中途半端な選手になっていないか…期待を込めて、私的ジャック・ウィルシャー論。
理由は、わかっています。プレミアリーグでマンチェスター・ユナイテッドを応援しながら、ライアン・ギグスやポール・スコールズ、マーカス・ラシュフォードに熱くなっていた者として、生え抜きの10番を愛するグーナーに共感するのに、今、ウィルシャーについてポジティブには書けないと思っていたからです。それでも、彼のことがずっと気になっていました。代表落選後、「I’ve felt fit, sharp and strong all season and believe I should be in the squad!(シーズンを通じてフィットしており、鋭さ、強さを感じていた。自分はスカッドにいるべきだと信じてる!)」という叫びに触れて、胸が痛みました。
やはり、今、このタイミングでウィルシャーについて書き残しておこうと思い直しました。率直にいいます。ガレス・サウスゲートのチームには、ジャック・ウィルシャーは不要なのだと思います。そして、彼が変わらなければ、アーセナルにも代表にも必要ない選手になってしまうのだと思うのです。
ウィルシャーの居場所はない…とはっきり感じたのは、2018年3月に行われたフレンドリーマッチ、オランダVSイングランドと、イングランドVSイタリアを観たときでした。ガレス・サウスゲート監督の布陣は、3-1-4-2。アンカーにはエリック・ダイアーあるいはヘンダーソン。両翼にトリッピアーやダニー・ローズ、アシュリー・ヤングなどSBの選手を配し、インサイドMFにチェンバレンとリンガードを起用していました。
奪ったボールを素早く前線やサイドに供給する、縦に速いサッカー。モチーフはペップとポチェッティーノでしょうか。アンカーに求められるのは、3バックの前に広がるスペースのカバーリングとロングフィード、散らすセンス。インサイドMFにチェンバレンとリンガードを入れたのは、プレス、スプリント、攻守の切り替えの速さを買ったからでしょう。不在だったデル・アリは、トップフォームに戻ればこの布陣にすぐにフィットします。最終的に選ばれたロフタス=チークも、チェルシー仕込みのシンプルなプレイでチームに貢献するイメージが涌きます。
このコンセプトのなかでは、カウンターがうまいとはいえず、持ちすぎるシーンが目立つジャック・ウィルシャーは、チームのスピードを止めてしまうと思いました。ガナーズの10番を最終メンバーに選ばなかった理由について、ガレス・サウスゲート監督は「クリスマス以降、効果的ではなくなっていた」と語っておりましたが、以前はよかったというニュアンスを漂わせたのは彼の優しさではないでしょうか。今のジャックは、いらない。指揮官の思いを翻訳すると、そんなシンプルな言葉で片付いてしまうのではないかと思われます。
「創造性」「センス」といった言葉で形容されることが多いウィルシャーですが、ここしばらくの彼は中途半端なプレーヤーに映ります。プレミアリーグ166試合8ゴール17アシストは、セントラルMFとしても、もの足りない数字です。ランパード102アシスト、ジェラード92、ギャレス・バリーは64、同世代のヘンダーソンは38。「負傷続きで出場試合が少ない」という指摘については、トム・クレヴァリーの183試合12ゴール13アシスト、ジェームズ・ウォード=プラウズの167試合10ゴール19アシストと比べてどうかとお聞きしたくなります。パス本数7202本は、プレミアリーグ新記録の3116本を出した今季のジャカの2.3年分。ジャカは在籍2年で100本のシュートを放っていますが、ウィルシャーは試合数より少ない138本しか打っていません。時折誰も思いつかないようなパスを出すのですが、何しろ本数が少なく、チームを牽引しているとはいえません。
スピード、決定的なパスの本数、運動量、守備、中盤の仕切り・散らし…ジャック・ウィルシャーがもうひと皮剥けるためには、ストロングポイントを再構築する必要があるのではないでしょうか。私は、「攻撃センスのあるアンカー」、すなわちフェルナンジーニョのほうに寄せていくのがいいのではないかと思います。「自分はスカッドにいるべき」は、彼の気持ちの強さゆえの愛すべき言葉ですが、「自分は何かが足りない」という認識からリスタートしたほうがいいでしょう。新監督次第ではありますが、自らの能力を活かす使い方をしてもらえないなら、噂のエヴァートンなど、クラブを出るという選択肢もあると思います。
「ウィルシャーはセンスがない」といっているわけではなく、「今のウィルシャーのスタイルに、明るい未来が感じられない」というお話です。ぜひ、変わってほしい。「not as effective(効果的ではない)」…ガレス・サウスゲートの表現は的確です。
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今のイングランド代表のスタイルと彼より効果的な選手が居る。
同時に代表がアーセナルのようなスタイルであっても、他のクラブに
彼より効果的な選手がいる。アーセナルですら、輝くのはほんのわずかの間。
ただし輝いた時の彼は人々を魅了してくれる。でも継続性がないといけない。
大好きなアーセナルの選手ですが、落選は納得できます。
この悔しさをばねに来期は輝いてほしい。
更新ご苦労様です。
すごく良い記事でした。
私はいつも10/11 CL バルサ戦のファーストレグのウィルシャーを追い求めていたのかもしれませんね。それと記事にも書かれてらっしゃった生え抜き10番である事。ブロックされている敵陣に勇猛果敢に切り込んでいくシーンを見るにつれ「怪我すんなよ」と思いつつ彼にボールが回るとワクワク見てしまいます。
この前のELのセミファイナルのコメントではブロックされている状況で活路を見出そうとするウィルシャーを観て”可能性”と書いて勘違いされましたが、今回の記事を読んであの試合、バルサ戦から何か魔法にかけられたようにウィルシャーを見ていたんだなぁと感じました。
しかし05/06のCL決勝を見てアーセナルを好きになった関係上バルサ戦であの活躍!嫌いになれませんし、期待もしています。輝けるならどこのチームでも。
ボール扱いに関してはイングランド人の中で飛び抜けてると思うんですが、いかんせん結果がついてこないですね。
最高時の彼ならばスタイルにはまっていなくても、守りを固められたときのオプションには絶対なってメンバー入りできたでしょう。
しかし、今の彼はその姿ではないです。
ガナーズにいることがぬるま湯に浸ることになるなら、移籍してほしいですし、今のチームで奮起してあの頃を越えようとするならマンU応援している僕も応援します!
彼は才能だけでプレーしていると思います。
90年代のスター選手を見ているようで、タレント力、カリスマはあります。
いかんせん、時代遅れですよね。
過去のレジェンドが現代サッカーにタイムワープしてきたら 彼のようになるんだろうなぁ〜とプレーを見るたびに思います。