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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Liverpool×Arsenal】開始1分のゴールが合図!リヴァプール、怒涛のカウンターでアーセナルから5発奪取!

こんな結末を、誰が予想できたでしょうか。どんなに楽天的なレッズサポーターでも、アーセナルのここまでの崩壊は想像できなかったでしょう。

今週のプレミアリーグでは、奇しくも「ノースロンドンVSマージーサイド」の対決が、片やロンドン、片やリヴァプ―ルで行われます。先に対決するのは、アンフィールドで開催されるリヴァプールVSアーセナル。11月のエミレーツでは、アーセナルがリヴァプールに2-0で完勝。このところ、リヴァプールはヴェンゲル監督のチームを苦手としており、過去6年のプレミアリーグは3分け3敗。本拠地アンフィールドで最後に勝利したのは、2006年まで遡ります。とはいえ、このゲームに賭けるものが大きいのはホームチームのほうでしょう。リヴァプールは、負ければ勝ち点11差となり、プレミアリーグ制覇はほぼ絶望です。ギブス、ロシツキ、ラムジー以外は前回と同じメンバーで攻めてくるアーセナルを抑え、スアレスやスタリッジが歓喜するシーンは訪れるのでしょうか。

勝負の分かれ目は開始1分も経たずに訪れ、貴重な先制ゴールを奪ったリヴァプールは、わずか20分で勝利を完全に決めてしまいました。ジェラードの左サイドからのFKを、体全体で押し込むようなボレーでねじ込んだのはシュクルテル。アーセナルは、彼らのセットプレイの強さはわかっていたはずですが、誰もコースに入れずあっけなく先制を許してしまいます。これで火がついたのは、リヴァプールです。前線から、アーセナルのDFラインや中盤の選手に激しいフォアチェックをかけ、ハーフライン付近で次々とボールを奪取。ショートカウンターがおもしろいように決まります。

4分、スタリッジが左足シュート。9分には、スタリッジと右SBフラナガンがふたりでモンレアルを襲い、スタリッジのラストパスでフリーになったフラナガンの右足シュートは何とかGKシュチェスニーがブロック。しかしこのCKを、シュクルテルが戻りながらのヘッドでゴール左隅に突き刺し、2-0。11分にはセンターサークル付近からコウチーニョが右のスアレスへ通すと、スアレスがダイレクトで絶品ラストパス!ところがこれは、どフリーのスタリッジが枠を外して、3点めはならず。13分、CKのこぼれをスアレスが強烈なミドル!ポストを直撃したボールは、コロ・トゥレの足元へ。ガラ空きのゴールに流すだけのシュートを、背番号4が焦ってしまい、シュートはゴール右脇を抜けていきます。リヴァプールのフィニッシュが正確性を欠いたため、何とか2-0で済んでいますが、ここまでで5-0でも決しておかしくない、完全なるワンサイド。チーム全体を落ち着かせることができないアーセナルは、何かに魅入られたように勝負を急いでパスミスを連発し、まったく状況を変えられません。

そして、16分と19分に、完全に狙われていたエジルがドリブルをさらわれ、あっという間に4-0です。16分のショートカウンターは、ヘンダーソンのパスカットから。右サイドを突破したスアレスが、逆サイドに完璧なプラスのグラウンダーを通し、がら空きになっていた左サイドから現われたスターリングがインサイドでゴール。19分にもエジルから奪取したボールをコウチーニョがスタリッジに送ると、裏を突かれたメルテザッカーは戻れず、飛び出したGKの動きを見ながら冷静にスタリッジがゴールを陥れます。

前半19分過ぎ。予想だにしなかった驚愕の4-0。

これだけ守備を崩された最大の原因は、アーセナルのボールの奪われ方が悪かったこと。開始早々にリードを奪われたアーセナルのセンターMF、アルテタとウィルシャーが前がかりになり過ぎて、エジルやカソルラ、チェンバレンと横並びになってしまったことが、崩壊の予兆でした。リヴァプールは、ハーフライン付近にいるアーセナルMFを確実に狙っており、エジルやチェンバレンはボールを戻そうにも、いつもいてくれるアルテタが後ろにいません。この状態でカットされると、中盤のふたりは戻りきれず、縦パス一発でスアレスやスタリッジ、スターリングとDFの駆けっこに持ち込まれます。いちばんやられたのは、守備力に不安があるモンレアルと、瞬発力に欠けるメルテザッカー。プレミアリーグ上位クラブといえども、リヴァプールの快速FWたちと1対1の状況をあれだけ作られれば、そのすべてを抑えきるのは難しいでしょう。

