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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【West Ham×Arsenal】アーセナル、停滞を断ち切る今季初の逆転勝利で「2013年王者」にリーチ!

この試合は、何としても勝ち点3を獲らなければならない、長いプレミアリーグのなかでも重要度の高い一戦です。開幕戦でアストン・ヴィラによもやのホーム敗戦を喫した後は、接戦をしっかり勝ちきってプレミアリーグ首位を走ってきたアーセナルですが、ここ4試合は勝利なし。鉄壁だった守備陣がマンチェスター・シティに6失点を許し、エヴァートンとチェルシーからはなかなか点が奪えず、ホームでドロー。ここで踏ん張らないと、あっさり定位置だった4位に収まってしまいそうです。相手がダッチロール気味のウエストハムだったとしても、手を抜く余地はありません。

今季、逆転勝ちが一度もない「先行逃げ切り型」のガナーズにとっては、必勝のゲームにおいて何よりも重要なのは先制点です。Jスポーツの実況と解説は「アーセナルは疲れている」「選手を入れ替えたほうがよかった」といっておりましたが、私は、チーム全体として、前半の出来が著しく悪かったとは思いません。26分にウォルコットが裏に抜け出しボレーを放ったシーンや、エジルやサニャ、ウォルコットが再三見せた右からの突破は、得点の予感が充分に感じられるものでした。ただし、この日の彼らに足りなかったのは、今までゴールを決めてくれていたジルーとラムジーのコンディションです。ジルーはいつもよりポストプレイでの貢献度が低く、ゴール前への入りが明らかに遅れがちで、いつもどおりに中にグラウンダーを通すエジルやギブスとタイミングが合いません。ラムジーも動きが悪く、前節のチェルシー戦に続いてミスパスが目立ちます。

しかし、この重要なゲームに臨むアーセナルにターンオーバーは出来たのか?といえば、答えは「NO」でしょう。私は、ヴェンゲル監督の起用と采配を支持します。そもそも、現在のアーセナルは、「主力にケガ人と病み上がりが多い、深刻な状況を抱えたチーム」であることを認識しなければなりません。ウィルシャーが出場停止、コシールニーをケガで欠き、チェンバレン、ディアビ、宮市は未だベンチに入れず。ウォルコットはようやく調子が上がってきたところで、ポドルスキは戻ってきたばかりです。秋に大量の離脱者を出した彼らの傷跡は、未だに癒えていないのです。

もし、今日のメンバーから入れ替えができるとすれば、ギブスとモンレアル、ラムジーとフラミニ、ジルーとベントナーですが、絶対に勝利が必要な状況で、とにかく先制したいゲームで、その選択はなかったでしょう。マンチェスター・シティ戦でギブスに代わって入ったモンレアルが狙われ、大量失点の口火となってしまった直後です。スキを排除して勝利を狙うならギブスですし、早くゴールがほしいならジルーとラムジーを出すでしょう。「結局、勝った」「やってみたら疲れている選手がいるように見えた」という結果から逆引きすれば何とでもいえますが、現状、コンディションのいい選手が多くないガナーズは、ターンオーバーできる余地が少ないチームなのだと思います。

さて、ゲームの話に戻ります。0-0で折り返したアーセナルは、前半は点を獲られる気配は全くありませんでしたが、後半に入った直後の46分、ウエストハムにまさかの先制を許します。直前のアルテタのクリアが中途半端で、ノーランにフリーでシュートを打たれたのが失点の直接のきっかけですが、正面のシュートをGKシュチェスニーがファンブルするとは誰も思わなかったでしょう。足元にこぼれてきた幸運なボールを軽く蹴り込んだのは、カールトン・コールでした。1-0として勢いに乗ったウエストハムは、その後20分にわたってゲームを掌握し、何度も決定機を作ります。ここで追加点が入れば、アーセナルは間違いなく5位に転落していたでしょう。

この窮地からチームを救ったのは、テオ・ウォルコットでした。68分の同点ゴールは、GKアドリアンが足元にきたシュートをつかみ損なうという幸運なものでしたが、71分の逆転弾は、ラムジーの負傷で途中出場したポドルスキのクロスが相手に当たってコースが変わったところを、素早く対応して強くヘッドで叩いた見事な一発です。さらに79分にとどめを刺したのは、ポドルスキ。ジルーのポストプレイの落としを左足でジャストミートした彼らしい弾丸シュートが右のサイドネットに突き刺さり、終わってみれば復活途上組の活躍で、アーセナルはプレミアリーグ首位復帰です。

そういえば、太ももを押さえて負傷退場したラムジーは大丈夫ですかね。これもまた、「休ませないからだ」という話になりそうですが、毎年、エヴラとキャリック、ルーニーが2~3試合しか休まず出ているのを観続けているマンチェスター・ユナイテッドサポーターとしては、あまりにもコンディションに敏感なコメントは奇異に感じます(一方で、プレミアリーグのタイトな日程は改善すべしとも思いますが、それとこれとは別問題です)。ちなみにカソルラは2012-13シーズン、37試合に出場していますが、彼に対して休ませろという声はあまりなかったと記憶しています。昨季は開幕から不調でプレミアリーグ4位を失いかけており、チームにもサポーターにも余裕がなかったというのが最大の理由でしょう。このあたりについては、「ラムジーは、チームになくてはならない”出ずっぱりの選手”になりつつある」「今季はチームが首位で、サポーターのテンションが上がっており、ターンオーバーにも関心が集まっている」という理解をしていますが、いかがでしょうか。

これで年内はあと1試合を残すのみですね。アーセナルの次戦は、アウェイでニューカッスルです。マンチェスター・ユナイテッドを敵地オールド・トラフォードで破り、昨夜、2人退場者を出したストークに5発快勝した好調チームとは、このタイトな日程のなかで当たりたくなかったでしょう。しかし、ここさえ勝てば、エミレーツでのカーディフ戦を経て、その後は日程に少し余裕ができます。アーセナルの久しぶりのプレミアリーグ制覇にとって、今が最初の試練。2013年のラストゲームをきっちり勝って、「過去4シーズン、年末に首位だったチームがプレミアリーグを勝っている」というデータに乗っかりたいものです。

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