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【Crystal Palace×MAN.UTD】マンチェスター・ユナイテッドがゴールを奪えない3つの理由

プレミアリーグ11節、クリスタル・パレスVSマンチェスター・ユナイテッド。疲労が伝えられていたファン・マタは、リフレッシュできたでしょうか。プレミアリーグとキャピタルワンカップで2試合連続となった無得点は、マタが復活すれば即解決と高をくくっていたので、ぜひ安心させてもらえればと思います。同じくお疲れ気味と伝えられていたファイル・ジョーンズをブリントに戻したファン・ハール監督は、エレーラ、シュヴァインシュタイガー、シュナイデルラン、マルシアルを並べましたが、アウェイでおとなしくなりがちなマンチェスター・ユナイテッドは序盤からピンチの連続。開始早々、最終ラインの混乱からこぼれ球を拾ったドワイト・ゲイルにきわどいシュートを許すと、プレミアリーグに早期にフィットしたと思われたダルミアンのサイドが狙われ、再三縦への侵入を許します。

10分、ダンが胸で落としたボールを右から持ち込んだボラシェの強烈なシュートは、デ・ヘアが触ってバーを直撃。直後、キャバイェのCKに合わせたダンのヘッドも、デ・ヘアが上に弾きます。パンチュン、ザハ、マッカーサー、ボラシェ、キャバイェが並ぶクリスタル・パレスの攻撃はスピーディーで、マンチェスター・ユナイテッドはパスの精度が低く、なかなか押し返せません。アウェイチームが落ち着いたのは、20分を過ぎてからでした。時折中に入っていたマタが、ペナルティエリアのすぐ外で倒されたのは23分。ルーニーが直接狙うと、ヘネシーがコースを読んでキャッチ。ポゼッションは取れるようになったマン・ユナイテッドですが、クリスタル・パレス守備陣のチェックが速く、マタもルーニーもマルシアルもシュートチャンスがありません。

31分、マルシアルが出した素晴らしいスルーパスにルーニーが抜け出すも、判断がよかったGKヘネシーが先着。39分には、クリスタル・パレスが久しぶりの逆襲。キャバイェのセンスあふれるアウトサイドを使った縦パスからゲイルが狙うと、これはデ・ヘアの正面です。前半終了間際、マン・ユナイテッド最大のチャンスは、マルシアルの左からの突破でした。19歳FWは中でフリーだったエレーラをよく見ていたものの、シュートを打ち損じてしまい、0-0は変わらず。アウェイサポーターとしては、とにかくシュートがないのがストレスです。

後半が始まってしばらくは、膠着状態。マンチェスター・ユナイテッドが攻められないのは、高い位置で奪えないからでしょう。最終ラインでカットしたボールをただ前に蹴り出し、簡単に相手に渡してしまう姿は、まるでクラシックなプレミアリーグの中堅クラブ。ダルミアンはザハに負けており、ロホとボラシェのマッチアップも不安です。65分、既にイエローをもらっているダルミアンをアシュリー・ヤングは妥当でしょう。ルーニーが左、マルシアルがトップにチェンジしたマン・ユナイテッドは、どういう形で9番につなぐのかが最重要テーマです。69分、シュヴァインシュタイガーに代わり、フェライニ。アウェイチームはサイドから仕掛けたいところですが、クリスタル・パレスがシンプルな放り込みに徹するようになり、中盤が間延びさせられています。

73分、ウォードのクロスにフリーになったキャバイェのボレーは決定的でしたが、うまくミートせずポストの左。2分後、CKに完全にフリーになったダンのヘッドもわずかに枠の外。76分、中央の競り合いのルーズボールに直接合わせたゲイルのシュートは、デ・ヘアが足でブロックします。クリスタル・パレスの一方的な攻勢に、何もできないマンチェスター・ユナイテッド。マタとチェンジしたリンガードのプレイ機会が少なければ、プレミアリーグでは2戦連続となるノーゴールで終わるでしょう。81分、ルーニーのミドルは、後半最初のシュートではないでしょうか。ファーガソン時代は、この時間帯になるとサイドからボコボコにクロスが上がる「祭囃子タイム」があったのですが、マンチェスター・ユナイテッドのチャンスは、左サイドからのロングクロスをリンガードが折り返し、マルシアルが狙った1本のみです。CKにボラシェが突っ込んだシーンで、シュナイデルランが触らなければジ・エンド。ザハとボラシェの左右を逆にしたパ―デュー監督の采配が当たった「クリスタル・パレスのゲーム」を、0-0で終われたのは幸運でした。

 プレミアリーグ2試合、キャピタルワンカップ1試合と、3戦連続ゴールなし。マンチェスター・ユナイテッドがゴールを奪えないのは、「ボールを奪う位置が低い」「オフ・ザ・ボールの動きが悪い」「トップが孤立している」からではないでしょうか。右のインサイドMFにエレーラを加えたファン・ハール監督のフォーメーションは、左に出るシュヴァインシュタイガー、中央の底を抑えるシュナイデルランで3センターを構成する4-3-3。ファン・ハール監督の思惑は理解できます。負けられないマンチェスターダービーと、攻撃力のあるクリスタル・パレスとのアウェイ戦を、失点をしないことを最優先に考えたのでしょう。しかし、この形は、「3戦連続クリーンシート」という目標は達成したものの、攻撃力を著しく落とす結果にもなってしまったのだと思います。

