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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【MAN.UTD×Cardiff】マタのデビューでわかった、今季の香川真司に足りないもの

プレミアリーグ最下位チームと、本拠地オールド・トラフォードで戦うわけですから、当然負けることなど許されません。問題は、試合の中身です。マンチェスター・ユナイテッドは、カーディフに2-0で勝ちましたが、相変わらず課題は解決していないという印象。今後、プレミアリーグ上位と戦って勝てるかといわれれば、不安だとしか返せません。

この試合の興味は、4点です。「カーディフのスールシャール監督の里帰り」「ファン・ペルシとルーニーの復帰」「マタのデビュー」「マンチェスター・ユナイテッドの脆い守備は改善されたか」。なかでもとりわけ注目度が高かったのは、復帰戦をスタメンで飾ったファン・ペルシと、背番号8をつけたマタのプレイぶりでしょう。結論からいえば、「ファンペルシは期待通り」「マタは予想通りではあるが、期待通りではない」といったところでしょうか。

懐かしいオールド・トラフォードの地元サポーターの声援に、笑顔で手を振るスールシャール監督。いつになく和やかなムードで始まったゲームは、開始まもなくマンチェスター・ユナイテッドが攻勢に入ります。6分、さっそくゴールを決めたのはファン・ペルシ。マタが中盤でボールを受け、左サイドに展開したボールをエヴラ、A.ヤングとつなぎ、ヤングが右足で巻いたクロスをバレンシアが強烈なヘッド。この最初の一撃はバーに阻まれますが、リバウンドをファン・ペルシがさらに頭で合わせ、GKマーシャルが弾いたところを「三度目の正直」でとどめのヘッド。最後まで諦めない執拗なプレイが身を結び、「FCファン・ペルシ」が1-0とリードします。

マンチェスター・ユナイテッドの真ん中と前の距離が開きすぎるという課題は未解決のまま。マタは中盤の低い位置でプレイすることが多く、香川真司同様、なかなか前線に入っていけません。19分、マタが右サイドから出したロングクロスが、ファーサイドからフリーでゴール前に走り込んだA.ヤングの足元に飛びますが、あと一歩及ばず。33分にA.ヤング、エヴラとつないだボールをファン・ペルシが左からクロスにシュートした場面も、ボールは惜しくも枠の外に抜け、追加点は入りません。

カーディフも相変わらず「FCヌーン」で、右サイドMFのヌーンが中に切れ込んでシュートを放つか、縦に突破してセンタリングしたときにはチャンスになりますが、たびたび危ないボールロストをするマンチェスター・ユナイテッドの綻びを突くことができません。前半は1-0。後半に入ってもしばらくはゲームが動く気配がありません。

膠着した状況が動き始めたのは、54分にカーディフの18歳MF、デクラン・ジョンが左サイドを突破し、あわやというラストパスをフレイザー・キャンベルに送った後でした。マンチェスター勢に無類の強さを発揮するキャンベルは、ゴールに近づきすぎてこれを触ることができず、その直後、マンチェスター・ユナイテッドが反撃に入ります。57分に右サイドでバレンシアがラファエウにスルーパスを通し、ラファエウが折り返したチャンスは中央に合わずにカーディフDFがカット。しかし直後の59分、この日好調だったA.ヤングが左サイドから中へドリブルで侵入し、右サイドネットに強烈なミドル!これで2-0となり、マンチェスター・ユナイテッドが勝利を揺るぎなきものにしました。

この後も、終始マンチェスター・ユナイテッドペース。72分、バレンシアがドリブルで右サイドを突進し、中に出せないと見るやすかさず放った右足シュートがGKマーシャルの右手を経て左ポストを直撃。85分過ぎから途中出場組のヤヌザイ、ルーニーがそれぞれポストをかすめる惜しいシュートでゴールを脅かしますが、3点めは奪えずじまい。「負ける気はしないけど物足りない」ゲームは、それでもホームチームの完勝で静かに幕を閉じました。

