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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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鮮やかな4ゴール、不安募る2失点。明暗分かれた日本VSニュージーランドの香川真司と吉田麻也

香川真司と吉田麻也。プレミアリーグで苦戦している日本代表のふたりのプレイを気にしながら、日本VSニュージーランドのゲームを観ました。ザッケローニ監督は、この試合を「日本代表のサッカーを反芻し、確認するための場」といっており、何が何でも勝つというより、チームとしての戦い方をあらためてチェックすることに重きを置いていたのだと思われます。3月はJリーグが開幕したばかりで、多くの選手のコンディションが上がり切っていない時期でもあるので、あまり結果についてナーバスにならなくてもよいでしょう。

とはいえ、相手のニュージーランドはワールドカップ出場権がなく、2018年に向けて新しいチームを創り始めている段階。20歳以下の選手を5人も連れてきており、ほぼレギュラーメンバーが揃っている日本代表とは実力的に差があります。双方のレベル差を考慮すれば、「チームとしてのコンディションが悪かった」と言い訳したとしても、日本のディフェンスは厳しかったですね。香川と吉田のプレミアリーグ勢も、明暗分かれる出来でした。

開始17分で4得点というロケットスタートを決めた日本代表。その中心にいたのは香川真司でした。岡崎の先制ゴールはハーフライン付近からDFの裏に出した香川のロングパスが決め手となり、自らPKを決めた2点めでは、ペナルティエリアにドリブルで侵入してひとり抜き、マルセイユルーレットまで披露。プレミアリーグの当たりの厳しいDFと、この日のニュージーランドの違いを肌で感じていたのでしょう。相手を見下ろすような挑発的でアグレッシブなプレイで、前半の日本代表の攻撃を本田圭祐、岡崎慎司とともにリードしました。対戦相手のレベルが上がる本番で、同じようにプレイするのは難しいと思いますが、正確でタイミングのいいパスや一瞬でシュートコースを切り開くドリブルなどの多彩な打ち手を持ち、狭いスペースが使える彼のよさは出せたのではないでしょうか。チーム全体の運動量が落ち、パスがまわらなくなった後半は彼自身もかなり電池切れしていましたが、本番前のコンディション作りで90分戦える体は戻ってくると思います。

一方の吉田麻也は、厳しかったですね。失点シーンにコンビを組んだ森重が絡んだため、吉田麻也のほうは「ミスはなかった」と評している日本のマスコミもありましたが、点にはならなかったものの致命的なミスが多かったのは背番号22のほうだったと思います。ヒヤリとさせられたのは、味方の最終ラインが見えておらずひとり下がってしまい、オフサイド崩れからチャンスを創られたシーンと、ボール奪取の後、セーフティにサイドから組み立てるべきところで中央に蹴ってしまい、相手に自陣で拾われ逆襲を喰らったプレイです。

2010年、南アフリカでワールドカップを戦い、決勝トーナメントに進出した日本代表のCBは中澤と闘莉王でした。4試合で2失点しかなかった守備の堅いチームがゴールを許したのは、スナイデルの強烈なブレ球ミドルと、長谷部が犯したファールからのトマソンのPKのみ。日本代表の大型コンビは大会中、ついぞ一度も中央を崩されることがないまま、堂々と大会を去っています。このときのポジティブな印象が強いこともあり、現在の吉田麻也、今野、森重には不安を感じます。今野はヨミがしっかりしているいい選手ですが、速さと強さへの対応に難があり、森重は国際試合の経験不足からか、ときどき速度や空間の計算を誤って後手を踏むシーンがあります。吉田麻也に感じるのは、「ピンチの際の判断ミスが多いこと」です。中澤や闘莉王は「危ないときはとにかくセーフティに」を徹底していましたが、吉田は色気を出して無理につなごうとしたり、焦って難易度の高いプレイをしてしまい、結果ミスを犯すという場面が目立ちます。

時間と機会が少ないので難しいかもしれませんが、本番前に、前回のベテランも含めてCBをいま一度見直し、競争させたうえで最終メンバーを選んでもいいのではないかと思います。そのうえで「やはり日本代表のレギュラーは吉田麻也である」とするなら、ワールドカップ本番では、プレミアリーグ1年めで見せてくれた彼の視野の広さと前につなぐ能力に賭けて、万力込めて応援したいと思います。ザッケローニ監督、いかがでしょうか?

プレミアリーグの看板を掲げているブログですので、香川真司と吉田麻也を中心に触れさせていただきましたが、最後に総括めいたことを、ひとつだけ。ワールドカップ直前は、出場国とマッチメイクしないと成果が評価できず、難しいですね。これからチームを構築していこうという国が相手では、4点獲っても手放しで喜べず、失点のほうは気になってしまうので、ついつい見方がネガティブになりがちです。あえてここは、「現在の国立競技場で行われる最後の代表戦勝利、おめでとうございます。内容はともかく、2014年の緒戦を勝利で飾れてよかったと思います。ワールドカップに向けて、これを発射台にコンディションもクオリティも上げてまいりましょう」と明るくメッセージして、この稿を締めることとしましょう。うーん、何だかモヤモヤします。やはり、2失点。

