偏愛的プレミアリーグ見聞録

クロップ監督のチョイスは4-2-3-1でしょうか。ならば南野拓実が見たかった…。プレミアリーグ6節、リヴァプールVSシェフィールド・ユナイテッド。ゴールマウスにアリソンが復帰し、アーノルド、ファビーニョ、ジョー・ゴメス、ロバートソンを最終ラインに並べた指揮官は、中盤センターをワイナルドゥムとヘンダーソンの2枚にしています。2列めはジョッタ、フィルミーノ、マネ、最前線はプレミアリーグ5戦6発と絶好調のサラーです。キックオフから1分、ロバートソンの縦パスでマネがフリーになり、飛び出したラムズデールの脇を抜きますが、戻ったイーガンがスライディングでクリア。3分に自陣で得たFKをアーノルドが直接狙うと、前に出ていたラムズデールは慌てて戻り、何とかCKに逃れました。

ファン・ダイクを欠いたチームは、早い時間に先制して優位に立ちたかったのですが、13分の先制ゴールはアウェイチームでした。ファビーニョがマクバーニーを倒した位置は、ボックス入り口のライン上。VARによってPKとなり、ベルゲが右隅に流し込みました。17分、アーノルドのFKのクリアから、こぼれ球がワイナルドゥムの足元に入りますが、左足のシュートは左のポストの外。昨季プレミアリーグ王者がポゼッションを取り、アウェイチームはサイドアタックで追加点を狙っています。

20分に右サイドのアンパドゥーがゴール前にロングフィードを送ったのは、アーノルドの裏に入ったマクバーニーが見えたからでしょう。ボックス左でトラップした9番のシュートはアリソンの脇を抜けますが、ファーポストの外に逸れてしまいました。24分、右から上がったバルドックのクロスが走り込んだオズボーンに合い、左足のボレーが枠に飛びますが、ニアのコースをケアしていたアリソンがセーブ。シェフィールド・ユナイテッドの2本のラインは統制されており、レッズは効果的な楔を入れられずに苦しんでいます。

35分、右サイドに張っていたサラーが斜めに走り、アーノルドの浮き球で抜け出しますが、ボックス右から打ったループシュートは枠の上。リヴァプールが追いついたのは、41分でした。ヘンダーソンの素晴らしいクロスをマネがヘディングで叩き、ラムズデールが弾いたボールをフィルミーノがプッシュ。出遅れ気味だった9番は、今季プレミアリーグ初ゴールです。前半は1-1で終わり、後半もリヴァプールのポゼッション。48分、ランドストロムのハイクロスをベルゲがヘッドで落とし、走り込んだバルドックがボレーを打ったシーンは、DFに当たらなければ決まっていたでしょう。

52分、CKのクリアに反応したサラーの左足シュートは、クロスバーの上にアウト。左のロバートソンが積極的に上がり、ゴールを狙っているのに対して、アーノルドがおとなしいのが気になります。61分、ブリュースターと代わって間もないバークが左からドリブルで仕掛け、ファビーニョを抜いて右足を振り抜くと、ジョー・ゴメスがコースに入ってブロック。アーノルドの浮き球をボレーで押し込んだサラーがオフサイドを取られた直後、64分にマネが左からクロスを上げると、中央で待っていたジョッタがきれいなヘディングを右隅に収め、リヴァプールがようやく逆転に成功しました。

同店をめざすシェフィールド・ユナイテッドは、CBのベイシャムが前線に上がる得意のサイドアタックを展開。75分にボックス右から放ったベイシャムのシュートは、アリソンが右にダイブして手に当てました。攻撃の人数を増やしたアウェイチームに対して、ジョッタとフィルミーノがしっかり戻って対応しており、レッズがフリーでシュートを打たれるシーンはありません。80分、ワイナルドゥムのパスを受けたサラーが、ボックス右でイーガンをかわしてラムズデールと1対1。左足でニアを狙うとボールはポストにヒットし、勝負を決めることはできませんでした。

83分にジョッタとフィルミーノが下がり、南野拓実とミルナーがピッチへ。日本代表FWの次の先発は、ミッドウィークに開催されるCLグループステージのミッティラン戦でしょう。最後まで守備が崩れなかったリヴァプールが2-1をキープし、エヴァートンに次ぐ暫定2位に浮上。前線に多彩なボールを配するヘンダーソンの存在感と、上下動のタイミングを間違えないロバートソンのセンスのよさが光った一戦でした。ファン・ダイクのいない最終ラインは、13本のシュートを許しましたが、コースを切らずに打たれたシーンは1回もなく、合格点だったのではないかと思います。

敗れはしたものの、シェフィールド・ユナイテッドの堅実な守備とワイドなアタックは魅力的で、プレミアリーグ1分5敗という戦績が信じられないパフォーマンスでした。次節はマンチェスター・シティ、その次はチェルシー。インターナショナルマッチウィークを最下位で迎える可能性がありますが、クラブの経営ボードがクリス・ワイルダー監督を信じてくれることを祈っています。リス・ムセとオコネルの負傷という致命的なアクシデントがあったにも関わらず、昨季プレミアリーグ王者と堂々と渡り合えているのですから。