【Sunderland×Arsenal】 神様、サニャ様、ヴォイチェフ様!
「アーセナル、アウェイでサンダーランドに0-1勝利」とだけ聞けば、妥当な結果でおもしろみのない試合だったかのように感じるかもしれません。いやいや、昨夜はアーセナルらしからぬ出来事が多く、興味深いゲームでした。相性がいい相手だったこともふまえれば、新聞の見出しは「アーセナル辛勝」なのでしょう。後半のサンダーランドの出来がよく、ラスト15分は手に汗握りました。
1分、3分にウォルコットが惜しいシュートを打ったときは、正直、アーセナルは何点獲るのだろうと思っていました。ウォルコット、カソルラ、ジルー、ウィルシャー…相変わらず前の選手は皆、好調です。スペースの使い方が狭く、強引なパスが多かったものの、16分にはジルーが決定的なシュートを打つなど完全にアーセナルが主導権を握ります。そして36分、右からウィルシャーが中央に出したパスをウォルコットが受け、ドリブルで少しためて後ろに軽く落とすと、走り込んだカソルラが左足で思いっきり蹴り込み、やっと先制。時間はかかりましたが、前半のうちに1点獲ったことで、アーセナルはより試合を進めやすくなりました。この日は試合前の練習でコシールニーがケガをし、急きょジェンキンソンを起用。ヴェルマーレンもいないなか、何とサニャがセンターバック!急造DFラインだったからか、かえって慎重かつ丁寧に守っており、サンダーランドの淡白な攻撃ではアーセナルは崩せないだろう、と思われました。前半の最後に、ラムジーがキーパーと完全な1対1となり、工夫のないシュートを外したときは、こんなパスが出せるのなら後半、大量点もあるんじゃないかと期待したくらいです。後で思えば、このシュートを決められなかったことが「苦戦のゴング」だったのですが…。
(バカリ・サニャ/著作者:Ronnie Macdonald、ヴォイチェフ・シュチェスニー/著作者:Sławek)
後半は開始直後は互角。50分に足を痛めて大事をとったのか、ウィルシャーout、ディアビin。そして、62分に事件は送ります。ジェンキンソン、不利な体勢から無謀なスライディングで2枚めのイエロー、退場!彼は前半に1枚めをもらった直後にもきわどいファールをしており、どこかでやらかすのではないかと心配しておりましたが、その懸念は的中してしまいました。彼の犯すファールは、技術的な問題です。速度計算が雑なために、スライディングにいくタイミングが遅く、かつ相手の足の位置を見ずにいくので引っかけてしまう。場合によっては、ファールがほしい選手に出した足を使われることすら、あるでしょう。まだ、スタメンの選手とは判断力やポジショニング等のスキルに差があります。しばらくは、穴を埋めるのは難しいかもしれませんね。
ともあれ、10人になってからのアーセナルはひたすら守り、このアクシデントに勇気をもらったサンダーランドは攻めまくります。びっくりしたのは、サイドからのクロスやセットプレーの驚異的な質の高さ!前半、何でこれ、隠してたの!?とツッコミたくなるくらい、味方の足や頭に速いボールがドンピシャで入ります。こういった放り込みを苦手とするアーセナル、いつまで耐えられるか?そもそも、耐えられるのか?
この日のMVPは間違いなくシュチェスニー。そしてCBのサニャに、特別賞を贈呈したい。シュチェスニーは、メルテザッカーがゴール前で抜かれ、負け惜しみ気味にハンドを主張しているすぐその裏でフリーのシュートを飛び出して体に当て、さらに絶体絶命の至近距離ヘッドを2発、掻き出しました。サニャは老成したディフェンダーぶりを発揮し、危ないエリアに常に顔を出し、クロスに先に触り、これも2点は止めているでしょう。退場者を出すというアーセナルらしくない展開、専守防衛、パワープレイに対する冷静な対応、マイボールを焦って失わない大人の時間を使い方。マンチェスター・ユナイテッドなら日常茶飯事ですが、このチームの試合ではなかなかお見かけしないシーンが多く、サポーターは気が気ではなかったと思われますが、勝利に対する強い意志を感じました。何よりも、複数ポジションをこなす選手が少ないなか、「CBサニャ」が機能したことが最大の収穫ではないでしょうか。片やでカソルラやジルーが、フリーのシュートをことごとく打ち上げて外すのが気になりましたが…。
チェルシー、トッテナムが勝ったため、4位の席はまだ少し遠いところにありますが、この調子をキープできれば十分狙えます。シティに疲れがみえ、チェルシーもトップフォームまではもうひとつ。トッテナムは波があり、エヴァートンは決定力のなさゆえのドローが多い。トップはマン・ユナイテッドが独走気配ですが、CL出場権を最後に得るのはどこなのか?こちらはまだ全然わかりません。
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