香川真司、フェライニ、エジル、マタ…どう使う?「プレミアリーグのトップ下」論(前篇)
そしてもう一方で、モイーズ新政権のマンチェスター・ユナイテッドでも、新チームのサッカースタイルについての話題と併せて、ルーニーや香川真司のポジションはどうなるのかという議論が活発化します。モイーズ監督が「われわれのサッカーのベースは4-3-3」と発言したことも相まって、昨季肝いりで獲得した日本人トップ下と、イングランド代表でエースとして活躍する10番には、もはや活躍するための妥当な場所がないのではないか、という声すら挙がったのです。
いずれも、普通に考えたらありえない話です。昨季、12ゴール・12アシストとチームの得点に最も多く絡んだマタは、新しい選手が加入したといってもチームの中心に据えられることを誰もが疑わなかったでしょう。そして、ケガがあって、出場機会が少なかったとはいえ20試合で6ゴールを奪った香川真司についても、現地の記者やサポーターは「2年めはチームの中心となる」と期待していました。しかし現在、両者ともゲームに出場する機会を失っています。モイーズ、モウリーニョ両監督とも、「コンフェデレーションズカップがあったために十分な休養が取れず、出遅れた」と同じ釈明をしていますが、果たしてそれだけなのでしょうか?
このたび移籍市場最終日に、マンチェスター・ユナイテッドはエヴァートンからフェライニを、アーセナルがメスト・エジルを獲得しており、彼らが使われるポジションの話ともオーバーラップするので、そのあたりもまとめて「各チームのトップ下事情」について触れてまいりましょう。
まずはそもそも「トップ下とは何か」というお話です。従来、マンチェスター・ユナイテッドの看板はフラットな4-4-2でしたが、このフォーメーションのなかでは、トップ下というポジションは存在しません。名古屋グランパス時代のヴェンゲル監督もこのシステムを採用しており、当時の10番・ストイコヴィッチは左のFWにポジションを取っていました。もし昨季、サー・アレックス・ファーガソンが、自らの名刺のような4-4-2を変えなければ、ルーニーはファン・ペルシと2トップで肩を並べ(もしくは前後にポジションをとり)、香川真司の役割は左サイド中心になり、元祖エースの移籍問題は発生しなかったかもしれません。しかし、名将はヨーロッパで勝つために新しいサッカーの採用をもくろみ、ファン・ペルシの下に「セカンドストライカーとしての香川真司」を置き、ルーニーをサイドもしくはセンターMFとして起用しようとしたために、ストライカーを志向する10番が出ていこうとしたわけです。少し話が膨らみましたが、ここでは「フラットな4-4-2ではトップ下のポジションは存在せず、1トップもしくは4-3-1-2といわれる仕組みのなかで、初めてこのポジションが必要とされる」ことだけにしておきましょう。
現在のプレミアリーグの上位クラブのなかで、基本フォーメーションを2トップにする可能性があるのは、スアレスとスタリッジを擁するリヴァプールだけでしょう(トッテナムもほんの少し、匂いますが)。スアレスの復帰後、あらためてチェックしたいと思いますが、このチームが2トップにするとすれば、ジェラードがセンターMFから舵を取り、トップ下的なタレントを持つコウチーニョは左右のサイドからドリブルやパスで攻撃を創っていく役割を担います。そして、彼ら以外のチームはすべて1トップであり、F.トーレスやジルー、ファン・ペルシ、ソルダード、ネグレドなどをFWに据えながら「トップ下(のような存在)」がその後ろに配置されるわけです。
さあ、ここから本題。「トップ下(のような存在)」は何をその役割とし、どんな人材が求められているのかというお話ですが、長くなりました。このテーマ、次回に続きます(1時間以内にUP予定ですので、ここで終わり!?と怒らないでください。では、後ほど)。
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