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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Liverpool×Sunderland】サポーターの抗議の退席後、悪夢の2失点…レッズ痛恨のドロー!

虫垂炎かもしれないといわれたクロップ監督が不在ながら、開始早々からリヴァプールはプレミアリーグ19位のサンダーランドを圧倒していました。下がり目の位置からエムレ・ジャンが左右に展開し、サコは直接前線の選手に楔を打ち込みます。トップのフィルミーノは中央、左右と神出鬼没。ゲームによって、出来の善し悪しが激しいブラジル代表は、今日は好調のようです。右から仕掛けるミルナー、フィルミーノの近くで動き回るララナ、前への意識が高いジョー・アレンとヘンダーソン。20分には、敵陣でボールを奪ったララナが左に流したボールにフリーのアルベルト・モレノが走り込み、GKマンノーネの脇を狙うも足で触られCK。29分にはミルナーが左をえぐりますが、折り返したボールはクリアされ、フォローしたフィルミーノのミドルが上に外れます。37分、右からペナルティエリアに入ったフィルミーノは、2度にわたってシュートを狙いますが、いずれもファン・アーンホルトをかわしきれず。前半は0-0で終わるものの、ポゼッションが80%を超える一方的な展開に、プレミアリーグ降格ゾーンから脱出できないアウェイチームは何もできません。

リヴァプールに懸念があったとすれば、2つです。ひとつは、前への意識が強すぎて、フィルミーノ、ララナ、ヘンダーソン、ジョー・アレンが横一列に並んでしまう形が目立ったこと。4トップのような戦型になってしまうと、縦に長い楔を入れた際に受けるところがなく、そこからの攻撃のスピードが上がりません。ミルナーやアルベルト・モレノのクロスがことごとくはね返されたのは、サンダーランドがゴール前に人数をかけていただけでなく、中が一直線だったために真横に上げるしか選択肢がなかったからでしょう。前後に選手がばらけたほうが、クロス、ポストプレー、ワンツーなど崩しの形は多彩になります。

そしてもうひとつは、またもや増えた負傷者です。11分にデヤン・ロブレンが足を痛めてコロ・トゥレにチェンジ。前半終了間際には、ジョー・アレンがプレイ続行不可能となり、ジョーダン・アイブにポジションを譲りました。ピッチの脇でアップをしていたダニエル・スタリッジのプレミアリーグ復帰は、次戦以降となるでしょう。あと1枚しかカードがない状況で、負傷がちな選手を入れるのはギャンブルです。

ゲームは後半に入ります。開始早々からイニシアティブを握るのは、やはりリヴァプール。51分、右にいたフィルミーノが逆サイドのアルベルト・モレノに速いパスを通すと、左SBはGKが出られないコースに優しいグラウンダーを入れますが、ゼロトップのチームにはゴール前に飛び出してくる選手はいません。時間の経過とともに不安が高まりますが、リヴァプールは、ホワイト・ハート・レーンで同様に先制できていなかったスパーズより先にゴールを陥れました。59分、左からのミルナーのクロスは完璧。頭でミートしたフィルミーノの一撃は、左のサイドネットに一直線です。このゴールで、フィルミーノはベンテケと並ぶプレミアリーグ6発めとなりました。前半にワトモアを負傷で失い、デフォーと新加入のエンドイェが前線に並ぶサンダーランドは、2人にパスを通すことすらできません。

64分、レッズに追加点のチャンス。ミルナー、フィルミーノ、ヘンダーソンと淀みなくつながったボールが左のララナに出ると、切り返しから放ったシュートはGKマンノーネが足でクリア。こぼれ球を拾ったジョーダン・アイブの強烈な一撃も、GKが何とか弾きます。ここは何とかしのいだサンダーランドは、67分に反撃。左サイドからナサニエル・クラインを振り切ったファン・アーンホルトのシュートは、当たりが悪く、ニアに逸れてしまいました。

