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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

チームが勝った試合すべてがベストゲームだった…マイケル・キャリックが引退を発表!

「イングランドのフットボールにおいて最も偉大な選手のひとりだ。私の後悔のひとつは、彼を自分の選手にできなかったことだ」(アーセン・ヴェンゲル)
「私が見てきたなかで、最も素晴らしい守備的なMFのひとりだね。バルセロナのブスケツ、バイエルンのシャビ・アロンソと同じレベルだ」(ペップ・グアルディオラ)
「脅威的だ。25歳じゃないのが残念だ。時計の針が止められないのが悔やまれる」(ジョゼ・モウリーニョ)
「彼こそが最高のイングランド人選手だ」(サー・アレックス・ファーガソン)

既にわかっていたことではあるのですが、そのニュースを知った瞬間、寂しさが押し寄せてきました。マンチェスター・ユナイテッドのマイケル・キャリックが、今季限りでの引退を発表しました。1999年のトップチームデビューから19年で、プレミアリーグ出場は通算516試合。2006年に1800万ポンドでトッテナムからマンチェスター・ユナイテッドに移籍すると、公式戦463試合に渡って中盤の底と最終ラインを支え続けてきました。プレミアリーグ優勝5回、リーグカップ3回、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、クラブワールドカップ、FAカップ制覇がそれぞれ1回。栄光に彩られたキャリアの晩年を迎えた稀代のセントラルMFは、2017年になると心臓を患い、今季公式戦出場は4試合、プレミアリーグに至っては24分しか出られませんでした。

「心臓に問題を抱えた後、2~3日の間は”続けるのか?”と自問自答した。チームに戻ってフィットして、自分のタイミングで終わろうと思った」「体が、そろそろやめるべきだと告げるときが来る。私は今、そこにいる」(マイケル・キャリック)

この言葉を目にして、何て幸せな終わり方だろうと思いました。私たちは、プロサッカー選手のさまざまな引退の仕方を見てきました。中田英寿やエリック・カントナのように峠を越える前にスパイクを脱ぐ選手もいれば、ティエリ・アンリやディディエ・ドログバのように欧州から離れて燃え尽きるまでプレイする選手、リオ・ファーディナンドやジョン・テリーに代表される「愛するクラブに残れず、自らの価値を認めてくれるクラブに”終の棲家”を求める」選手もいたりします。マルコ・ファン・バステンやライアン・メイソンに、あの負傷がなければ…と悔やむサポーターは少なくないでしょう。マイケル・キャリックのように、長く活躍したトップクラブで限界を悟り、やりきったと自らに告げてキャリアを終えられる選手はさほど多くはありません。

フランク・ランパードとスティーブン・ジェラードの全盛期と重なったため、15年の長きにわたってイングランド代表に選ばれ続けながらも出場34試合、ワールドカップはたった2試合に終わったキャリックを「最も過小評価されたイングランド人選手」と呼ぶ向きがあります。確かに代表では不遇だったかもしれませんが、マンチェスター・ユナイテッドサポーターは彼の素晴らしさをよくわかっています。左右に散らす的確なパス、ルーニーやファン・ペルシに入ると思わず「よし!」と叫んでしまう高速の長い縦パス。サー・アレックス・ファーガソンのチームの中盤は、キャリックによって安定が保たれていました。最後のボスとなったジョゼ・モウリーニョの下でも、昨季はプレミアリーグ先発出場18試合と頼りにされており、優勝したヨーロッパリーグの先発5試合は4勝1分とチャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献してくれました。

大いなる寂しさのなかで、うれしいお話がひとつあります。「彼が考えを変えなければ、われわれのチームのコーチングスタッフに加わってくれる。うれしいことだね(ジョゼ・モウリーニョ)」「まだ話し合いの最中だけど、おそらくそうなる(マイケル・キャリック)」。勝ち続けたチームのスピリッツを若い選手たちに伝えていただき、ゆくゆくはオールド・トラフォードで指揮を執る姿を見せていただければと楽しみにしています。12年間、ありがとうございました。チームが勝った試合すべてが、あなたのベストゲームでした。残された試合はプレミアリーグ8試合、FAカップ3試合。決して無理せず、どこかで少しでも最後の勇姿を見ることができれば幸せです。

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“チームが勝った試合すべてがベストゲームだった…マイケル・キャリックが引退を発表!” への3件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    愛するチームの選手が引退となると気持ちはいつも以上に切なくなると思います。管理人様の気持ちはわかります。
    レッズサポの私はキャリックが出てくると苦戦するとユナイテッドと対するゲームではいつも思いました。それだけ相手チームにとっては苦戦する選手だったと思います。今後はコーチになるのでしょうか?(確かそうだったような)いずれにしても指導者としても成功しそうな気がします。まだゲームは残されていますので、彼が出る試合を楽しみたいと思います。

  2. ガナユ より:

    理想の引退には色々あると思いますが、私にとっての一番美しい引退は、中山雅史です。
    乱暴な言い方をしてしまえば「最期までじたばたと、それでもピッチに立つことに執着し、もう一歩も歩けなくなった時に未練たらたらに辞める」という生き方です。
    中山選手自体も引退会見時には「未練はある、またやりたいって言い出すかも」と言っていて、言葉通りに数年後にはサッカーをやっています。

    イングランドのような世界トップのリーグで、しかも世界一のクラブの一つで現役引退が出来るというのは、もうそれだけで素晴らしい事なのだと思います。

    お疲れ様でした。いや、まだ今季は終わってませんね。

    —–
    代表では4-3-3の底で使ってあげればと思ってましたけどね…中盤に必要な能力を高水準で備えてのあの縦パスの精度。素晴らしい選手でした。

    ブログ主さんの言う通り、ジェラードやランパードでさえ最後はクラブを離れて現役を終えていますので、心臓の事もあるとは思いますが、自分のタイミングでやめれたというのは幸せな事かもしれませんね。

  3. sini より:

    スパーズからユナイテッドに移籍した時は、出場できるのかどうかを疑問視していました。スパーズでこそ彼は輝けたのだ、と。
    ロイ・キーンの背番号を継ぐとなった当初は、ユナイテッドファンの大半が「ハーグリーブスが来るまでの繋ぎ」と考えているようで、かわいそうになースパーズに戻ってきたらいいのになーと思ったものでした。

    そのキャリックが、生粋のユナイテッドサポーター達からも惜しまれて引退する形になるとは、当時思いもしませんでした。
    イングランド代表では、システムや戦術の問題もあってランパード、ジェラードだけでなくバリーやパーカーの陰にも隠れてしまっていましたが。

    スパーズファンは彼の短い期間での貢献を忘れていません。コーチとしても、きっと成功する筈です。

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