イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

なぜ、今…ウェイン・ルーニーのイングランド代表引退発表に際して思うこと。

Dreams can come true and playing for England football team has been exactly that. Thanks to everyone involved it’s been amazing! ~Wayne Rooney on twitter
(夢を実現する。イングランド代表でプレイするということが、まさにそれだった。関わってきたみなさんに感謝しています。素晴らしい!)

なぜ、今…。プレミアリーグ通算200ゴールという記念すべき数字を記録したばかりのウェイン・ルーニーが、イングランド代表からの引退を発表したと聞いたとき、私の頭に浮かんだのはこのひとことでした。119試合53ゴール。ゴール数はガリー・リネカーやサー・ボビー・チャールトンといった往年の名選手を凌ぐイングランド歴代1位。出場試合数をあと7試合積めば、21年の長きに渡って代表のゴールマウスに君臨した守護神ピーター・シルトンを抜き去ってトップに立つところまできていました。マンチェスター・ユナイテッドから古巣エヴァートンに復帰し、プレミアリーグ開幕から2戦連続ゴールと好スタートを切ったストライカーが、若きライバルたちと戦わずして代表から去るとは思いませんでした。なぜ、今…。まずは、公式サイトに発表されたご本人のコメントに触れてみましょう。

「今週、偉大なるガレス・サウスゲート(イングランド代表監督)から電話をもらいました。来るべき試合のためにイングランドのチームに戻ってきてほしいといってくれました。とても感謝しています。

しかし、長い間苦しんだ末に辿り着いた考えが既にありました。私はガレスにインターナショナル・フットボールから引退すると話しました。とてもきつい決断です。このことについて、家族、エヴァートンのマネージャー、近しい人たちと話し合ってきました。

イングランド代表でプレイすることは、常に私にとって特別でした。選手として、キャプテンとして選ばれるのは真の特権で、応援してくれたすべての人々に感謝していました。しかし今、私は去る時が来たのだと確信しています。

マンチェスター・ユナイテッドを離れるのはしんどかったのですが、エヴァートンに帰ってきて、正しい決断をしたと思えました。私は、彼らの成功をサポートすることに全力を注ぎます。

私はいつも情熱的なイングランドのファンです。たったひとつ、ささやかな後悔は、イングランド代表の一員としてトーナメントで成功できなかったことです。 ガレスの下で戦うエキサイティングな選手たちが野望を抱き続け、みなさんが彼らをずっと応援してくれることを願っています。

いつか、夢は実現するでしょう。私はファンとして、そこにいられればと楽しみにしています。いつであっても」

イングランド代表の一員として成功できなかった…。代表に選ばれ続けて長くプレイできた喜びの大きさに比べれば、ごくわずかな後悔だとルーニーはいいたいのだと思われますが、この言葉には胸が震えます。2003年2月、17歳111日という若さで代表デビューしたルーニーは、ついぞ母国にトロフィーを持ち帰ることができませんでした。ポルトガルで開催されたユーロ2004では準々決勝で足を骨折し、チームは敗退。2006年のワールドカップドイツ大会では、準々決勝のポルトガル戦でリカルド・カルヴァーリョの足を踏みつけ、レッドカードをもらって大会を去りました。ユーロ2008は予選敗退。2010年のワールドカップ南アフリカ大会ではラウンド16でドイツに惨敗し、10番は前回大会に続いてノーゴールに終わりました。

2012年のユーロはキエフで行われたイタリア戦でPK戦を勝てず、2014年のブラジルでは、「死の組」といわれたグループDで、ウルグアイ、イタリア、コスタリカに1勝もできずグループ最下位。自身のワールドカップ初ゴールは空砲でした。最後のユーロと目された2016年のフランスでは、プレミアリーグ得点王のハリー・ケイン、レッズの点取り屋ダニエル・スタリッジ、奇跡の優勝の主役となったジェイミー・ヴァーディを前方に見据えながらインサイドMFとしてプレイ。代表の歴代トップスコアラーは大会を通じて凡庸な出来で、アイスランドにジャイアントキリングを許しました。

ルーニーにとって、ロシアは遠かったのでしょうか。あるいは、ハリー・ケインやデル・アリなど若い世代の選手たちを見て限界を悟ったのでしょうか。もし、今季プレミアリーグで完全復活を遂げたら、多くのレジェンドたちのように引退を撤回してワールドカップのピッチに登場していただければと思います。31歳のルーニーと同じように、30歳の若さで代表から離れたマンチェスター・ユナイテッドの先輩ポール・スコールズは、36歳のときにワールドカップ出場を請われて固辞したことを悔いています。1年前は最後の大会と思い定めていたはずのロシアに、「選ばれたのに出ない」という決断をすれば、今感じているささやかな棘は、大きな後悔となってルーニーの胸に刺さるのではないかと案じています。

おつかれさま、ありがとうなどという言葉は、来年の夏までとっておきましょう。ウェイン・ルーニーは戻ってくると信じています。今季プレミアリーグで、若かりし頃を過ごした古巣のためにゴールを積み上げようとしている10番を、精いっぱい応援しようと思います。ワールドカップは、決勝まで7試合。すべてのゲームに出場すれば、ルーニーのキャップ数は歴代1位となります。

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“なぜ、今…ウェイン・ルーニーのイングランド代表引退発表に際して思うこと。” への6件のフィードバック

  1. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    ルーニーのコメントからは、とにかくエヴァートンに集中したい、エヴァートンでもう一花咲かせたいという決意が伝わってきました。
    いつもレッズのライバルチームの中心選手ですが、スコールズ、ランパードと同じく尊敬に値する好敵手であります。
    今季のルーニー、エヴァートンは一味違う、かなりやっかいな存在となりそうです。
    私はよりダービーが楽しみになりました。