70分、リヴァプール待望の2点めは、自陣深くでボールをキープした右SBビリー・ジョーンズがフィルミーノにインターセプトされてしまったことがすべてでした。自らペナルティエリアに持ち込んだ11番がララナにマイナスのパスを通すと、ララナはワントラップで無人のゴールに流し込みます。2-0、これは決まりだと思いました。残り15分を過ぎても、レッズはまったく危なげなく時計の針を進めています。77分、アンフィールドの拡張工事に伴い、チケットの最高価格が77ポンド(約1万3000円)に値上げされることに抗議したサポーターが、大挙して出口に向かいます。彼らの気持ちはわかるものの、結果的には抗議は他の方法でするべきでした。81分、アルベルト・モレノが新加入のカズリを削ってしまったFKから、ゲームが動きます。

アダム・ジョンソンのキックは、壁の端にいたララナを巻いてゴール右隅に吸い込まれましたが、壁の上ではなく横を通されたボールがポストぎりぎりに飛んだのは壁の作り方が間違っていたからで、GKミニョレが触れなかったのはポジショニングミスでしょう。ホームチームのリードはわずか1点、空席が目立ついつもと違うアンフィールド、大きなアクションで選手を鼓舞してくれる指揮官は不在。ヘンダーソンを下げてルーカスを投入した直後の89分、自陣に引きっぱなしになっていたリヴァプールは、悪夢の瞬間を迎えます。

カッターモール、ファン・アーンホルト、カズリとつながったボールは、サコを背負ったデフォーへ。振り向きざまの一撃に、サコは足を出せず、ミニョレも反応できません。2-2、同点!これで目が覚めたかのように、それまでの圧倒的な攻勢を思い出したレッズは、ノリッジ戦のような奇跡的な結末を呼び起こすことはできませんでした。ずっと攻め続けていれば…。痛恨の勝ち点1に終わったリヴァプールは、マージ―サイドのライバル・エヴァートンに得失点差で抜かれてしまい、プレミアリーグ9位に後退しました。

来季の補強ポイントを、サンダーランドに指摘してもらったかのような2失点。前半の攻撃陣の課題が解消された後半は悪くない出来で、2ゴールと結果も出しており、最後はゲームを畳みにいけばよかっただけでした。これといった決定機を与えたわけでもなく追いつかれた悪夢の7分には、次戦はプレミアリーグ最下位相手ですのできっちり勝ちましょうとしかいえないですね。GKの大事さを痛感するのは、何回めでしょうか。レスター戦で沈黙したフィルミーノ、ミルナー、ララナが元気だったのが、せめてもの救いです。(ジャーメイン・デフォー 写真著作者/Egghead06)

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“【Liverpool×Sunderland】サポーターの抗議の退席後、悪夢の2失点…レッズ痛恨のドロー!” への9件のフィードバック

  1. K より:

    アイブとモレノの縦関係は最悪でした。モレノはアイブがチャレンジする時はポジションを下に構えて欲しいです。クラインもそうですが真ん中の守りが弱いのに両サイドとも攻め上がりすぎですし、FKに開けたコースを抜かれるミニョレはプレミアのレベルにないです。あそこまで葬式ムードのアンフィールドは久々でした。ミニョレとサコはサヨナラでヘンダーソンはブラナガンとアレン、ルーカス、チャンのローテに任せて今年はお休みしてて下さい。

    ジョーゴメスがリハビリ開始したんで、来年に期待です。彼が戻れば絶対に補強が必要なのはGKですね。あとはワールドクラス2〜3名とトゥレが抜けるなら控えCBのマティプ。ミルナーをSBのレギュラーに使えるくらいの選手層を期待してますのでバロテッリにチャイナマネー降ってこないかなぁ…

  2. サージェントペパーズ より:

    更新お疲れ様です。
    今のレッズの守備陣ではアンフィールドで2点差になっても安心できないということがわかりました。77分の抗議活動でなんとなく嫌な予感がしたのですが的中してしまいましたね…。契約延長したミニョレですが、やはりこのクラブのレベルに見合ったGKではないと思います。クロップは信頼を寄せてはいますが、ぜひ補強をしてほしい。
    今は我慢の時期であることはわかっていますが毎試合この様なゲームが続くのは耐えられません。不憫に思っていたチェルシーとの勝ち点差もさほどなくなってきてしまいました…。