後半、52分にまたもやメルテザッカーが裏を突かれ、スターリングが完全に抜け出して5点めを決めると、アーセナルも68分にジェラードがチェンバレンを倒して(先日のダニー・ローズがレッドカードなら、これも赤でしょう)得たPKを、アルテタが決めて5-1。後半の1-1というスコアのほうが、現在の両チームの力量をより正確に反映していると思います。61分にはヴェンゲル監督は勝負を見切り、マンチェスター・ユナイテッド戦に向けてエジル、ジルーを休ませ、SBギブスをプレイさせる3枚替え。対するロジャースは、今季初出場の若手ウインガー、アイビーとイアゴ・アスパスを試す余裕の交代。85分にスターリングがこの日何度めかのGKと1対1を外し、ハットトリックを逃すと、ゲームはやっとタイムアップへと収束します。リヴァプール、文句なし。プレミアリーグ制覇に可能性を残す、望外の大勝でした。

それにしても凄かったのは、前半、リヴァプールの前の6人が、一本たりともラストパスをミスしなかったことですね。ヘンダーソンのパスカット、ジェラードのプレースキック、コウチーニョの縦パスとサイドへの展開、スアレスのグラウンダー、スターリングとスタリッジの抜け出し。いや、凄い。凄かった。こんな月並みな言葉しか出てこないほど、リヴァプールは完ぺきでした。

ひとつだけ、苦言を呈したいのは、Jスポーツ解説のK氏です。あれだけ素晴らしい攻撃を見せられながら、彼の口をついてでるのは、アーセナルをくさす言葉ばかり。「フラミニの不在が痛い」「アルテタは守備ができない」といってましたが、ボール奪取力とヨミの精度が高く、ボールを散らせるアルテタが、ラムジーやウィルシャーと組んで快勝した過去のゲームをちゃんと観ていたのでしょうか。アーセナルがパニックに陥り、守備のバランスが悪かったのは事実ですが、少しぐらい、リヴァプール攻撃陣の素晴らしさを褒めることはできないのでしょうか。あまりにネガティブで的を得ず、だらだらした解説を聞いていると、ただでさえストレスがたまっているであろうグーナーも余計にしんどいし、最高のプレイを見せてもらっているのにいちいち「アーセナルのミス」と水を差されているレッズサポーターのテンションも上がりません。さすがに昨夜は「もっと勉強していただきたい」と思いました。

ともあれ、リヴァプールはプレミアリーグ首位争いに残り、アーセナルは次戦に尾を引きかねない大敗です。今のアーセナルに必要なのは、とにかく忘れることですね。次戦のマンチェスター・ユナイテッド戦で、本拠地エミレーツで落ち着いたゲームが出来れば、直後のFAカップが再度、リヴァプール戦。リベンジする機会がすぐにやってきます。おそらくレッズは次戦もフラム相手に大量得点を挙げ、波に乗ってエミレーツにやってくると思われますが、さすがにロンドンで悪夢のようなゲームを繰り返すことはないでしょう。

今まで観たことのないような満面の笑みで、ガッツポーズを繰り返すブレンダン・ロジャースと、あまりの惨劇にそわそわする姿すら見せなかったアーセン・ヴェンゲルの非情なコントラスト。勝負の怖さ、メンタルの重要さを思い知った一戦でした。いや、とにかく凄かった…。

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“【Liverpool×Arsenal】開始1分のゴールが合図!リヴァプール、怒涛のカウンターでアーセナルから5発奪取!” への13件のフィードバック

  1. コウチ より:

    勝った! 勝ったんだ!
    夢じゃなかったんですねえ(笑)
    アンフィールドの魔法恐れいったか! これからアンフィールドに来る上位陣達に思い知らせてやりましたわ
    スターリングが完全に覚醒しているのでコノプリャンカの事なんて忘れました(笑)
    このままトップ4争いだけでなく首位目指して頑張って欲しいです!