「ゴール前に入れない」「シュートが少ない」「いいタイミングでパスがもらえないので、ボールを受けてから次のプレイまで時間がかかる」「それでも時折いいクロスを入れてチャンスを創る」…ここまでは、マタも香川真司も大して変わりません。テクニック面でいえば、距離の長いクロスと遠めからのシュートはマタのほうがいいかもしれませんが、それもチームに入って最初の試合とあっては、大きなアドバンテージではありませんでした。しかし、これまでの香川真司と今日のマタには、ひとつ顕著な違いがありました。今季のプレミアリーグでは後ろと横へのパスが目立つ香川真司に対して、マタは前への意識が強く、「パスアンドゴーを徹底し、出したら前へ走る」を繰り返していました。傍からみてもその積極的な姿勢は印象的で、ましてや闘志や戦う姿勢を体で表現する選手を好むモイーズ監督の眼には、非常に頼もしく映ったことでしょう。

ただでさえ厳しいスタメン争奪戦ですが、60億円もかけたら早々に元をとりたくなるのが人情で、しばらくはマタがファーストチョイス。ヤヌザイやバレンシア、A.ヤングが悪かったときだけ、後半途中から香川真司が使われるという図式になると思われます。

ヌーン、ジョードン・マッチ、フレイザー・キャンベル、キム・ボギョンの単発の攻撃か、セットプレイのハドソンしかない相手に対して、いい位置からシュートを打たせ過ぎるDF陣には不安は残りますが、ファン・ぺルシとルーニーの復帰でやっと点が獲れる態勢が整いました。まずはストーク、フラム戦を連勝してコンディションを上げ、2月中旬のアーセナル戦は、プレミアリーグのディフェンディングチャンピオンの意地をみせて、ダブルを決めさせていただくとしましょう。神様仏様ペルシ様(もちろんルーニー様も)、何とぞよろしくお願いいたします。

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“【MAN.UTD×Cardiff】マタのデビューでわかった、今季の香川真司に足りないもの” への2件のフィードバック

  1. より:

    時々拝見させて頂いています

    パスアンドゴーに関しては香川もれまでも仕掛け、だがワンツーが帰ってこなく落胆するという姿を何度も見てきていますが。
    香川がパスアンドゴーをしない消極的というのは間違いだと思います。
    先のカップ戦でも左サイドパスアンドゴーかけていましたが
    案の定帰ってきませんでした。かなりいいタイミングで帰ってくれば絶好機だったのに

  2. makoto より:

    あ さん
    10月~11月に、チャンピオンズリーグを中心に好プレイを見せ、調子を上げてきている時期は、オフザボールの動きがよく、前を志向していたのですが、12月から1月はその動きが大きく減り、ボール関与時のバックパス比率が増えています。

    現地マスコミの評価で多いのは「継続性・一貫性にかける」というもの。「コンスタントに、”いいとき”を再現できない」ということです。「味方からパスが出てこないからやめた」は、結局、観ている側からすると「やってない」のと同じこと。香川真司のプレイについて、「周囲がパスをくれない」という他責にしてしまうと、事の本質を見誤ります。

    マタのデビュー戦も、ファン・ペルシなど一部、気にかけてくれて意識的にパスを戻していたプレイヤーがいましたが、基本的に「ワンツーが帰ってこない」「ほしいときに出てこない」状況は香川真司と変わりませんでした(ちなみに、」デビュー戦で気を遣われていたということでいえば、昨季のプレミアリーグ開幕戦から数試合で、香川真司もそうしてもらっていました)。

    要は「そういうときに、どう対応するのか」です。繰り返しますが、「12月以降の香川真司は、総論としては前への志向が減り、より消極的」になっています。タッチ集等をみれば、今季最高の出来だったレヴァークーゼン戦等と比べて、動きの質が悪いのは明らかです。

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