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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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来た!エジルの必殺ラストパス2発。アーセナル、連続完封でプレミアリーグ独走気配!?

昨季プレミアリーグのアーセナルなら、ドローで終わってもおかしくないゲームでした。ボールを支配しながらも決め手がなくスコアレスでタイムアップを迎えたり、無理攻めを仕掛けてDFが裏を取られ、先制を許したりするシーンを何度観たことでしょうか。しかし、今季は違います。運動量があって後半に強く、マンチェスター勢から勝ち点をもぎ取ったカーディフに、慌てることなく0-3、クリーンシートの快勝です。最大のトピックスは、メスト・エジルが繰り出した必殺のラストパス。一発でゲームの景色を変えてしまう飛び道具を2本も喰らえば、マンチェスター・シティから3点を奪って勝利したブルーバーズのサポーターも、ため息をつくしかありません。

この日のアーセナルは、ロシツキとフラミニ、戦列復帰したウォルコットがベンチスタート。中盤の前にはエジル、カソルラ、ウィルシャーが並び、8歳からカーディフでプレイしていたラムジーとアルテタが中央を固めます。ゲームが始まったばかりの1分、中央での華麗なパス交換からジルーの落としを受けたウィルシャーが、いきなりポストに当たるミドルシュート。このままアーセナルがペースを握るかと思われましたが、カーディフはアルテタやラムジー、DFラインへの早いプレスで前線に有効なパスを出させず、しばらくアーセナルは攻めあぐみます。カーディフで要注意なのは、身体能力の高いフレイザー・キャンベルと、ミドルシュートがあるウィッティンガム、キム・ボギョンです。9分に右SBカテリンのクロスをヘッドで合わせたフレイザー・キャンベルのシュートは、あわや同点ゴールという危険なシュートでした。

そして14分、このゲームのハイライトのひとつとなった、「ジルーの勝手にオフサイド事件」が起こります。センターサークル付近でボールを受けたウィルシャーが、中央やや左にポジションをとっていたエジルにパス。エジルはこのパスコースの延長線上にジルーがいることをわかっており、軽くタッチして裏に流し、ジルーをGKと1対1にしますが、カーディフDF陣はオフサイドをアピール。エジルが触ったタイミングでは完全にオフサイドポジションだったジルーもプレイを中断しました。…が、笛の音が聞こえません。どうやら「エジルは触っていないのでオフサイドではない」というジャッジです。ジルーは慌てて右に切り返してシュートを打ちますが、戻ったDFにブロックされて、絶好のチャンスを逃してしまいました。VTRを観ると、エジルが右足でタッチしていましたが、FWがセルフジャッジでプレイをやめてはいけません。スアレスやルーニー、エトーなら確実に決めていたシーンでした。

この嫌な空気を変えたのが、エジルの完璧な左足クロスです。28分、左サイドでパスを受けたエジルは、ゴール前にラムジーが走り込むのを見てドンピシャで頭に合わせ、あっさりアウェイチームが先制ゴール!古巣相手に歓喜のパフォーマンスを封印したラムジーはそっけなく自陣に戻りましたが、あまりにも美しいヘディングシュートに内心はガッツポーズだったことでしょう。アーセナルは、前半のボールポゼッション61%と攻め込みながら、枠内シュートは1本だけとフィニッシュにつなげられませんでしたが、それでも前半をリードで終え、余裕をもってプレイできたのは、背番号11と絶好調センターMFの一発があればこそです。

後半も、前半と同じ展開でゲームが動きます。アーセナルは46分、ペナルティエリアに右から侵入したラムジーがDF2人を置き去りにして縦に突破すると、グラウンダーのラストパスを受けたジルーが至近距離からシュート。これはゴールに入っていたDFがかろうじてストップ。追加点を奪われるピンチを切り抜けたカーディフは、前半同様に反撃に転じます。

