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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【MWN.CITY×Bournemouth】5ゴール圧勝のマンチェスター・シティが見せた強さと脆さ

ヴェンゲル監督とファン・ハール監督にとっては、今季こそがプレミアリーグ制覇を狙える千載一遇のチャンスなのかもしれません。ディフェンディングチャンピオンのチェルシーがまさかの周回遅れ。ライバルのマンチェスター・シティは強いものの発展途上で、噂のペップ・グアルディオラが本当に来てしまえば、次のシーズンには手の届かないところに飛んでいってしまう可能性大です。今までのマン・シティなら、アグエロ、ダヴィド・シルヴァ、コンパニと四天王のうち3枚を欠いた試合は低調なパフォーマンスで終わることが多く、気前よく勝ち点を落としてくれていました。しかし、今季は違います。彼らには昨季プレミアリーグよりも確実にスケールアップしたフェルナンジーニョがおり、アグエロの不在はボニーとスターリングで蓋をし、ダヴィド・シルヴァに求めたいことはデブライネが涼しい顔をしてやってのけるのです。個々の能力の足し算でいえば、マンチェスター・シティを上回るのはスペインの2強ぐらいではないでしょうか。

ところが…戦術的なクオリティはまだまだ高いとはいえず、今後の進化の具合によってはファン・ハール監督やクロップ監督のチームにも及ばなくなるかもしれません。プレミアリーグ第9節のボーンマス戦は、彼らの凄さと粗さを両方を見た試合でした。先制は、キックオフからわずか7分。フェルナンジーニョが右サイドのサバレタに通したロングフィードが絶品でした。右SBがヘッドで中に折り返すと、ボニーがタッチしたボールがスターリングの足元に流れてゴール。その4分後に、あっさり2点めが決まります。左SBに入っていたサニャのクロスをGKフェデリチが飛び出しながらファンブルしてしまい、奪ったボニーが左足で流し込みます。残り80分の興味は、どちらが勝つかではなく、ボーンマスが何点で食い止めるかになってしまいました。

3点めは、まさに個人力。ブンデスリーガのアシスト王の称号を引っさげてやってきたデブライネは、長いスルーパスとシュートの精度ならダヴィド・シルヴァより上でしょう。29分、自陣でのボール奪取の後、左を走るスターリングに出したスルーパスは、ため息が出るくらい美しいボールでした。スターリングは、キックフェイントを2回かましてDFをかわしながら中に入り、GKの脇を抜くシュートを確実に決めました。得点シーンは、マンチェスター・シティが最近獲得してきた選手たちが、いかに素晴らしい能力の持ち主かを物語るものばかりでした。

一方で、守備では信じられない粗さを見せてしまいます。21分にグレン・マーレーに決められたシーンは、自陣でボールロストした直後とはいえ、セントラルMFのヤヤ・トゥレとフェルナンジーニョが誰もチェックしていない状態で棒立ちとなり、間にパスを通されてオカネがフリー。3対5で数的優位だった関係は一発で2対2、マンガラはマーレーのシュートに届かず、ジョー・ハートはニアを抜かれます。登場人物のなかに、適切なポジションを取っていた選手がひとりもいない失点は、チャンピオンズリーグを勝ちたいチームが絶対にやってはいけない守備の見本でした。ボールを奪われた直後こそが、最大のピンチでありチャンスでもあるとわかっているグアルディオラ、クロップ、ガルシアといった面々なら、いちばん顔を真っ赤にして激怒するプレイでしょう。2013-14シーズン、プレミアリーグで20ゴールを決めた全盛期のヤヤ・トゥレが世界一といわれなかったのは、本人が以前もらしていた不当な評価ではなく、攻守の切り替えにおける緊張感のなさがどうしても気になってしまうからだと思われます。

話をボーンマスとの前半戦に戻しましょう。デブライネの強烈な2本のミドルは、GKフェデリチが汚名返上とばかりに見事にセーブ。とりわけ中に持ち込んでカーブをかけた46分の2本めは、入っていてもおかしくない質の高いシュートでした。このまま終わりたかったアウェイチームでしたが、48分に4点めを喰らってしまいます。このゴールの見どころは、シュートのこぼれ球を拾ってGKの股間を抜いたスターリングよりも、ジョー・ハートのキックに反応してGKまで抜いたのに、時間をかけたために守備に戻られシュートをフェデリチに当てたヘスス・ナバスのほうでした。それにしても、ナバスです。彼が絶好機を外した本数と、アグエロのゴール数はどちらが多いのかと数えたくなるくらい、クロスが素晴らしいサイドアタッカーはシュートが決まりません。背番号15のおかげでハットトリック達成となったスターリングは、ディナーをごちそうするぐらいのことはしてもいいのではないでしょうか。

56分、ヘスス・ナバスからの絶好のグラウンダーをGKの正面に蹴ってしまったボニーは、試合終了2分前になって、ようやく納得のいくゴールを決めました。やはりこれもヘスス・ナバスのボール。DFを背負ってトラップし、反転して素早く放った左足は、ストライカーらしい一発でした。マン・シティは、守備にまわると危なっかしい陣形になることが多く、ジョー・ハートのゴールキックを自陣で競り負けただけでマーレーにフリーでシュートを許したシーンは背筋が凍りましたが、攻撃の迫力はプレミアリーグNo.1。スターリングには後半も2回の決定機があり、7-2でもおかしくない試合でした。アーセナルとマンチェスター・ユナイテッドの経営陣のみなさん、まだまだ明るくポカをしてくれる今季がラストチャンスかもしれませんよ。来季以降勝とうと思ったら、まずはペップに電話して…。

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“【MWN.CITY×Bournemouth】5ゴール圧勝のマンチェスター・シティが見せた強さと脆さ” への4件のフィードバック

  1. 一平くん より:

    毎度シティの記事を掲載してくださり、ありがとうございます。試合後の楽しみはこのブログの更新になりつつあります。

    大勝とはいえ相手はボーンマス..
    次のセビージャ戦、ユナイテッド戦で真価が問われそうですね。

  2. makoto より:

    一平くん さん>
    スターリング、ボニー、デブライネは素晴らしかったのですが、守備がやや不安でした。セビージャ戦は、欧州での立ち位置がうかがえるおもしろい試合ですね。

  3. 汗かきスター より:

    更新お疲れ様でした。
    仰った通りディフェンスは、CLで勝ち抜くレベルでは無く、ヨーロッパの強敵に勝てない理由がわかる内容でした。
    しかし、デ・ブライネは素晴らしく、観ていて楽しい選手でした。
    スターリングは、確かに点を決めてはいますが、確実な所でしか打たず、かなりこれだけのスペースがあるなら打てよ!とイライラする場面も多かったです。
    4点目も、ナバス何故自分から袋小路に突っ込んでいくんだと不満でした。
    守備の構築、スターリングの積極性、ナバスのクロス以外バイタルエリアでのプレーの選択を向上させなければ、CLは厳しいですね…

  4. makoto より:

    シーズン最初の何試合かはクリーンシートでしたし
    守備も良かったんですけど何が原因なのでしょうか
    CLもダービーも不安です
    せめて引き分けになるといいのですが

    —–
    汗かきスターさん>
    積極性とプレー選択の素晴らしさを併せ持っているのが、トップフォームのアグエロなんですよね。

    シティさぽさん>
    動きが多彩なオタメンディと他の選手の連携が今ひとつな感じがします。ペジェグリーニさんの腕の見せどころですね。

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