イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Liverpool×Norwich】展開を変えた4-4-2!フロントスリーが躍動した17分をプレーバック!

現地時間の15時キックオフだった6試合のうち、5試合が前半0-0。プレミアリーグ26節は、予想外にシブいゲームばかりとなりました。アーセナルはブレントフォードを攻め落とせず、チェルシーは思うようにフィニッシュに持ち込めずにハーフタイムを迎えています。アンフィールドで降格候補のノリッジと戦ったリヴァプールも、序盤のピンチを何とか切り抜ける苦しい展開でした。

後半開始から3分でスコアが動いたのは、エミレーツとアンフィールド。左からスミス・ロウがカットインして右隅に決め、首尾よく先制したアーセナルに対して、リヴァプールはまさかの失点を喫しました。ラシカのロングフィードを受けたサージャントが、右から左にドリブルで流れて3人を引き付け、ニアに転がすと、ラシカのミドルはマティプの足に当たってアリソンの逆を突きました。

60分まで0-1とリードされていたリヴァプールは、どんな戦い方で苦境を乗り越えたのでしょうか。あらためて、キックオフから試合の流れを振り返ってみましょう。アーノルドとロバートソンがいない最終ラインは、ジョー・ゴメス、マティプ、ファン・ダイク、ツィミカス。いつもと違う守備陣は、キックオフからわずか3分で苦戦を予感させるピンチを招きました。

自陣からドリブルで上がったノルマンが、ジョー・ゴメスの裏を取ったラシカにスルーパスを通し、アリソンの脇を抜いたシュートが左隅へ。右SBは意図的にラインを上げたわけではなく、「オフサイドを示すフラッグに救われた」という表現がぴったりです。

レッズの最初のチャンスは5分。マティプ、マネ、右のサラーとつながり、レフティがファーにふわりと浮かすと、走り込んだツィミカスは至近距離からのハーフボレーを打ち上げてしまいました。13分のアタックはCKからの流れで、ファン・ダイクが前線に残っていました。左にいたマネがゴール前にフィード。プレミアリーグ屈指のCBのヘッドは、GKガンが必死に手を伸ばして外に押し出しました。

15分のノリッジの決定機は、左からのFKのクリアを拾ったブランドン・ウィリアムズの縦パスが秀逸。左にいたプッキがツィミカスの背後に抜け出した瞬間、逆サイドのマネが残っていました。アリソンと1対1、しかしフィニッシュは右ポストの外。失点を回避したレッズは、ルイス・ディアス、マネ、サラーのフロントスリーが次々にシュートを放ちますが、先制点をゲットできずにいます。

とりわけ目を引くのは、サラーのパフォーマンスです。19分に右サイドで2人を抜き去り、ニアを狙ったシュートは、ベン・ギブソンが冷静にブロック。1分後、CKに飛び出したガンがパンチできず、浮いたボールを11番が頭でプッシュすると、ゴールライン上にいたノルマンがクリアしました。

38分のCKのクリアをチェンバレンが右足で叩き、ヘンダーソンのみぞおちに当たって落ちたボールをファン・ダイクが押し込んだシーンは、14番がぎりぎりでオフサイド。前半の途中から押していたリヴァプールが先制できなかったのは、難しい位置からのフィニッシュが多かったからでしょう。

0-0で始まったセカンドハーフは3分でスコアが動き、冒頭の場面に戻ってきます。猛攻を仕掛けるものの、ゴールを陥れられないレッズ。ナビ・ケイタ、チェンバレン、ヘンダーソンという中盤は悪くないのですが、ゴール前に人数を揃えるチームを崩すためには、変化が必要です。

クロップ監督のジャッジは、これまでのプレミアリーグではあまり見られなかったフォーメーション変更でした。62分にナビ・ケイタとチェンバレンを下げ、オリギとチアゴを投入。味方に声をかけたチアゴが「4-4-2」を指示しています。ルイス・ディアスとオリギが中央、マネとサラーがアウトサイドですが、攻めている時間は2-4-4、2-3-5に見える刺激的なシステムです。

レッズの同点ゴールは、システム変更から2分後の64分でした。ヘンダーソンがボックス左のツィミカスにロングフィード。SBが頭でゴール前に浮かすと、マネの美しいバイシクルがネットを揺らしました。勝ち越しゴールは、3分後。サラーの動き出しを見逃さなかったアリソンの美しいロングパントが、GKの前に飛び出したサラーの足元にピタリと届いた瞬間、背筋がぞくっとしました。

スパイクの裏を使うフェイントでGKをかわしたサラーは、DFの戻りをあざ笑うかのような緩いシュートを左隅に転がしました。ファーストタッチもボールを持つ方向も、ハンリーの逆を突くフィニッシュも、何も間違えなかったパーフェクトな逆転ゴール。エースの今季プレミアリーグ17発めの後、勝負を決めたのはニューフェイスの初ゴールでした。

81分、右から斜めに走ったルイス・ディアスに、完璧な高速スルーパスを通したのはヘンダーソン。足元に収めてゴールをチラ見したコロンビア人は、飛び出してきたGKが届かないチップキックを右隅に落としました。終わってみれば、フロントスリーが全員決めるレッズあるある。シュート数29対6、オンターゲット8対1、ポゼッション70%という数字を見ると、苦しい展開だったとは思えません。

4-4-2が成功したというより、「前に1枚足して相手の注意力を分散させた」といったほうがしっくりきます。17分で3発という怒涛のゴールラッシュを見ると、サラー、マネ、ジョッタ、フィルミーノ、ルイス・ディアスが同時にピッチにいる試合を観たくなります。天晴れクロップ、そして誰が出てもリーグ最強のフロントスリー!ジョッタとフィルミーノを負傷で欠いても、ワールドクラスが前線に並ぶチームなら、南野拓実の出場が90分からになるのもやむなしです。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【Liverpool×Norwich】展開を変えた4-4-2!フロントスリーが躍動した17分をプレーバック!” への1件のコメント

  1. 五月病のこじらせ上手 より:

    リバプールの4-3-3は基本的に両サイドバックが高い位置を取り、両WGが中央に仕掛けることを想定しています。
    IH2枚がチェンバレンとケイタではさらに味方選手が中央に集まってしまい、相手が中を固めてしまうと大渋滞を起こしていました。
    この試合では右SBがゴメスということもあって、良質がクロスは期待できずアンバランスな戦い方になっていました。
    後半は4-4-2にすることでチアゴ+ヘンドの2センターで相手のバイタルエリアでの大渋滞を緩和し、前線が活性化されました。
    ボール保持が前提となる中下位クラブとの試合ではこういった4-4-2がかなり有効なのではないかと個人的に思いましたね。

コメントを残す