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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Everton×Arsenal】アーセナル、4度めの失敗!ライバルに完敗で、プレミアリーグ4位は風前の灯…!?

2分にレオン・オスマンがスローインから思い切りのいいミドルを放ったと思えば、直後にポドルスキがドリブルから左足のシュートをクロスへ。プレミアリーグ4位への優先チケットを奪い合う重要な試合だけに、両者とも気合十分です。エヴァートンがいつもどおりの速いパスワークを駆使して攻める一方、アーセナルは縦を急ぎ過ぎ、相手のペースにつき合っている感があります。6分にも、レイトン・ベインズからフリーで前線にいたネイスミスに一発でパスが入り、アーセナルが追い込まれますが、逆サイドに流れたボールをコールマンが中に入れると、これはサニャがヘッドでクリア。レオン・オスマンは、この後サニャと交錯して出血を伴うケガを負い、10分という早い時間にロス・バークリーとの交代を強いられます。

10分、フラミニがミドルシュートを打ちますが、アーセナルの攻撃は単発。中盤での攻防を制するエヴァートンの怒涛の攻撃が止まりません。アルテタやロシツキは、どうやってチームを落ち着かせるのでしょうか。ベンチに戻ってきたラムジーを使うのは、セーフティリードを奪ってからにしたいものです。しかし、アーセナルが自らのペースをつかむより先に、エヴァートンのゴールが決まります。

14分、左サイドにいたレイトン・ベインズから、モンレアルを一瞬かわしたルカクへ絶妙のアーリークロス。シュートはGKシュチェスニーが体に当てますが、フォローしたネイスミスの2発めは、誰も触れませんでした。1-0となっても、エヴァートンの優位は変わりません。レイトン・ベインズとコールマン。両SBの攻め上がりに対し、サニャとモンレアルは追いかけるのでせいいっぱいです。20分、ロス・バークリーのチャンスメイクから、フラミニのあわや2戦連続オウンゴールというキックミスをシュチェスニーが止めた直後、ガナーズに最初の決定機が訪れます。中盤でのダイレクトパスからサニャが右サイドをオーバーラップ。ニアに出たグラウンダーに、ジルーが一瞬先に反応しますが、シュートがうまく当たらずボールは左にそれていきます。

アーセナルの中盤が厳しいプレッシャーをかけられ、ショートカウンターを喰らうという状況は、大敗したリヴァプール戦、チェルシー戦とまるで同じ。さすがはロベルト・マルティネス。アーセナルのウィークポイントは研究済みといわんばかりの見事な戦術です。とりわけ凄まじいのがレイトン・ベインズ!28分からの波状攻撃は、ベインズがロス・バークリーを一瞬にしてフリーにした縦パスからでした。ロス・バークリー、ネイスミスのシュートは、ガナーズの選手がペナルティエリアに5~6人入って必死にブロック。30分のミララスの右足も、シュチェスニーが何とかセーブ。組織的な守備は、そこにはありません。

そして33分、エヴァートンに貴重な2点めです。中盤で奪ったボールを、すかさずミララスが右でフリーのルカクにつなぐと、ルカクはDF3人をまったく相手にせず次々とかわし、最後は左足で強烈なシュート!この獲られ方も、いつかきた道。アーセナルは、このまま手もなく敗れてしまうのでしょうか。39分、ジルーがゴール前に飛び込んだ後のこぼれ球をポドルスキが強烈に叩きますが、このシュートはGKハワードがセーブ。前半、2-0。パスミスだらけで余裕がないアーセナルは、何かを明確に変えないと追いつくことすらできないでしょう。

後半、アーセナルが攻勢に転じますが、焦りからくるパスやドリブルの不正確さは改善せず、エヴァートンDF陣をあわてさせるような崩しはありません。52分にミララスの持ち過ぎをついて、ジルーがGKハワードと1対1の態勢になりますが、足元に入られてシュートコースがなく、ゴールならず。ヴェンゲル監督は、なぜチェンバレンとラムジーの投入を66分まで引っ張ったのでしょうか。前半のカソルラ、アルテタ、ジルーの出来の悪さを考えれば、サニャの攻め上がりが時折チャンスになっていた右サイド攻略を狙いとして、チェンバレンは後半頭からでもよかったぐらいだと思います。

61分、サニャからボールを奪ったミララスがそのままドリブルで攻め上がり、縦に走ったネイスミスにラストパス。ネイスミスがシュチェスニーと絡んでボールがこぼれたところを、ミララスと競ったアルテタがゴールに蹴り込んでしまい、ついに3-0。ここからラムジーとチェンバレンが入っても、セーフティに試合を進めるモードにギアチェンジしたエヴァートンに脅威を感じさせることはできません。

