偏愛的プレミアリーグ見聞録

ウェストハムは3-4-1-2、チェルシーは3-4-2-1。プレミアリーグの後半戦13試合のうち、6試合で3ゴールをゲットしているハマーズは、ブルーズの堅守を崩せるでしょうか。TOP4を争う東西ロンドンのクラブが激突する注目のダービー。勝ったほうがレスターと1ポイント差の4位になる一戦です。ホームチームのキーマンは、絶好調のボーウェン＆リンガードと、高さが武器のソーチェク。アウェイチームは、ジョルジーニョとカンテの前にプリシッチ、メイソン・マウント、ヴェルナーという攻撃陣です。

開始4分、アスピリクエタとスイッチして右サイドに出たメイソン・マウントがニアにクロスをフィード。ヴェルナーの右足のボレーは浮いてしまいました。10分にボックスの右コーナーでキープしたメイソン・マウントが、中に斬り込んで強引に左足を振り抜くと、ファビアンスキが右に飛んでがっちりキャッチ。ハマーズの速攻は、ブルーズの守備陣が冷静につぶしています。15分にヴェルナーが右から上がってグラウンダーを入れると、プリシッチのボレーはGKが懐に収めました。

押しているのはチェルシーですが、ハマーズは縦パスをキープした選手を自由にさせず、ハイボールには勝ち続けています。28分にボックス左で仕掛けたプリシッチは、ソーチェクに体を入れられて突破できず。31分、右サイドでロングフィードを受けたメイソン・マウントが中央のヴェルナーの足元にボールを入れると、バルブエナを背負ったストライカーが右から反転して打ったシュートは、右に逸れていきました。

36分、左からのFKを蹴ったのはリンガード。競り勝ったオグボンナが落としたボールがソーチェクに渡り、右足のボレーが左隅に向かいますが、ゴール前にいたアスピリクエタが体に当てて難を逃れました。43分、カンテの楔のパスをヴェルナーが収め、脇にいたプリシッチが左のチルウェルに展開すると、絶妙なグラウンダーが中央へ。走り込んだヴェルナーが右足のインサイドでファビアンスキの脇を抜き、チェルシーが0‐1で折り返しました。

早く追いつきたいハマーズは、執拗にサイドを攻略しようとするものの、両脇のCB、WB、セントラルMFに囲まれるとその先の崩し方が見えなくなります。54分、ヴェルナーが右に預けて上がり、メイソン・マウントがミドルを放つと、ファビアンスキが右に飛んでセーブ。こぼれ球に詰めたヴェルナーはフリーでしたが、左足のシュートはファーポストの外に切れてしまいました。2分後、フォルナルスが右足で打った強烈なミドルは、メンディの正面です。

60分、ノーブルの折り返しがボックスの外にいたフレデリクスに届き、右足のダイレクトショットがメイソン・マウントに当たると、フォローしたリンガードのボレーは右にアウト。67分、右サイドに流れたヴェルナーが縦パスを受けて切り返し、左足でニアを狙った一撃は、ファビアンスキが外に弾き出しました。残り20分となる手前で、ホームチームの指揮官が動きます。フォルマルスとノーブルに代えてランシーニとベンラーマ。トゥヘル監督は、5分遅れでプリシッチをツィエクにスイッチしました。

1点を追うハマーズが、苦しい状況に追い込まれたのは78分。バルビエナがクリアした際に、ボールを蹴った右足がチルウェルの太腿の裏に入ってしまい、1発レッドを喰らってしまいました。チェルシーの指揮官は、86分にアスピリクエタをリース・ジェームズ、1分後にヴェルナーをタミー・アブラハムと小刻みに代えて時間を遣います。シュート数は9対17、オンターゲットは2対6。勝者にふさわしかったのは、得失点差で上にいた青いシャツでした。

0‐1で勝ち、プレミアリーグ4位をキープしたチェルシーですが、5月にマンチェスター・シティ、アーセナル、レスターの難敵3連戦が待っています。ウェストハムは、既に上位との対戦を終えており、リヴァプールはラスト4試合がすべて14位以下。熾烈なTOP4争奪戦は、最終節にもつれ込む可能性があります。トゥヘル就任後のプレミアリーグ14試合のうち、半分の7試合が1ゴール以下のチームは、CL出場権を獲得できるでしょうか。8試合ぶりにゴールを決めたヴェルナーは、決定機を外すシーンが目立ち、ライプツィヒにいた頃の凄みは感じられません。彼が本領を発揮してくれればいいのですが…！