【Arsenal×Cardiff】残り10分、0-0から攻めて攻めて攻めて…勝ちきれるのが、今季のアーセナル!
カーディフは昨年末の12月26日、ボクシングデイにホームでのサウサンプトン戦を0-3で落としたのを受け、マーキィ・マッケイ監督を解任。プレミアリーグ15位と降格ゾーンすれすれではあったものの、マンチェスター・シティに勝ち、マンチェスター・ユナイテッドと引き分けに持ち込むなど、上位勢に善戦しており決して悪くありませんでした。問題は、タン会長とマッケイ監督の確執です。チームカラーを青から赤に変え、ブルーバーズの愛称で親しまれていたクラブをレッドドラゴンにしてしまい、サポーターから憎まれているやっかいな会長にうとまれ、補強したいと発言したことがトリガーとなってあっさりクビ。ホームで勝てず、ゴタゴタが収まらないチームに、首位を走るガナーズが苦戦するはずはないと確信していたのですが…。
前半から、アーセナル苦戦の兆候はありました。この日のラインナップは、トップにポドルスキ、ウォルコットとカソルラ、ウィルシャーが並び、フラミニとアルテタがその後ろを固めます。DFラインでは左SBギブスも欠場で、モンレアルがスタメン。問題は3点で「中央でシンプルなプレイをする選手がいない」「ミドルシュートが少ないので、カーディフDFが前に出てこない」「シュートが不正確」。サニャの好調なクロスが入っても、いつもいるはずのジルーはそこにおらず、ポドルスキはゴール前深くまで入ってきません。
時折、ウィルシャーとカソルラは中を使いますが、彼らはドリブルで入ってくるのでDFを集めてしまい、渋滞のなかで攻撃が行き詰ってしまいます。前半のチャンスは、13分に左からのクロスをスライディングしたウォルコットの一発と、グラウンダーをペナルティエリア外で受けたカソルラ、ウィルシャーの力んだ左足のみ。カーディフにはカウンターからのジョードン・マッチの突破しか術はなく、先制される危険もない代わりに、シュートが入る可能性もありません。
後半になると、左サイドをウィルシャーが突破して、ゴール前にきわどいセンタリングが入るシーンが増えましたが、中の選手が薄くシュートは打てず。大きなピンチはなかったものの、52分にモンレアルが自らのクリアを腕に当てたシーンは、ファールを取られずラッキーでした。この展開で先制されれば、アーセナルは勝ち点3を獲れなかったかもしれません。63分には左の角度のないところからウィルシャーが放ったシュートがポスト。66分、68分にはメルテザッカーが2度にわたってフリーで決定的なヘディングシュートを打ちますが、いずれもボールはゴール左に切れていきます。特段難しくないシュートを外すごとに、アーセナルの焦りが募ります。これを勝てなければ、間違いなくプレミアリーグ首位の座を明け渡すことになります。
残り20分で0-0という展開にしびれを切らしたヴェンゲル監督は、ポドルスキとフラミニを諦め、ベントナー、ロシツキを投入。前に重心をかけ、先制点を狙いますが、相変わらずシュートは枠にいきません。ベントナーの出来は最悪で、中にいてほしいときにサイドにいるわ、縦が空いているのに突破する姿勢をみせずにグズグズ足元でボールをこねるわで、まったく機能していません。正直、このときは「ヴェンゲル監督の必死の采配も空振りに終わったか…」と、ドロー決着を予想していました。人一倍勝利に貪欲なロシツキかアルテタあたりが、狂気のミドルでも決めない限りは何も起こらないだろう、と。
しかし88分、SBのふたりが重かった扉をついにこじ開けました。波状攻撃から左に出たボールをモンレアルが逆サイドにクロス。これに反応したサニャがニアサイドに強烈なヘッド!GKがマーシャルが何とかこれを弾くと、そこに飛び込んできたのは…あれ?ベントナー!
よく「足が折れてでも勝ちたい」などといったりしますが、ベントナーはこのゴールを決めると同時に、足をひねったのか、ヴェルマーレンとチェンジ。いや、いい仕事をしました。結果的に、ヴェンゲル采配大成功です!これで憑き物が落ちたかのようにアーセナルは自由になり、92分にはロシツキが中にいたウィルシャーに高速パスを通し、ウィルシャーの短いスルーパスに抜けたウォルコットがループを決め、2-0。昨季までのアーセナルならドローで終わってた展開のゲームをきっちり勝ち切り、何とかプレミアリーグ首位を守りました。
それにしても、今季のガナーズは勝負強いですね。サニャ、コシールニー、メルテザッカー、ウォルコットは自信にあふれていて、昨季よりもミスが減り、プレイの精度が上がっています。3月のプレミアリーグ上位との連戦までに、どれだけ勝ち点を積めるかが勝負ですね。エジルに大事がなければいいのですが…。
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