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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ドンナルンマがエデルソンの後を継いだら、マン・シティのロングフィード比率が激増した件。

プレミアリーグ8節を終えて、5勝1分2敗。マンチェスター・シティは、いつの間にか2位にいます。スパーズとブライトンに連敗したときは、昨シーズンのような停滞を予想する声もありました。しかしその後は、公式戦9試合で7勝2分と巻き返しています。トランスファーマーケットのデッドラインデーに移籍金2600万ポンドで加わったドンナルンマは、8試合出場で未だ無敗です。

正直にいいましょう。今季のペップのチームに、ちょっと困惑しています。最前線にハーランド、最後方にドンナルンマは、「エースが投げて4番が打つ」ようなマンガ的な世界に感じられてなりません。これまでもスロースタートのシーズンがあり、逃げ切りを許したのはリヴァプールだけですが、2位とはいえ王座奪還に向けて視界良しとはいいづらい状況です。

2年前までのチームに抱いていた「後半戦で勝ち続けて、最後に捲る」という信頼感がないのは、ハーランドが凄すぎて、ドンナルンマに対する違和感が拭えないからです。攻撃のバリエーションが豊富で、さまざまなアプローチでゴールを陥れていた時代とは別なチームに見えます。プレミアリーグの17ゴール中11ゴール、CLの6ゴール中4ゴールは、エースへの依存度が高すぎます

さて、この稿の本題はドンナルンマのほうです。エデルソンのフェネルバフチェへの移籍とともに、ドンナルンマが来ると報じられたときは、驚きの声のほうが多かったと記憶しています。7月にバーンリーから買い戻されたジェームズ・トラフォードがハシゴを外された格好となったことに加えて、ペップのスタイルにフィットするGKとは見做されていなかったからです。

当代屈指のショットストッパーは、パスワークを強みとするGKではありません。2016年の夏、就任してすぐにジョー・ハートを切った名将は、スパーズ戦でトラフォードのミスから追加点を決められた瞬間、ビルドアップにおけるリスクに嫌気がさしたのでしょうか。ハーランドに合わせるシンプルな攻撃が激増したチームが、GKまでロングパントばかりになったら事件でしょう。

プレミアリーグの最初の5試合を4勝1分で終えた守護神は、順調な滑り出しといえます。オンターゲット9本のうち7本をセーブし、2失点。マルティネッリのループシュートと、バーンリー戦のアントニーのシュートはノーチャンスでした。セーブ率77.8%は、リーグ4位。上にいるのはダヴィド・ラヤ、ロビン・ローフス、ジェームズ・トラフォード(!)だけです。

セービングはOKとして、気になる足元の数字を見ると、やはりエデルソンとは別世界です。昨季プレミアリーグで4アシストを決めたブラジル代表は、パス成功率が86.3%で、139本のロングフィードは成功率57.9%。対してイタリア代表は、パス成功率が71.8%でロングフィードは40.0%と、前任者を下回っています。

昨シーズンのマン・シティは、GKのロングフィード比率が30.5%だったのですが、今季はペップ就任以来最高の42.0%に跳ね上がっています。ゴールキックが届いたエリアをチェックしてみると、全体の87%が左サイド。オープンプレーからの左右は50:50ですが、右利きで体を開いて蹴るシーンが多いからか、ハーフラインを越えるボールは右に偏っています。

これでいいのかペップ!と叫んでしまいそうになるのは、思い込みが強すぎるからか。プレミアリーグに革命的な変化をもたらしたイノベーターが、2025-26シーズンのトレンドとなっているGKのロングパントを追認するかのような現実に、心が追いついていません。ドンナルンマで、ドウナルンダ?(2回目)。マン・シティらしさみたいなものを、求めるほうの問題なのか…?

ハーランド依存のほうは、マルムシュやシェルキが戻ってきたら解消しそうですが、ドンナルンマはビッグセーブを連発しつつ、ロングフィードを送り続けるでしょう。11月のリヴァプール戦を想像すると、ドキドキします。ハーランドが先制ゴールを決めたら、5バックでゴール前にバスを停め、ドンナルンマがドカドカ蹴ってハーランドに直接つながり…(号泣)


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