番タイプの選手はプレースタイルの見直しを余儀なくされています。

エジルはセカンドストライカーとして前線に飛び出すプレイが増え、エリクセンやデブライネはサイドから正確なラストパスをフィードするシーンが目立ちます。ダヴィド・シルヴァとマタは、前線のサイドかアンカーの脇。セスクがポジションを失っているのは、セントラルMFとしては守備力でマティッチに劣り、サイドをまかせようとするとペドロのスピードもウィリアンの運動量も持ち合わせていないからでしょう。昨季までのプレミアリーグでは4-2-3-1が主流でしたが、トップ下というポジションがあったこのフォーメーションを純粋にキープしている上位チームは、今や「ジルーがいるときのアーセナル」だけ。ペップは時折この形を使うことがありますが、2列めの選手は流動的です。いや、もうひとつ、ありました。「冴えないときのマンチェスター・ユナイテッド」。セカンドストライカーとしてもセントラルMFとしてもストロングポイントを見出せない現在のルーニーや、前に張りっぱなしでは持ち味が半減するポグバをストライカーの後ろに置いて戦ったモウリーニョ監督は、今のクオリティではチェルシーやリヴァプールのサッカーには太刀打ちできないと思い知らされました。

指揮官が慣れ親しんだ4-2-3-1か、ポグバを活かす4-3-3か。苦しみ続けるマンチェスター・ユナイテッドが、どんな戦い方を選ぶのかが注目だったプレミアリーグ12節のアーセナル戦。序盤のポグバを見て、トップ下ではコクランとムスタフィにつぶされるのではないかとハラハラしたのですが、時間が経つとキャリックがアンカー、両脇にポグバとエレーラの4-3-3であることが明らかになりました。右サイドのマタは、先発したプレミアリーグは5勝3分、頭からいたゲームではフェイエノールトにしか負けていないのですが、実はキャリックは完全に無敗です。プレミアリーグは2勝1分、ヨーロッパリーグではフェネルバフチェに4-1快勝、EFLカップはマンチェスターダービーの勝利を含む2連勝。今季のマンチェスター・ユナイテッドは、3点以上を奪って勝ったゲームが5試合あるのですが、キャリックはそのうち3試合に先発。4-3-3で4-1と快勝したレスター戦にも途中出場しており、いなかったのはプレミアリーグ開幕節のボーンマス戦だけです。

アーセナル戦を観たほとんどの方が、「マンチェスター・ユナイテッドは強かった。アウェイチームは何もできなかった」と証言するのではないかと思います。キャリックは完璧でした。一瞬空いた選手に通す速いフィードは健在。何しろパスミスがありません。危険なスペースをいち早く察知するアンカーが中央にいると、ポグバは安心して攻め上がれます。1-1のドローに終わり、首位チェルシーに勝ち点9差と引き離されたものの、モウリーニョ監督のチームは今後に希望が持てる出来でした。試合を観ても数字をチェックしても、答えは出ているのです。マンチェスター・ユナイテッドのベストフォーメーションは、ポグバ、マタ、キャリックを軸とした4-3-3である、と。ヘンダーソン、ワニャマ、フェルナンジーニョに2センターながらグイェ、カンテと、アンカータイプの活躍が目立つ今季のプレミアリーグで、サー・アレックス・ファーガソン時代から淡々とプレイし続けているキャリックもまた、新しいサッカーの到来を表現している選手のひとりとしてカウントしていいのではないでしょうか。

今後の逆襲に欠かせないセントラルMFの懸念は、35歳という年齢です。アンドレア・ピルロがユヴェントスで出場機会を大きく減らしたのも、この年でした。プレミアリーグ、ヨーロッパリーグ、EFLカップにFAカップとタイトスケジュールのなか、全試合出場は望むべくもありませんが、シュナイデルラン、エレーラとうまくローテーションしながら、ここぞという試合では素晴らしいパスワークとポジショニングで中盤を仕切っていただければと思います。サポーターとしては、赤いユニフォームを着たままで選手生活を全うしていただき、満員のオールド・トラフォードでスピーチしている姿を観たい選手でもあります。週末のウェストハム戦では、2か月ぶりのホームゲーム勝利をよろしくお願いいたします。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“未だセンスは衰えず…新時代を迎えたプレミアリーグでも輝き続けるマイケル・キャリック!” への6件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    キャリックを全試合で使うのは難しいかもしれませんが、彼の活用はユナイテッドには大きな力をもたらすかもしれませんね。そのくらい存在の大きい選手だと思います。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    問題はキャリックの先だと思うんですが…

  3. por より:

    よし、ヘンダーソン獲得に動きましょ笑笑

    頼むぞシュナイデルラン!

  4. MUFC@7 より:

    スコールズの横でたまにポカしたりしていたキャリックが今や代えのきかない選手になりました。タクトを振るう選手というのはどうして年齢を重ねるたびに美しい選手になっていくんでしょうね。稼働率が高くないので、彼のいない試合をどう展開していくのかはモウリーニョの腕の見せ所なのですが残念な結果ばかりです。ここ辺りでちょっと若手の初出場というのもみられませんし、余裕のなさがある気がしますね。

  5. くろ より:

    キャリックを何故使わないのか、の回答はやはり年齢なんでしょうね。
    監督としては使いたいけど、将来のことを考えると新たな試みも必要ですし。
    ただ先日の活躍を見ると、もう今期は任せて冬か来期に即戦力を狙うかもせれませんね。

  6. makoto より:

    Mackiさん>
    いてくれると、スムーズに攻撃に入れます。シュナイデルランが、セインツ時代の輝きを見せてくれれば、2人のローテが基本でいいかと思います。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    それは別な問題としてありますね。シュナイデルランやブリントの活かし方を考えたうえで、補強の是非を検討するという話ですね。

    porさん>
    シュナイデルラン、がんばってほしいです。

    MUFC@7さん>
    余裕ないですよね。人の入れ替えでしか課題解決をしようとしていないのが残念です。

    くろさん>
    現有戦力を活かすという選択肢がないならば、補強でいいと思いますが、シュナイデルランとシュヴァインシュタイガーはうまく使えるんじゃないか…とモヤモヤします。

コメントを残す