エジル、ラムジーに続くこの試合3人めのヒーローは、GKシュチェスニーでしょう。50分、左からのクロスをキム・ボギョンがヘッドで流し、高い打点でフレイザー・キャンベルが地面に叩きつけた絶望的なシュートを弾いたプレイは、この試合の流れを左右するビッグセーブでした。シュチェスニーは、77分にもフレイザー・キャンベルに代わって入ったオデムウィンギーの抜け出しを未然に防ぐ鋭いダッシュを見せており、0-1のままゲームは進みます。アーセナルの好調要因のひとつは、落ち着いたディフェンスです。自らの努力でパスワークとポジショニングを改善し、チームへのフィット感を高めたメルテザッカーと、ポカがなくなったサニャの好調が、プレミアリーグとチャンピオンズリーグを併せたここ7試合でわずか1失点という驚異的な守備力を支えています。DFが冷静に守れるのは、フラミニ、ラムジーやボールカットに長けたアルテタの守備への貢献があるからでもあります。この日もフレイザー・キャンベルだけでなく、ミドルを再三放ったウィッテンガムのシュートもコースを限定させ、カーディフの決定機を2回に抑えてゴールを許しませんでした。

さて、その後フラミニ、モンレアルを投入して守りを強化し、残り5分まで最少得点差をキープしてきたガナーズには、最後の最後でクライマックスシーンが用意されていました。85分、エジルが右からこの日2本めのキラーパスを、今度はやさしいグラウンダーでフィードします。飛び込んだのは、守備を固めていたはずのマシュー・フラミニ。これで勝利を確定的にすると、92分のゴールはカウンター。ラムジーが中盤でボールカットし、お役御免のエジルに代わって入った右サイドMFウォルコットを走らせると、ウォルコットは縦に突破し、ゴール前で再度ラムジーに折り返します。カーディフから来たセンターMFは、ワントラップでゴール右上にこの日2回めの「笑顔なきゴール」を叩き込み、0-3。終わってみれば、ホームチームのサポーターを完全に沈黙させる圧勝でした。

アーセナルは、これでプレミアリーグ10勝一番乗りです。いや、強い。先制点を守り続けて最後に引き離すあたりは、昨季のマンチェスター・ユナイテッドを見ているようですね。それにしても、先日のマルセイユ戦の2点めといい今日といい、エジルのラストパスの柔らかいこと。昨年までなかった「打開策が見えない時に、変化を生み出す一発」があるのが、プレミアリーグ首位という結果につながっています。この分だと、3週間くらいは負けそうにないですね。止めるとすれば、12月23日のロンドンダービー、チェルシーでしょうか。え?14日のマンチェスター・シティ?…でもその試合、CBナスタシッチがいないんですよね?

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“来た!エジルの必殺ラストパス2発。アーセナル、連続完封でプレミアリーグ独走気配!?” への3件のフィードバック

  1. チェルシー より:

    エジルは衝撃的ですね……

    正直きのうの試合なんかアシスト2つ以外はパッとしなかったのに試合を決めてしまいますもんね。
    ウィルシャーを変えたときはなんで?と思ったけれどさすがベンゲルさん、采配ズバリでした。

    それに最近の試合で見てて嬉しいのは省エネなのに余裕の試合運びができるところですね。このままいってもらいたい!できればチェルシー失速してくれー!モウさんほんと怖いよ~

    —–
    いやー、ほんとになかなかポイント落としませんね。

    ガナーズが優勝するなら今季が最大のチャンスじゃないですかね?

    いくらモウリーニョやペジェグリーニといっても一年目じゃチームの成熟度は高くないですし、ユナイテッド、シティ、チェルシー、それから選手が大幅に入れ替わったスパーズは来季が怖いですね。

    それにしてもやはりエジル加入はでかいです(^^;

  2. makoto より:

    チェルシーさん>
    そうですね。マンチェスター勢やチェルシーが、まとめてモタモタしてくれるシーズンはなかなかないので、大チャンスであることは間違いありません。一方、ガナーズもまだ大物補強の余地もありそうですし、1度優勝すれば選手も集めやすくなるので、さらに強くなって連覇をめざせる体制が作れそうですけどね。財政面でいえば、リヴァプールやチェルシー、マン・シティよりも1.3~1.5倍スタジアムが大きいのは彼らの武器です。

  3. makoto より:

    ウィルシェアさん>
    エジルは凄いです。ホントに。マルセイユ戦の左足アウトを使ったグラウンダーも、昨夜のフラミニへのラストパスにも思いましたが、そのタイミング・その蹴り方でよくそんなボールが出せるな、とときどき思います。

    直近は、7試合で1失点のディフェンスが素晴らしいです。DF4人が全員、昨季までのウィークポイントを改善してパワーアップしてますね。ヴェルマーレンが出られないのもやむなしです。

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