シンガポールでプレミアリーグ観戦 (3)バークレイズアジアトロフィー「公開練習」を見に行ってみた
筋金入りグーナーの本ブログ特派員が世界を駆け巡る「プレミアリーグ現地観戦記」、シンガポールで開催されている
「バークレイズアジアトロフィー」レポート第3弾。今回は、7月15日、18日の試合に先立って行われた14日の公開練習の模様です。どうぞ!
チームの練習を見学できる「公開練習」は、プレシーズンツアーの楽しみのひとつです。2013年にアーセナルがジャパンツアーに来たときは、名古屋と浦和で1試合ずつ行いましたが、その両方で前日に公開練習を実施。各日1万人限定という縛りはあったものの、当日並べば無料で見学することができました(本当に1万人で切っていたのかどうかも疑問…!)。ところが今回のシンガポールでは、公開練習の見学情報がどうにも見当たらず、あっても「抽選で○名様をご招待」というようなもの。つてを頼って何とか入手したチケットにもINVITATIONの文字が入っていて、どうやら本当に限定公開だったようです。ちなみにこういうときに威力を発揮するのがファンクラブ。日本の公式ファンクラブ「Arsenal Japan」では、事前に公開練習見学を申し込むことができました。ただし締め切りはかなり前。筆者はそれで間に合わなかったというわけです。
さて、公開練習は17時30分スタートのアーセナルの練習から始まって、エヴァートン、ストークシティの順に各1時間ずつ行われました。アーセナルの練習は、
おなじみの鳥かご練習(選手が数人円になり、真ん中に一人いる選手にボールを取られないようにパスを回す)とミニゲーム、シュート&セーブ練習。普段のプレミアリーグの試合前のウォーミングアップだと、スタメン組と控え組に分かれて「鳥かご」を行ったりするのですが、こうした普段の練習ではどう組分けしているのか、若干気になります。
コシェルニとコクラン、ドビュシーのフランス勢が同じ組にいたり、若者同士が集まっていたりするところを見ると、わりと親しい者同士だったりするのでしょうか。そして気になるのはピッチの状態。アーセナルがトップで練習を始めたのにもかかわらず、「鳥かご」をやっている足元が早くも薄茶けてきているのは、よほど芝が弱いのか?と気になってしまいました。
非常に自主的な印象のあるアーセナルの練習(コーチは指示をだすものの
ヴェンゲルはほぼ見守るだけである意味放任……まあ、あくまで「公開」練習ですからね)に対し、続くエヴァートンの練習では、監督のロベルト・マルティネスさん自ら選手の中に入っていき、練習のメニューや狙いについて
かなり熱くレクチャーをしている様子。練習内容も、マーカーを置いてラインの両側からダッシュ、マネキンを置いてセットプレーからの攻守の練習、最後はミニゲームとバリエーションに富んだ内容でした。
ちなみにこのロベルト・マルティネス監督、アーセナルのヴェンゲル監督、ストークシティのヒューズ監督は、普段のプレミアリーグの試合では3人ともスーツ姿。写真のようなトレシャツ、短パン姿を見るのはちょっと新鮮です。なお、この大会では3者とも、試合中もこうしたスタイルのまま。日本でのヴェンゲル監督もそうでしたが、要はアジアは暑いのかもしれませんね。
さて、3チームの練習の中で最もおもしろいなと思ったのはストークの練習です。最初は、ポールを立ててジグザグドリブル。次は
ポールの間隔でリフティングしながら進み、端まで行ったらグラウンダーのパスで次の選手にボールを戻す動き。さらには、リフティングで進むのは同じだがロブでボールを戻すなど、足技練習のような内容をみっちりやりこんでいました。
さらにゴール前に移ると、
サイドからワンツー(左図1、2)を経てクロスを上げ(3)、そこに3人が走り込んで誰かが必ずシュートを打つ(4)、入らなかったら後ろからもう一度コーチが速いボールを蹴り込み、そのボールを使ってもう一度シュート(5)という一連の動きを何度も繰り返し練習していました。
何しろ、練習開始時にピッチに現れた瞬間、それまでのアーセナルやエヴァートンの選手たちと比べて明らかに「デカいな!」と感じたストークの大男たち。すごいスピードでこの動きを繰り返す様子は迫力満点で、ただ見ているだけでもおもしろかったのですが、よくよく考えるとこれは、元マンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督が口を酸っぱくして言っていたという「とにかくゴール前に3人詰めろ」を地で行く練習なんですね。ひょっとするとマンチェスター・ユナイテッド卒業生であるマーク・ヒューズならではのメニューなのかもしれません。
こうした公開練習での練習内容というのは、キャンプ先にも見学に行く(そしてそれを許されている)ようなレジェンドサポの目から見ても
「なかなか見られない内容」と、そういうレジェンドサポご本人に聞いたことがあります。プレミアリーグ開催期間中は、試合を追いかけることしかできず、目にする機会がない貴重な練習風景。アーセナル、エヴァートン、ストークともそれぞれに、ファンとしては、こういった
練習を見ること自体が十分魅力的なのです。
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