偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグの開幕節は、リーズに5-1で圧勝。2戦めは、サウサンプトン相手に痛いドロー。1勝1分けのマンチェスター・ユナイテッドは、ウルヴスに2点差以上で勝てば、全勝のスパーズに次ぐ2位に浮上します。スールシャール監督は、ヴァランとサンチョをスタメンで起用しています。GKデ・ヘア、DFワン＝ビサカ、ヴァラン、マグワイア、ルーク・ショー。中盤センターはポグバとフレッジ、2列めはジェイドン・サンチョ、ブルーノ・フェルナンデス、ダニエル・ジェームズ。最前線はプレミアリーグ2戦2発と好調のグリーンウッドです。

開始2分、いきなりアダマ・トラオレのドリブルが炸裂し、3対2のカウンター。右から上がったラウル・ヒメネスがラストパスをダイレクトで叩くと、デ・ヘアが何とか足でブロックしました。フレッジのトラップをトリンコンにさらわれた5分のカウンターも決定機。フレッジをちぎった11番がデ・ヘアと1対1となり、左足で脇を抜いて決まったかと思われた瞬間、ワン＝ビサカが必死のスライディングでブロックし、先制を許しませんでした。

7分のブルーノ・フェルナンデスのミドルは左にアウト。1分後、アダマ・トラオレがボックス手前から放った一撃は、デ・ヘアの守備範囲です。10分にブルーノが蹴ったFKは壁にヒット。こぼれ球を拾ったダニエルジェームズが右足を振り抜き、コースにいたグリーンウッドが軌道を変えますが、ボールは左のポストの外を抜けていきます。13分、左からのクロスをファーでカットしたジェイドン・サンチョの中途半端なタッチが中央のモウチーニョへ。右足のボレーは、GKの頭上を越えていきました。

サイドを制圧され、ピンチが続くマンチェスター・ユナイテッド。26分、左サイドのルベン・ネヴェスがボックス左に流れたラウル・ヒメネスに絶妙なボールを通すと、クロスに反応したサイスの左足のバイシクルはファーポストすれすれを抜けていきます。38分にポグバのロングフィードで裏に抜けたブルーノは、ネットを揺らした後、オフサイドを取られました。42分のルベン・ネヴェスのミドルは左に逸れ、デ・ヘアが余裕をもって見送っています。

45分、ハーフライン付近のルーク・ショーがブルーノに預けると、絶妙なヒールキックがラインの裏に出て、グリーンウッドが縦に持ち込みます。ボックス左からのフィニッシュは、ジョゼ・サの指先をすり抜けて右にアウト。ホームのウルヴスがシュート数9対5と優勢のゲームは、0‐0で後半に突入しました。51分、トリンコンが縦に仕掛けてボックス右を突破。中に通れば決まりというシーンでしたが、ヴァランがスライディングでブロックして事なきをえました。

53分、ダニエル・ジェームズが下がってカバーニが登場。58分にポグバの縦へのフィードでブルーノがボックス右に抜け出し、逆サイドから上がったサンチョにラストパスを出すも、クリアされてしまいました。このボールに反応したフレッジは、ダイレクトショットをジョゼ・サの正面に蹴ってしまいました。63分のウルヴスのカウンターは、左からスプリントしたアダマ・トラオレがトリンコンにグラウンダーを通すも、ボレーは明らかなミスキックでした。

69分のCKをサイスがヘッドで合わせると、デ・ヘアが弾いたこぼれ球がサイスの足元に入ります。2発めの決定的な一撃は、倒れ込んでいた守護神が手を伸ばして止めるビッグセーブ！スールシャール監督の2枚めは、72分にジェイドン・サンチョをマルシアルです。75分のルーク・ショーのCKが右サイドに流れ、こぼれ球をキープしたポグバがニアを狙うと、ジョゼ・サがバーの上にクリアしました。

互角の展開だったゲームの均衡が崩れたのは80分。波状攻撃から、ヴァランが右のグリーンウッドにパスを通すと、ボックスに入って放った強引なシュートがGKの手を弾いてサイドネットに突き刺さりました。10代でプレミアリーグ開幕から3試合連発は、ロビー・ファウラー以来2人めという快挙。殊勲のストライカーは90分に下がり、逃げ切り要員はジオゴ・ダロトです。ウルヴスの反撃をしのいだマンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグ新記録となる28試合連続アウェイ無敗をクリーンシートで飾りました。

アダマ・トラオレとトリンコンに翻弄され続けた苦しい一戦。CKでサイスに競り負けるなど、不安なシーンもあったヴァランですが、ポジショニングとパスワーク、そしてプレミアリーグデビュー戦アシストでヒーローのひとりとなりました。ワン＝ビサカのシュートブロックや、グリーンウッドの渾身の一撃も素晴らしかったのですが、MVPは素直にデ・ヘアを選ぶべきでしょう。先制されていれば、間違いなく勝ち点をロストしていたゲームで、完璧なセービングを連発してチームを救ってくれました。

次節のニューカッスル戦は、CR7の復帰初戦となるのでしょうか。2試合連続で1ゴールのチームは、シュートの精度の低さが課題となりつつありますが、カバーニ、サンチョ、クリスティアーノ・ロナウドがフィットすれば、リーグ屈指の破壊力を誇るチームに生まれ変わるのではないかと思います。ここまで2勝1分けはまずまず。2週間後のゲームが今から楽しみです。