攻めてきたクリスタル・パレスにカウンターで対抗できなかったのは、ボールを獲る位置が低かったために、ウィングが守備に下がると出しどころがストライカーの1点だけとなり、後方から有効なロングフィードを通せなかったからでしょう。トップ下の不在は、ルーニーやマルシアルの孤立にもつながりました。鋭いドリブルがあるマルシアルといえども、いいフォローがなくプレイの選択肢が少ない状況で突っかけていけば、読まれて捕まります。これを解消したければ、エレーラ、マタ、シュヴァインシュタイガーらがトップ下の位置に入り込んで落としを受けたり、ストライカーを追い越してマークを分散させるなどの動きが必要なのですが、シュヴァインシュタイガーは攻め上がりが少なく、エレーラはサイドに流れがち。中央で輝けるMFであるマタの持ち場からトップの下までは距離があり、どうしても攻撃が遅くなってしまいます。

相手を完封しつつ、自分たちはゴールを奪って1-0や2-0で勝っているならこの形でもいいのですが、現実は逆。デ・ヘアの素晴らしいセービングの力を借りて何とかゼロに抑え、シュートがからきし打てない「負けに近いスコアレスドロー」が続いています。であれば、4-2-3-1に戻したほうがいいでしょう。ベストメンバーは、こうだと思います。ワントップにマルシアル、トップ下にマタ。左はアシュリー・ヤングかルーニー、右にバレンシアかリンガード。中央は、前線にいい楔を打ち込めるキャリックと、運動量があるシュナイデルランがベターです。デパイ、シュヴァインシュタイガー、エレーラは、ローテーションで適宜起用すればOK。いかがでしょうか。

オールド・トラフォードで戦うCSKAモスクワとのチャンピオンズリーグで、0-1などという痛恨の結果に終わらないためにも、ファン・ハール監督には明快な改善を図っていただければと思います。ただし一方で、今のチェルシーが相手なら、4-3-3で守備重視というチョイスもありだと思います。ストークのウォルターズやリヴァプールのベンテケがそうだったように、最前線にいるマルシアルのマークを緩めてくれるなら、ですが。

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“【Crystal Palace×MAN.UTD】マンチェスター・ユナイテッドがゴールを奪えない3つの理由” への4件のフィードバック

  1. makoto より:

    更新お疲れ様です。イマイチ上手くいかないユナイテッドですが、守備陣の頑張りは素晴らしいと思います。
    個人的にはブリントよりもジョーンズを優先した方がいいと思いますが。ダルミアンが崩されたのは仕方ない所もあると思います。今のザハに苦戦しないSBはプレミアには少ないでしょう。
    攻撃は少し厳しいですね。ルーニーの衰えばかり言われますが、マーシャル以外に及第点の活躍をしてるのはマタくらいです。ヤングを攻撃的に使えば大分変わると思いますが、SBのバックアップに集中させたいのでしょう。個人的にはリンガードをもっと長い時間見てみたいと思います。

    —–
    タカシさん>
    ザハが素晴らしいのは同感なのですが、ダルミアンのプレイにメリハリがなくなったように感じました。今は、開幕当初のコンディションにないだけかもしれませんが。セントラルの3人はいいとして、前線が決まりませんね。ルーニーCF、マルシアル左としてからより迫力がなくなってしまいました。マルシアルをトップでルーニーがその下という以前の形でもよいのですが、いずれにしてもシュートが打てない現状を打開すべく、中央に厚みを持たせたほうがよいのでは?と思いました。リンガードは楽しみですね!

  2. chop-マンUファン より:

    ユナイテッドは選手の組み合わせよりも
    目指しているサッカーの方に
    問題があるように思います
    ボールをもって試合をコントロールするのが
    監督の哲学なのであればそれはよいのですが
    クロスのシーンでもっとペナに人数を割いたり
    ひいた相手に対してミドルを狙うなどしないと
    点は入らないです
    それがまた相手の守備のバランスの崩壊にもつながり
    ボールももっとと効果的にまわせるようになる
    と思います
    せっかく後ろにデヘアというすごいGKがいるんだから
    もう少しリスクをおかしてもいいと思います

  3. サンドバック より:

    >マンチェスター・ユナイテッドがゴールを奪えないのは、「ボールを奪う位置が低い」「オフ・ザ・ボールの動きが悪い」「トップが孤立している」からではないでしょうか。

    これぞ真意を突いた言葉だと、ここ3試合のマンUに歯軋りしていた身として納得させられましたよ。
    選手個々のコンディション以上に、ルイの戦術に問題がある事を浮き彫りにするエッジの効いた見解だと思います。
    今のルーニーの不調くらい呑み込む強さを発揮出来なければ、所詮4位狙いの去年と大差の無いチームで終わってしまいます。

    鍵はマルシャル、マタ、ヤング、ブリントの起用位置にあるように思いますが、稀代の策士であるルイも、そんなことは当然理解しながら現状を選んだんでしょうね。。。
    次のCSKA戦でルイの新しい策が炸裂するのか? 楽しみに待ちたいと思います。

  4. makoto より:

    chop-マンUファンさん>
    そうですね。セーフティを意識し過ぎだと思います。クロスのときに必ず4人入っていた今朝のトッテナムを見て、余計にそう思いました。

    サンドバックさん>
    ありがとうございます。ポテンシャルの高い選手は揃っているので、はまれば相当強くなりそうですよね。CL楽しみです。

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