偏愛的プレミアリーグ見聞録

2位をキープしたいマンチェスター・ユナイテッドに対して、勝って4位チェルシーに並びたいウェストハム。プレミアリーグ28節のシックスポインターは、両者ともに負けられない一戦です。スールシャール監督は、負傷が癒えたラシュフォードを左サイドで起用。GKディーン・ヘンダーソン、DFワン＝ビサカ、リンデロフ、マグワイア、ルーク・ショー。中盤センターにフレッジとマクトミネイ、2列めはダニエル・ジェームズ、ブルーノ・フェルナンデス、ラシュフォード、最前線に今季プレミアリーグでわずか1ゴールのグリーンウッドという布陣です。

開始3分、左サイドのルーク・ショーがツォウファルをかわしてボックス左に進出。グラウンダーをニアで受けたグリーンウッドのボレーは、ドーソンが足に当ててファビアンスキがキャッチしました。ポゼッションは赤いシャツのホームチーム。古巣の足をすくいたいモイーズ監督は、守備的に戦うと決めているようです。厳しいプレスで奪取した13分のショートカウンターは、マクトミナイが横に出したパスがブルーノ・フェルナンデスに合いませんでした。

パスがずれるシーンが目立っていたマンチェスター・ユナイテッドは、20分過ぎからエンジンがかかりました。23分のグリーンウッドとブルーノ・フェルナンデスのポストプレーは、18番のシュートがDFにヒット。25分にグリーンウッドが右からクロスを上げると、ファーでフリーだったラシュフォードがヘディングをミスしてしまいました。29分、ボックス左で浮き球をもらったグリーンウッドが、デクラン・ライスを抜いて高速グラウンダーをフィード。ダニエル・ジェームズの前に飛び出したファビアンスキは、弾いたボールを何とか懐に収めました。

37分、マンチェスター・ユナイテッドがGKから縦につなぐカウンター。ブルーノのパスを右で受けたグリーンウッドが中に斬り込んで左足を振り抜くと、ファビアンスキが弾いたボールがポストの外を叩きました。前半のシュート数は8対0。後半開始直後はラインを上げていたハマーズは、じわじわと押し戻されてしまいました。53分、右からグリーンウッドが仕掛けて中にグラウンダーを通すと、ラシュフォードの前に入ったツォウファルが何とかクリア。ブルーノ・フェルナンデスがニアに入れたCKをヘッドで押し込んだのは、堅実な守備を見せていたドーソンでした。

59分、ブルーノの浮き球を前線に入ったワン＝ビサカが収め、グリーンウッドがシュートをDFにぶつけると、拾ったSBの落としをもらったブルーノの強烈なシュートはファビアンスキがぎりぎりでセーブ。早い時間に追いつきたいモイーズ監督は、62分にベン・ジョンソンとノーブルを下げ、ランシーニとベンラーマで攻撃の活性化を図ります。65分、マクトミネイの素晴らしいロングフィードが左のラシュフォードへ。10番の優しいラストパスがボックスに転がり、走り込んだブルーノがつま先プッシュすると、足元に飛び込んだファビアンスキが体を張ってストップし、追加点を許しませんでした。

残り時間は20分。同点をめざすハマーズが執拗にサイドを突き、マン・ユナイテッドの守備陣がボックスにこもるシーンが増えています。77分、ラシュフォードが左から上がったグリーンウッドに縦パスを通し、カウンターが発動。ボックス左に持ち込んだ19歳のフィニッシュは、左のポストに阻まれました。80分を過ぎても、スールシャール監督がカードを切る気配はありません。足を気にしているブルーノとラシュフォードは、ELのミラン戦も出るのでしょうか。最後まで集中力を切らさなかったマン・ユナイテッドが逃げ切り、プレミアリーグ2位をキープしました。

オウンゴール1発、ハマーズのオンターゲットゼロ、スールシャール監督の交代カードゼロという珍しい展開。勝利という結果はよかったのですが、プレスをかけ続けた前線と中盤が疲労困憊だったのが気になります。ミッドウィークのミラン戦と、2日後に控えているFAカップ準々決勝のレスター戦は、いずれもアウェイゲーム。指揮官は、どこで主力を休ませようとしているのか。来週には戻ってくるはずだったポグバ、ファン・デ・ベーク、マタは、しばらく時間が必要といわれており、復帰できそうなのはカバーニだけです。

ELは主力でFAカップはサブ…それなら今日の交代ゼロの意図がわかりません。今後のことを考えると、モヤモヤ感が残る辛勝でした。大丈夫か、ブルーノ・フェルナンデス…！