  2. sini より:

    ルーニーに関して詳しく語れるほどの知識はありませんが、彼は「サッカーに対して素直」な性格なのだろうな、そうありたい選手なのだろうな、と思っています。
    100%でユナイテッドで戦えないからエバートンに移籍し、100%の自信をもってプレーできないから代表を辞退したのかなと。
    ルーニーを求める声が大きくなれば、心変わりするかも知れませんね。
    僕にとっても、「ルーニーのいないイングランド代表」はちょっとイメージ出来ずに戸惑っています。

    —–
    黄金世代というにはちょっと年齢こそ離れているもののベッカム、スコールズ、ネビル兄弟、ジェラード、オーウェン、キャラガー、ジョー・コール、ランパード、リオ、ハーグリーブス、キャリック、レドリー・キング、キャンベル、アシュリー・コールなどイングランド代表が世界に誇る人材を抱えていた時代を知る最後の選手が引退ということで、名実共にイングランドは新たな世代の時代になるのですね。
    いつかはそういう日が来ると思っていたものの、寂しいものです。

    ルーニーは、かつてスコールズが代表引退した時を知っており、それを機にマンチェスター・ユナイテッドが王座を取り戻したことも間近で見ていた筈です。
    今回の引退宣言からは、エヴァートンへの強い愛情を伺えます。そうとう期するものがあったのでしょう。

    ただ、かつてフランス代表が危機に陥った際にジダンやマケレレが帰って来たように、あるいはカペッロに懇願されたレドリー・キングやキャラガーが代表に返り咲いたように、ルーニーの力が必要となる時は来るものと思っています。

    今後スリーライオンズの中核はケインやラシュフォード、アリ、スターリング、あるいはエヴァートンのさらにフレッシュな若手達などとなるのでしょうが、彼らが行き詰まった際にルーニーが帰ってくるのを待ちたいと思います。
    本来持っていたものを取り戻すことさえできれば、世界最高の選手の一人であることには変わりませんから。
    何より、同い年のモドリッチや一つ上のクリスティアーノがまだあれほどやれているのですから、ルーニーにやれないことはない筈です。

  3. グッチ より:

    更新お疲れ様です。エヴァートンへ帰ってきて、そこでの仕事に全てを捧げようという気持ちなのかなぁと素人ながら思いを重ねてしまいます。
    勝手な妄想ですが、エヴァートンに全力投球した上で「俺はまだやれる。」と手応えと結果をつかんでいただいて、その上で召集に応じ代表のユニフォームに袖を通してもらいたいです。

  4. yuto より:

    ワールドカップで苦戦するイングランド代表の中心で常にルーニーは奮闘していましたが報われることがないまま引退するのはさみしいですね。
    来年のロシアのときにはどのような状況になっているかはわかりませんが、ハリー・ケインを中心として国際大会で躍動するイングランド代表が観たいところです。
    その中にルーニーがいればどれだけうれしいことか・・・

  5. だしまる より:

    公園越しのライバルサポーターとして、敵意を超して尊敬の念を抱かせしめる、この時代には希代の選手です。
    なんでしょうね、ライバル関係はさておき、偉大な選手っていうのはいつの時代も誰をも魅了する力を持ってますよね。
    国際舞台に目を移すと、プレミアで煌めくルーニーよりも若いストライカーが躍動する姿を現時点では想像出来ません。
    イングランドの国際舞台の失敗全てを背負ったかのような去年のユーロでの姿は忘れられません。
    ここ数年囁かれ続けた限界説に、文句の1つも言わず、ただ黙々と置かれた状況でベストを尽くし続け、古巣復帰後の2得点でこれまでの風潮全てに反論したかのような、まさにプレイで自らを証明する、絶滅種のようなプレイヤーです。
    つまり、まだ代表に必要な選手ってことです。

    サウスゲイトよ、着信拒否られるまで勧誘電話しまくりなさい。

    —–
    感謝とリスペクトに溢れたメッセージに、成功を掲げてほしかったと改めて思います。
    ささやかな後悔・・・なんという重みを込められた言葉でしょうか。

    常にクラブと代表で全力を尽くしてきた彼のプレイは、ライバルクラブのサポーターでも
    熱くなります。

    でも、まだ31歳です。

    若きケインやデル・アリが絶好調を続ければまだしも、
    ピンチになれば、いつもと同じように、最後の望みの綱を託される未来が来るでしょう。それこそ、救世主のように舞い降りる可能性は残されています。

    ドイツW杯前に電撃復帰したジネディーヌ・ジダンのように。

  6. makoto より:

    nyonsukeさん>
    まずは復活したいという強い危機感があるのでしょうね。ダービーはよりおもしろくなりそうですね。

    ひろとさん>
    大会直前になると、待望論も起こるのではないかと期待してます。

    siniさん>
    同感です。国際大会で実績があるストライカーがいない国ですので、チャンスはいずれ来るでしょう。

    グッチさん>
    そうですね。エヴァートンで15発以上決められれば…。

    yutoさん>
    若い世代が好成績を挙げているので期待できるのですが、ロシアは難しいかもしれません。実現したら、感動必至ですよね。

    タムコップさん>
    同じような選手はもう出てこないかもしれませんね。サッカーセンスの塊です。

    だしまるさん>
    ジダン、そうですね。ストライカーの後ろでボールキープし、最高のタイミングでグラウンダーに走り込んでくる姿をイメージしつつ。

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