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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ドリブル、パス、タックル、フィジカル…すべてが秀逸!スパーズの天才ムサ・デンベレに注目!

He is a genius, no?(彼は天才だ。違うか?)」。トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、ノースロンドンダービーが開催されるたびに、自軍のセントラルMFの才能を絶賛しているそうです。彼のことは、いずれ書きたいと考えていたのですが、「スカイスポーツ」がその素晴らしさを証明するデータを紹介してくれた今がそのタイミングだと思い立ちました。ベルギー代表MFムサ・デンベレ、30歳。プレミアリーグで最高のセントラルMFは?と問われれば、他クラブのサポーターは口々に別な名前を挙げるでしょう。ネマニャ・マティッチ、エンゴロ・カンテ、ポール・ポグバ、フェルナンジーニョ、ジョーダン・ヘンダーソン、あるいはジャック・ウィルシャー…。正解は、それぞれの心のなかにあればいいのだと思います。それでも、この稿を読んだ何人かの方に、「なるほど、デンベレも凄い」「今度、プレイをじっくり見てみよう」と思っていただけたなら、拙文を発表した甲斐があるというものです。前置きが長くなりました。そろそろ天才について話し始めましょう。

ベルギーのジェルミナル・ベールスホットでプロフットボーラーとしてのキャリアをスタートさせたデンベレが、オランダのAZアルクマールを経てプレミアリーグに参入したのは2010年の夏でした。当初の所属クラブは、ウェストロンドンのクレイヴン・コテージを本拠地とするフラムです。AZではFWだったデンベレは、2シーズンめとなる2011-12シーズンにマルティン・ヨル監督にMFとしての適性を見出され、プレミアリーグ36試合2ゴールという数字を残します。2012年8月にトッテナムに移籍したデンベレは、アンドレ・ヴィラス・ボアス監督にレギュラーに抜擢され、以来今季まで6シーズンにわたってチームの心臓として活躍してきました。

マウリシオ・ポチェッティーノがクラブにやってきたのは2014年。すぐにその才能に惚れ込んだ指揮官は、フィジカルに問題を抱えがちだったデンベレにサポートを惜しみませんでした。毎年恒例の序盤戦の負傷を今季も避けられず、プレミアリーグ20試合出場に留まってはいるものの、「スカイスポーツ」の5000字に及ぶレポートとデータを読み解くと、いかに彼が必要不可欠なのかがよくわかります。「Mousa Dembele a unique genius and irreplaceable for Tottenham(ムサ・デンべレはユニークな天才で、トッテナムにとってかけがえのない存在)」と題された記事は、「プレミアリーグで3シーズンにわたってタックル数とドリブル数でTOP20にランクされた唯一の選手」というわかりやすい表現でデンベレの特徴を語り切っています。

今季プレミアリーグで40回以上ドリブルで仕掛けたセントラルMFは4人。ユヴェントスからサウサンプトンに加わったレミナの53回を筆頭に、デンベレが50回、マティッチが43回、カンテが40回。カンテの成功率は75%、レミナとマティッチも80%を切っているなかで、デンベレは88%という驚異的な成功率を誇っています。さらに素晴らしいのは、パス成功率。ギュンドアンが87.9%、カンテ88.1%、フェルナンジーニョは88.6%という数字を残していますが、デンベレは91.3%でぶっちぎりのTOPです。もう一度、ポチェッティーノ監督の絶賛の声を紹介しつつ、「彼こそがチームのベストプレーヤー」とリスペクトする若手選手の言葉も添えましょう。

「私が書く本には、彼は幸運にも出会えた天才のひとりとして登場するだろう。マラドーナ、ロナウジーニョ、ジェイ=ジェイ・オコチャ、デ・ラ・ペーニャ、そしてムサ・デンベレ。私たちは、彼によくこういっているんだ。18~19歳のときにわれわれと出会えていたら、世界最高の選手になっていたのに、とね」(マウリシオ・ポチェッティーノ)
「純然たるパワー、ペース、強さ、テクニック、すべて凄い。直面したどんな選手も打ち負かすことができる彼こそが、僕にとってのベストプレーヤーだ」(ハリー・ウィンクス)

ボールを預けると抜群のキープ力でタメを作ってくれる、素晴らしいタックルとインターセプトでショートカウンターの起点となってくれる、バイタルエリアが渋滞するゲームではドリブルで数人を引っ張ってスペースを空けてくれる…。プレミアリーグでは存在感を発揮しているものの、負傷からの復帰途上だったチャンピオンズリーグのグループステージでは後半からの出場が多かっただけに、決勝トーナメントでは稀有な才能を十全に活かしてスパーズの上位進出に貢献していただければと思います。トビー・アルデルヴァイレルトとフェルトンゲンのビルドアップが安定感があるといわれるのも、エリクセンやデル・アリが思い切って前にいけるのも、彼らが優れているからというばかりではありません。「ガゼッタ・デロ・スポルト」がこんなことをいっています。彼が「ポチェッティーノのかけがえのないひとり」であり続けるのは、これまでにかけてきたコストが理由ではなく…。

It is because there is simply nobody else in the game who plays it quite like Mousa Dembele.(単純な話、ムサ・デンベレのようには誰もプレイできないからだ)」

(ムサ・デンベレ 写真著作者/Oleg Bkhambri (Voltmetro))

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“ドリブル、パス、タックル、フィジカル…すべてが秀逸!スパーズの天才ムサ・デンベレに注目!” への3件のフィードバック

  1. スバサボ! より:

    こういう記事はファンとしてはとても嬉しいです。カンテやマティッチなど比べたらアグレッシブなため比較は難しいですが最高のセンターハーフであると思います。
    是非、他チームのファンは彼のキープ力に驚いていただきたいですし、このような形で他のチームの縁の下の力持ちも知っていきたいですね!

  2. スパーズファン より:

    スパーズのファン的には才能の塊だけど、活かしきれなかった選手がポチェッティーノと出会い、ポジションを若手に譲りながらも熱心に指導を吸収してポジションを取り返した選手なので国際的に評価されて嬉しいです。
    まず一対一でボールを奪われない、相手のプレスを無効化するフィジカルを使ったドリブル、縦に早く正確に入れるパスを持っていて、ポチェッティーノに出会ったことで状況判断が抜群に良くなって、スパーズにとって欠かせない選手になりました。
    デンベレに複数人がプレスに行くとそのプレスをドリブルで突破する、もしくは空いたスペースにいる二列目に渡してエリクセン、アリ、ソンなどが決定的なパスをエースに配球するという相手にとって非常にやり辛い2択を迫ることのできる選手です。

  3. 西公 より:

    良い時の彼は本当にルカ・モドリッチに匹敵するレベルの選手ですよね。試合には敗れましたが、今季の序盤のチェルシー戦でのデンベレのパフォーマンスには本当に鳥肌が立ちました。ただ、その一方で最近はあまりパフォーマンスがパキッとせずにチームのテンポを崩していることも多々あったため心配していたんですが、ユーベ戦は本当に素晴らしかったです。ワニャマ、ウィンクスが復帰して異なるタイプの4人のMFを上手く使いこなせればEPL4位以内とCLベスト4入りを実現出来るのではないかと密かに思っています

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