残り30分を切ってからのアーセナルのチャンスは、チェンバレンが放ったバー直撃のミドルくらい。左サイドを再三攻略したカソルラも、フィニッシュにつなげる最後のパスが正確さを欠いて、シュートシーンすら創れません。アーセナル、なすすべなし。両者の差は、「自分たちのサッカーを信じ切れているかどうか」ではないでしょうか。結局エヴァートンがアーセナルを下し、プレミアリーグ6連勝。4試合勝ちがないアーセナルより1試合消化が少ない状態で、勝ち点差1まで詰め寄りました。

ヴェルマーレンはポジションが悪く、モンレアルは1対1で弱すぎ、コシールニーとギブスの不在はそのままアーセナルDF陣の大きな穴となってしまいました。アルテタ、フラミニのセンターMFコンビは、マンチェスター・シティ、リヴァプール、チェルシー戦で犯し続けたチームのミスを、今回もただトレースしただけでした。過去の失敗を分析して、弱点を改善できないのはヴェンゲル監督の責任です。ガナーズは、このまま沈んで16シーズン続けてきたプレミアリーグ4位以上の座を手離し、チャンピオンズリーグへのチケットをマルティネスのチームに譲ってしまうのでしょうか。そうなればおそらく、プレミアリーグでいちばんキャリアが長いフランス人監督は、チームを離れるという決断をするでしょう。

最後にプレミアリーグ制覇を果たしたのは2003-04シーズン。このところ、優勝争いに加わっていなかったアーセナルが、久しぶりにプレミアリーグ優勝に近づいたシーズンに、4位すら厳しくなるとは想像もしませんでした。それでもエヴァートンは、マンチェスターの2チームとの試合を残しています。ガナーズにできることは、いま一度、気持ちを入れ直してプレミアリーグ下位チームに取りこぼさないことだけです。残り5試合、待っているのは天国か、それとも…。

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“【Everton×Arsenal】アーセナル、4度めの失敗!ライバルに完敗で、プレミアリーグ4位は風前の灯…!?” への6件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    更新お疲れ様です。
    私はKOPですが、マージーサイドの両チームを応援しています。
    あらゆるところで、アーセナルの不甲斐なさについて言及されていましたが、今日ぐらいは、エバートンを褒めてもらいたいものです。
    それにしても、中盤でタメを作りながら、両SBから早い崩しの展開は、惚れ惚れしました。さらに、守備でのポジショニングも適切であり、チームでの完成度は、プレミア一番ですね。
    素晴らしいマルティネス。

  2. makoto より:

    リバサポさん>
    エヴァートンは素晴らしかったと思いますよ。本文中にも書きましたが、まずは前半のレイトン・ベインズ。彼以外では、ミララスと、ロス・バークリー、ルカクでしょうか。ただし、アーセナルが、今季最悪と言っていいほどパス、トラップ、ドリブルのミスが多かったのも事実です。両チームともいい状態で、エヴァートンが力勝ちすれば、明るくリスペクトするだけでよかったのですが…。

  3. londres nord より:

    余りの不甲斐なさに、呆れてしまいました。過去の失敗の修正がなされていない。3点で収まってよかったです。
    たら・ればを云えば、ナイスミスの序盤の足の裏を見せてアルテタへ行ったプレーに何のカードも出なかったのは?でした。
    守備の決まり事がない。2列目の補強ばかりして、3列目、4列目が、1列目が疎か。その2列目もローテーションせず主力酷使で、壊してしまいました。4位&FA杯が獲れなかったら、ベンゲルは潔く辞めるでしょう。10年で1000%上がったアーセナルの株も、CLを逃したらダウントレンド入りです。
    ファン・ハールがスパーズなら、ガナーズはマルティネスと云いたいですが、CL出場なら離れないでしょうから、デブール&ベルカンプがいいと思います。
    ユナイテッド・サポーターが可哀そうと思っていたら、グーナーも可哀そうなことになりました。

  4. せお より:

    更新おつかれさまです。

    ベルカンプは辞めて欲しいです。ミランみたいになるとしか思えない…
    後任はマルティネスか、それかラウドルップなんてのもアリかなぁと。

  5. makoto より:

    デブール&ベルカンプは、監督はデブールで、ベルカンプはそのアシスタントという意味ですが。

    —–
    londres nordさん せおさん>
    一番の衝撃は、「リヴァプール、エヴァートン、チェルシーの”アーセナル攻略戦術”に、ヴェンゲルさんが対抗策を持っていない」のが露呈したことですね。プレミアリーグの上位相手に今後も苦戦が続き、打開策がないということであれば、監督交代もやむなしだと思います。個人的には、2000年代前半のヴェンゲルサッカーは素晴らしく、欧州制覇も十分可能と思っていたので、ヴェンゲル監督にはもうひと花咲かせてほしかったのですが。

  6. makoto より:

    londres nordさん>
    監督は経験者をもってくるとして、ベルカンプが何らかの形でスタッフ入りする、というのはいい影響がありそうですね。何せ、「アーセナルではナンバーワンを争うレジェンド」ですから。

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