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大衆車とスウェット。きわどい節税はNG。「変わらないカンテがもたらす変化」に期待!

エンゴロ・カンテの今どき珍しい振る舞いが、またもや話題になっています。9月にパリ行きの終電を逃し、駅で出会ったグーナーに家に招かれてディナーをともにしたチェルシーのセントラルMFは、「マッチ・オブ・ザ・デイ」やサッカーゲーム「FIFA」を愉しみ、一夜を過ごしたと報じられました。今回は、チェルシー移籍時にタックス・ヘイブンを活用した節税を拒否したというお話です。

ネタ元は、選手たちが知られたくないクラブとの契約内容などを次々と暴露している「フットボールリークス」。レスターでプレミアリーグ制覇を果たしたカンテは、ビッグクラブにステップアップする際に、肖像権料の半分を英王室属領ジャージーに設立された会社から受け取るよう提案されました。弁護士が「合法、問題なし」と太鼓判を押した契約に対して、カンテの返事は「No」。自ら契約内容と税制について調べたフランス人MFは、法的なリスクがあるとして、2018年2月にイギリスの会社が支払うと合意するまで肖像権料を受け取らなかったそうです。

「エンゴロは意志が固い。彼は普通のサラリーを得られればいいと考えている」。税務アドバイザーのメールが明るみになり、却って好感度が上がったカンテは、フランスでプレイしていた頃から欲がないと有名でした。若い頃はスクーターで練習場に通い、プレミアリーグに参入した後に買ったクルマは大衆車ミニクーパー。購入費用は300万円ほどで、年収500万円のサラリーマンでも手が届くお値段です。「元々クルマ好きじゃないからね。レスターで買ったんだけど、左側通行に慣れるにはよかった」。上下お揃いのスウェットを愛用し、ファッションセンスがひどいといじられたこともあるMFは、ロンドンに来てからも何も変わっていないと語っています。

「練習して、試合して、家に帰る。いつも同じさ。変わったのは、人に見られるようになったことぐらいかな」。いやいや、たった3シーズンで取り巻く環境がこれほど激変した選手は、ほとんどいないのではないでしょうか。

2015年の夏、レスター加入時に報じられた移籍金は800万ユーロ(約10億円)。カーンでの活躍が評価され、プレミアリーグに参入した24歳の小柄なMFは、ヴァーディーや岡崎の後ろでパスを供給するプレーメイカーとして期待されていました。「期待」といっても、何しろ中小クラブです。今でいえば、ボーンマスのジェフェルソン・レルマや、ブライトンのイヴ・ビスマに寄せられた「見どころある若手外国人選手」という程度のものでした。最初の5試合のうち、4試合が途中出場。3勝2分ながら、すべての試合で失点を喫していたレスターは、後に伝説として語り継がれるような堅守のチームではありませんでした。

クラウディオ・ラニエリの慧眼。カンテのシンデレラストーリーは、セントラルMFこそが彼の能力を最大限に発揮できるポジションと判断したイタリア人監督によって序章が描かれました。フランスで指導したコーチが、「どんなオーダーでもきちんと成し遂げた」と声を揃えるマジメなMFは、CBの前のスペースをカバーせよというミッションを完璧にこなしました。レスターで奇跡的な優勝を遂げ、チェルシーに移籍した初年度に2年連続のプレミアリーグ制覇。PFA最優秀選手とプレミアリーグMVPをダブルで受賞したカンテは、ロシアで開催されたワールドカップでもピッチを広範囲にカバーし、世界一の称号を手に入れました。

チェルシーに移籍して3年めの夏。マウリシオ・サッリ監督に与えられた新しいミッションは、右のインサイドMFで攻守に貢献してほしいというものでした。プレミアリーグ12節までに走破した距離は141.87kmで、リーグNo.1。「地球の71%は水で覆われており、残りの29%はエンゴロ・カンテがカバーしている(マルセロ・デザイー)」とまで評された27歳のMFは、アスピリクエタとモラタをフォローするという難しい役割を淡々とこなしています。「攻め上がってストライカーを探し、より攻撃的にプレイしなければならない。この役割に適応して、チームのために全力を尽くすよ」。変わらないカンテがもたらす変化を、存分に楽しませていただければと思います。素晴らしい!

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“大衆車とスウェット。きわどい節税はNG。「変わらないカンテがもたらす変化」に期待!” への3件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    彼のシャイで控え目なところが相まって、ライバルチームとのゲームでも、彼にやられてしまうと、「カンテなら仕方がない」と思ってしまうくらい、ついつい許してしまいます(笑)
    記事を読み改めて、謙虚で正直で良い人なんだなぁと思いました。

  2. グナです より:

    グーナーとしてはついつい「チェルシーの悪いとこ探し」が日課になってしまう卑しい性分なのですが。。
    カンテに関してはお手上げです。
    どこにもケチがつけられないのですよねぇ。。。

    日本はどうしても「地味で堅実で謙虚なスーパースター」としてカンテは人気ですが、他の国ではどうなんでしょうね。
    金を湯水のように使う豪快なスーパースターも、見ている分には楽しいですけどね。

  3. xof ybot より:

    レスターでのカンテのターニングポイントだったのはやっぱりアストン・ヴィラ戦の逆転勝ちでしょうかね。
    あの試合を境にインレルから完全に定位置を奪い、沢山のメディアに名前が上がり始めました。優勝したシーズンでも特に記憶に残る試合です。

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