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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Arsenal×WBA】 バカ勝ちか沈黙か~アーセナルの憂鬱

このところ、カップ戦も含めれば5試合白星なしだったアーセナルが久しぶりに勝ちました。カソルラの倒れ方は微妙でしたが、PK2発をアルテタが決め、危なげない90分。しかし私は、決まったPKよりも、決まらなかったいくつかのチャンスのほうが気になりました。アーセナルは大丈夫なのか、と…。

アーセン・ヴェンゲルは名古屋グランパスを強くしてくれた恩人であり、また、近しい人間がこのチームのファンであるがゆえに、私にとって、アーセナルは好感度の高いライバルチームです。さらに今季はロビン・ファン・ペルシーを気前よくリーズナブルにお譲りいただいたこともあり、なおのこと、元気でやっているか気にしています。例年どおり、マンチェスター・ユナイテッドの邪魔をしない程度に勝ってもらい、チャンピオンズリーグには来季も出てきてほしいのですが、昨今の試合を観る限り、残念ながらこのままでは来季はヨーロッパリーグでその勇姿を観ることになりそうです。

今季のアーセナルは、対サウサンプトン(6-1)、トッテナム(5-2)、レディング(7-5!)のような乱打戦バカ勝ちモードと、対アストンヴィラ戦やノーウィッチ戦のような膠着状態サイレントモード、のいずれかが目立ちます。要は「守備も攻撃も不安定。ハマれば容赦なく点を取る一方、うまく守られると打開策がない」のです。今季はファンペルシーとソングを放出する一方で、ポドルスキ、カソルラ、ジルーが加入したこともあって、「まだチーム戦術が熟成されていない」と見る向きもあるようですが、私はもっと根本的なところに問題があるように感じています。つまり、このままチームの熟成度を上げればよくなるというわけではなく、明確に改善を図らなければトッテナムやチェルシーの上にはいけない、ということ。気になるポイントは、以下の4つです。

①ディフェンスラインから前線へのフィードがなく、攻撃が単調
②ワントップで戦うには、フォワードが脆弱
③選手交代を含む試合中の変化・オプションの不足
④「何がなんでも勝つ」という強い気持ちを行動に出せる選手の不在

アーセナルのCBで、前線に直接、効果的なパスを出せるのがコシールニーしかいないので、このチームの攻撃はほぼ100%といっていいほど、アルテタかウィルシャーを経由して始まります。相手チームからすれば、ここにプレッシャーをかけておさえてしまえば、いいパスが出てこないカソルラが下がってきて、ワントップが孤立して、おしまい。非常に守りやすいわけです。

トップのジルーはスピードはあまりないものの、ポストプレーもサイドに流れるプレーもでき、いい選手ですが、彼がいないとき、機能しないときのフォワードがあまりにも脆弱です。ウォルコットもジェルビーニョもポドルスキも、ワントップで機能する選手ではありません。であればフォワードを補強するか、しないのであればトップを2人にして、後ろからパスを当てられるポイントを増やし、ひとりがボールをもらいにいけばもうひとりは裏を狙う、などのバリエーションをつけたほうが攻撃が活性化するのではないでしょうか。ヴェンゲルがなぜワントップに固執するのかがわかりません。

また、攻めあぐんだときのオプションが少ないため、後半になって同点もしくはリードされている展開になり、相手に引かれるとほぼそのままゲームオーバーとなってしまいます。ポドルスキを中に入れる、左右のアタッカーを入れ替えるなど、試合のなかでポジションチェンジをしてみたり、トップの数を増やしたりで打開できるケースもあるはずです。

プレミアリーグのチームで、変化のオプションがいちばんあるのがマンチェスター・シティ、次がマンチェスター・ユナイテッド、そしてチェルシー。1点ビハインドの状況で、シティであれば、テベスやジェコ、ミルナーを続々投入し、ヤヤ・トゥレがトップ下に上がってきて圧力をかけます。マン・ユナイテッドなら、エルナンデス、ウェルベック、ギグス、スコールズ。チェルシーはオスカル、ランパード。上位チームはいずれも、トップとその下に明確に変化を促し、シュートレンジでの人数とパスの出しどころを増やすことで試合をひっくり返しにいくわけです。アーセナルはこれができない。控え選手の層の薄さだけでなく、オプション自体が少ないように思います。有力なジョーカー、ロシツキを今季はうまく使えていないのも勝ちきれない要因のひとつだと思われます。

そして、メンタルの問題。いつも観ていて気になるのですが、試合終盤になると、1対1で勝負をするシーンが極端に減り(特にサイドの選手)、すぐ横や後ろに戻してしまう。ここ数年、セスク、ファンペルシー、ソングと勝利への執念が強い選手から順番にいなくなってしまいました。セスクのパスバリエーションと前への推進力、ソングの強引なドリブルと一発で試合を決める縦へのロングが試合を決着させた数々のシーンを思い出します。アルテタ、ラムジーはいい選手ですが、プレーが手堅く、ミドルシュートは打つものの、いちかばちかでも前やサイドに人を走らせるボールを出したり、自らゴール前へ上がってくることがありません。強い気持ちで、リスク覚悟で点を取りにいける選手がロシツキしかいなくなったことで、いままでにもまして勝ち点を落としているような気がしてなりません。

最後に、アーセナルへの提言です。補強するなら優先順位はCB、右サイドバック(サニャのスピードとクロスのクオリティはもはや厳しいのではないか)、そしてセンターフォワード。CBはダヴィド・ルイスやフンメルスのようなパスセンス重視。メルテザッカーは、中位チームなら大黒柱ですが、アーセナルのコンセプトを体現できる存在ではないでしょう。右SBはラファエウ、サバレタのように縦へも中へもいける選手。FWはビジャ、イェラビッチのように足元がうまく、駆け引きに長け、裏へ抜けられるタイプ。戦術でいえば、仮にFWの補強ができなくても、ジルー、ウォルコット、ポドルスキ、ジェルビーニョ、シャマフのなかからTOPを2人。カソルラ、ポドルスキ、ウォルコット、ジェルビーニョ、チェンバレン、ロシツキなどトップ下とサイドアタッカーのポジションを流動的にする。ビハインドをしょったらアルテタやウィルシャ
ー、ギブスを外してでもリスクをとって攻撃的なMF投入。

ファンのみなさまもいろいろ、気をもんでいらっしゃるかと思いますが、いかがでしょうか。
アーセナルが元気じゃないと、プレミアも盛り上がりませんね。

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