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“鮮やかな4ゴール、不安募る2失点。明暗分かれた日本VSニュージーランドの香川真司と吉田麻也” への7件のフィードバック

  1. sunny より:

    こんにちは
    いつもいろんなチームの動向を多角的に拝読できるので楽しみにしています
    香川は出場機会がないことを色々書き立てられていますが、全く遜色なく安心しました
    吉田は集中力のなさと状況判断の悪さはCBとしては致命的ですね
    しかし中澤は去年のJリーグや先日のACLでも足元の悪さからプレッシャーを受けボールを奪われ失点、ビルドアップも出来ずという場面も見られますし
    トゥーリオはCBの位置から前線まで張る場面が多く、カウンターに戻れず失点というように
    逆に吉田が出来ていることが出来なかったりしていることもありますから難しいですね

    4年前の彼らとは違いますし、チームとしての戦術も大きくことなるでしょう
    Jリーグ、他にも塩谷や山下など若手が伸びてきていますし、もっと多くの選手を試してほしいというのは同意です

  2. ナツメ より:

    吉田に関してはそこまで悪くなかった気がしますね。後半の中盤が酷過ぎてCBは少し可哀そうだった気が。
    攻撃に関してはもう少し大迫を上手く使うことが出来ないのかと思いました、香川にしろ本田にしろ使う気がないというかそんな気がして。
    まあ大迫がアピールしてボールを貰うのも大事ですが、長く代表の主力としている選手が上手く使って馴染ませるのも大事なんじゃないかな~と思う試合でした

  3. Uボマー より:

    香川はそれなりに良かったけれど、あれなら最低限の働きというような…。むしろ岡崎を褒めるべきでしょう。実力的には下位のチームを引き上げるだけの活躍をしているなと感じました。本田もそうでしたが、香川も何か焦りすぎでしたね。本番でどうでるか。

    大迫は前半は十分に役割を果たしてました。彼が点数を決められないのは基本的には香川が原因。でも香川が悪いって意味じゃないですよ。今の代表の攻撃パターンで一番点数が取れるのが香川や長友から岡崎へというラインなので、大迫はどうしても引き立て役になってしまう。なので後半注目だったのですが、そこは香川・長友がもう少しなんとかしてほしかった。大迫も柿谷も前田ほどには特徴がつかみ切れていないのかもしれません。

    ディフェンスは内田がいないとホントにやばいのが露呈しました。W酒井はブンデスでもあまり良くないけれど、それがもろに試合に出てました。吉田は相変わらずですが、森重はまあまあ。それより前半は青山・山口のボランチコンビが結構守備でも効いてました。個人的には青山選手はWCに行ってほしいです。

    後半NZが前掛りになって遠藤からパスが出なかったのも点数が入らなかった原因だったと思います。細貝とのコンビはなかなか上手くいきませんね。長谷部が入っていたらどうだったのでしょうか。

  4. makoto より:

    sunnyさん>
    中澤は、ご本人も戻る気なく、下り坂に入ってしまっているようなので難しいと思いますが、闘莉王は「前線に出るな」等、監督の仕切り次第でいけるのではないかと思います。時間はありませんが、最後の最後でいま一度、競争原理を働かせてみては?と思ったりします。

  5. makoto より:

    ナツメさん Uボマーさん>
    吉田麻也は、結果的には大事に至らなかったものの、強豪国相手なら致命的なシーンを創られるであろうミスを複数回やってます。岡崎はよかったですね。大迫については、いま一度攻撃のフォーメーションを熟成させるような練習や意識の共有が必要なのではないでしょうか。個別のコミュニケーションで何とかするというより、チーム戦術の問題だと思います。

    遠藤は、コンディションが今イチでしたね。後半悪かったことについては、疲れや不調選手の投入が理由だと思われるので、あまり気にしていません。前半、4-0となってからの30分に、課題がいっぱい詰まっていたように感じました。

  6. 氏家 より:

    更新おつかれさまです
    試合に関して言えば普通は4点入れば結果は見えてしまうだけに選手たちにとっても難しかったでしょうね
    後半点をとれなかったけど後半のgdgdにイラついている方もいますが前半4点とれたから後半も4点とはいきませんからね
    それよりも2失点は気がかりですね(DFGKだけの責任ではありませんが)
    W杯ではロースコアの試合が予想されますし得失点差のことを考えても修正が求められますね
    選手を入れ替えるのか?システムを変えるのか?
    W杯まで3ヶ月ザック監督の決断采配に期待したいです。

    ちなみにNZとのマッチメイクに関しては
    震災うんぬんで3年前にやるはずだったけどできなかったニュージーランド戦で、ザックが提案して、この試合の収益は500万円ずつ両国に寄付されるということなので

  7. makoto より:

    氏家さん>
    仕組みまで変えるのは難易度が高いので、直近好調な選手やベテラン選手を数人試す、というくらいでよいと思います。4年前、岡田さんは直前で枠組みまで変えて成功しましたが、あれはやはりギャンブルですので。

    ニュージーランド戦の趣旨はいいと思うのですが、だとしてもワールドカップ直前には、出場国同士で、お互いレギュラーメンバーを揃えて戦いたいですね。3月ということに意味があるのでしょうが、強化につながりにくいゲームはワールドカップ終了後でいいのではないかと思います。

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