  2. マタマタ より:

    いい意味で期待を裏切ってもらえて良かったです。昨日は組織的な守備が、エバートン戦よりもよくなっていましたね。スターリングとコウチが空いてるスペースを見つけて、ちゃんとうめるようになりました。
    嬉しい成長です。だから、昨日は組織の勝利でした。

    —–
    リバプール強し!
    エバートン戦もアーセナル戦も誰も予想してない結果になりましたね。
    確か上位陣とはほとんどホームでしたよね?
    これはまさかの後半戦無敗もなくはない・・・かも(笑)
     
    ・・・リバプールが強いのは良いんですが、ユナイテッドが四位以内に入れる気がしません(涙)
    マタ効果に期待したいです・・・
    OTでは勝てますよね!?
    最近、OTは確かに「夢の劇場」になっている。だがいつかは覚めなければならない。みたいな事言われてショックでした

  3. ぽっぽ より:

    先日はどうもありがとうございました!
    おかげさまでこの試合を見ることができました!
    リバプールの快勝を目撃できてよかったです!
    どうもありがとうございました。

  4. チェルシー より:

    更新お疲れさまです

    リバプールの迫力ある攻撃は凄かったです
    中盤のプレスが見事に効いてましたね

    アーセナルはセットプレーは置いといてもその後ちょっとバタバタしすぎです(^^;
    序盤の失点で焦りすぎてパスミスしてはことごとくカウンターくらってと試合を落ち着かせられなかったのが痛いですね

    これで更にプレミアも混戦になってきて本当にどうなるかわかりませんね

  5. トーレス下さい。あ、赤い方ね より:

    不覚にも涙が・・笑
    私は10年の観戦歴で二度、「今この時点でリバポは世界最強のチームだ」と確信できる瞬間がありました。05年CL決勝での7分間と09年CLマドリー戦の前半30分間です。
    この試合の前半20分間はそれに並ぶ、ここ5年間で最高のリバポでした。

    そしてやはり活路を開いたのはセットプレーでしたね。プレス、カウンターがあそこまで効果的だったのもセットプレーの往復ビンタで自信を奪っていたからでしょう。全てはセット2発。これしかないパターンで勝ったという試合だったと思います。

  6. ウィルシェア より:

    更新お疲れさまです

    なにをやっているんでしょうかね……
    試合結果は仕方がないとして最近のエジルのプレーがほんとに気になります……流れを変えるどころかチームのストッパーになってるよーな気がしますね

  7. makoto より:

    チェルシーさん リヴァプールサポ―ターのみなさん>
    ガナーズMFへのプレッシャー、囲い込み方がうまく、いい形でボールを奪取できたのが勝因ですね。それにしても、ラストパスの精度の高さは神がかってましたね。このサッカーをやられたら、マンチェスターもウエストロンドンも「まいりました」でしょう。

  8. makoto より:

    マタマタさん>
    4位は相手のコケ待ちなので、絶望的ですね。スウォンジーやエヴァートンにホームで負けているぐらいの状態で、「オールド・トラフォードだから勝てる」「スアレスやスタリッジを止められる」とはさすがにいえません。死ぬ気で応援しますが、シーズンが終わったときには、リヴァプールとの勝ち点差は今より開いているでしょうね。

  9. makoto より:

    ウィルシェアさん>
    エジルは、解説者の方々は「疲れ」といいますが、そういう問題ではないですね。「間を取り持ってくれるロシツキ不在だと、周囲との連係がうまく取れない」ように見えます。

  10. 通りぐーなーです。 より:

    すごく残念な結果でした…泣
    ネガティブな事に目が行きがちですが、僕はジルーさんが1人頑張っていたこと、そしてロシツキーさんの間受けの技術、この2つはポジティブにとらえる事が出来ると思うんですが、どうでしょう?!
    というかええとこ探さんとやっていけませぬ…

    エジルは疲れがまったくないとは言えないと思うんですが、そもそも攻守の切り替えが少し遅いのかなーと感じます。

    次のユナイテッド戦、バイエルン戦までに気持ちを切り替えてもらって、勝つぞおおおお

  11. makoto より:

    通りぐーなーです。さん>
    ジルー、ロシツキのお話、賛成です。エジルが遅いのは、彼が持った時に、もらいにいく人が少ないからではないかと思います。

  12. コウチ より:

    完全に遅レスですけどjスポーツの解説なんなんでしょうね
    聞いてて楽しくないし、ためにもならない
    ただただイライラするだけでした
    勉強不足よりもうやめてほしいです
    解説の仕事わかってないんじゃないですかね 快勝したから良いものの負けてこんなの聞かされたらぶちギレると思いました(笑)

  13. makoto より:

    コウチさん>
    そうなんです。グーナーのみなさんの心中、お察しします。

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