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高速スローインでプレミアリーグを切り裂いた、元ストークのロリー・デラップがついに引退!

もう、こんな選手は二度と出てこないのではないでしょうか。みなさん、ロリー・デラップをご存じですか?「フットボールリーグ2(4部相当)のバートン・アルビオンFCに所属する37歳のDF」というのが直近までの肩書きでしたが、「ストークで高速スローインをゴール前に放り込んでいた選手」という紹介なら、思い出す方もいらっしゃるのではないかと思います。現在、クリスタル・パレスを率いているトニー・ピューリス監督が、ストーク時代にデラップを獲得したのが2007年1月。当時、ストークはチャンピオンシップに所属していましたが、デラップの活躍もあってこのシーズンを2位でフィニッシュ。1888-89シーズンに始まったフットボールリーグの最初の12クラブに名を連ねていた古豪は、23シーズンぶりにプレミアリーグに昇格しました。

さあ、ここからストークの快進撃が始まります。といっても、彼らのプレミアリーグでの順位は5シーズンを通じて11位~14位と「低値安定」。しかし、本拠地ブリタニア・スタジアムでのえもいわれぬ強さと、ドリブルやパスのテクニックを無力化するような徹底的な激しい当たりとロングボール放り込みは、上位クラブにとってはストレス以外の何物でもありませんでした。そのなかで最大の武器だったのが、デラップの高速スローインです。ブリタニア・スタジアムは、デラップのために作られたかのように左右の幅が狭く、40メートルを超える飛距離を誇る「人間発射台」デラップのスローは、ファーサイドにいる選手の頭にもピタリと合わせられるのです。

デラップ自身は自らのロングスローのメリットについて「オフサイドにならず、ボールを手で扱うのでCKより精度も高く、低い弾道のまっすぐなボールを投げればDFはクリアしにくい」と語っておりました。彼がいることで、ストークは毎試合、相手チームよりも3倍から4倍多くCKのチャンスを得ているようなものです。これは嫌でしたね。とりわけガナーズサポーターが、苦い記憶が多いのではないでしょうか。「ロングスロー2発で2-1で負け」みたいな試合で、何度優勝争いのなかで足踏みしたことか…。

そんなデラップも、ここ数年は出場機会が減り、ピューリスサッカーもトップ10に入るほどの力はなく、ストークは方向転換を考え始めます。そしてついに、そのときが訪れました。2013年5月、ピューリス監督、事実上の解任。6月、ロリー・デラップ退団。

2012年11月には、テレビ朝日「マツコ&有吉の怒り新党」の「新・3大調査会」コーナーで、「新・3大ロリー・デラップの人間発射台」として紹介されるほどの特殊技術を持った異能戦士。プレミアリーグでの冒険にピリオドを打った直後、彼は4部のクラブに拾われますが、度重なるケガに勝てず12月16日、入団5ヵ月で自らのキャリアに幕を下ろしました。昨季まで、ストークとマンチェスター・ユナイテッドのゲームを観ているときは、キック・アンド・ラッシュに近いそのサッカーは「うっとうしい」のひとことでしたが、デラップとピューリスがチームを離れた今、プレミアリーグでいちばんとんがっていたその独特なスタイルを懐かしく思い出します。

おつかれさま。いいものを見せていただきました。もうあなたのようなプレイヤーに出会うことはないと思いますが、きっとこれからも、酒場で生ビールを煽りながら、たびたびあなたの話題で盛り上がることでしょう。ひとつの時代の終わりというのは、やはり寂しいものです。(写真著作者/Russ London)

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“高速スローインでプレミアリーグを切り裂いた、元ストークのロリー・デラップがついに引退!” への1件のコメント

  1. makoto より:

    スローインのたびにタオルでボールを拭くのには本当に苛々しました苦笑
    デラップのいたストークは本当に鬱陶しかったですね、猫も杓子もポゼッションの近年のフットボール界を横目に清々しいくらいに明確なコンセプトを持っていました。
    美しいサッカー? 知るか、これが中堅クラブの生き残り方だ! というのをまざまざと見せつけてくれました。
    第二の人生に口出すつもりはないですが、願望としては子供たちのコーチになってほしいですね。ボールの扱い方なら他にいくらでもいるでしょうが、スローインを真剣に教えてくれるコーチはなかなかいないと思いますので。

    —–
    浮気性なリバサポさん>
    デラップは、やり投げの学生チャンピオンだったそうですね。
    サッカーコーチも素晴らしいですが、いっそサッカー離れて体育の先生でもいいかもしれません。
    ストークの学校なら、地元の子供たちはテンション上がりますよね。英雄デラップですから。

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