  3. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    このドローは痛すぎます。ゲーム後眠れず何度も録画したゲームを見直してました。
    ヘンドは状態が良くないですね使って状態をUPしていくべきなのか、ローテーションで回していくべきなのか、、、ファンとしても悩ましい限りです。チャンは状態が良い時は素晴らしいプレイをするのですが、ここ最近は上手くいっていないですね。CBやGK問題とありますが、今シーズンはこのメンバーでやるしかありません。COC決勝やFA杯とELとまだまだ試合は続きます。クロップとチームを信じて遠い日本からサポートしていきます。

  4. 無名 より:

    チェフ獲得で見違えるような安定感を得たアーセナル
    怪我人がとても少なく後ろでロリスが守る安心感もあるトッテナム
    デヘアの活躍で昨季CL権を得たユナイテッド

    やってられないほどの怪我人を抱え続けてヘンドも怪我後落ちちゃって後ろにはミニョレしかいない現状
    もうリーグは残留してくれればいいからなんとかタイトルを一つでも取れればって感じですかね今季は・・・

  5. makoto より:

    Kさん>
    カウンターに怖さがない昨日のサンダーランド相手なら、SBはグリグリ上がるほうが正解なのではないでしょうか。ワトフォードを見切ったトッテナムは、リヴァプール以上に両方ともいってました。ヘンダーソンの調子に波があるのは確かですが、いいときはロングフィードが素晴らしく、攻撃に変化をつけられるので、見限るのは速いのではないかと思います。CBが悪いからといって、後ろに重きを置き過ぎると、クロップイズムを失って凡庸な戦い方となり、悪い時のマン・ユナイテッドやチェルシーのようにゴールが奪えない試合が増えてしまうでしょう。

    最後まで攻めて、押し倒せばオッケーの試合だった、というのが私の感想です。

    サージェントペパーズさん>
    ミニョレは、さすがに厳しいですね。彼の不安定さが、DF陣から余裕を奪っている面もあるように思います。

    Mackiさん>

    ヘンダーソンとエムレ・ジャンの出来と状態を懸念するお気持ちはわかるものの、昨日の試合内容については、80分までのところはさほど悲観しなくてもいいのではないかと思いました。気になるのは、やはりCBとGKの個人力です。あの状況でサコが足を出せなかったのは、冷静さを失っていたのでしょうか。デフォーは難しいことは何もやっていなかったのですが…。

    無名さん>
    2月28日は何としても勝ちたいですね。欧州行きが決まれば、プレミアリーグでは若手起用など大胆な実験ができるようになります。

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    ヘンダーソンが調子が悪いのは、怪我を引きずっているからだと思ってしまいます。スアレスのいた頃はもう少し前線への飛び出しを多くしていた気がして…

    しかし、GK、DFの安定感の無さはプレミア屈指ですね。彼らに危機感を与える選手が必要です。それが噂のマティプやシュテーゲンが適任かは分かりませんが…

    喜ぶべきは、フィルミーノがこの試合でプレミア6ゴール5アシスト。合わせて10点以上も直接点に絡みました。プレミア初挑戦でこれは素晴らしいことだと思います。

  7. K より:

    言葉足らずでした。2対0であれだけ上がる意味が分からないんです。トッテナムのように後ろの3人とアンカーがしっかりしてたら良いんですが、昨日のメンバーで2点リードなら控えて欲しいです。ミルナーはきちんとモレノの裏をケアしてたんで穴は穴と認識してケアして欲しいです。モレノは格下相手で前がコウチーニョならファーストチョイスですが、まだまだ成長が必要です

    ヘンダーソンは怪我明けずっと悪いんで2シーズンの疲労と思って休んでて欲しいだけで見限ってはいません。トラップ力はもう少しつけて欲しいですが。チャンのように良かったり悪かったりが激しいなら使うのも分かるんですが…

  8. しばお より:

    こんにちは
    いつも的確な見解と、分かりやすい解説と豆知識など、本当に楽しくワクワクしながら拝見させて頂いてます^ ^
    レッズサポですが、他のクラブの現状や移籍市場動向なども毎回 大変参考になります。

    サンダーランド戦ですが、
    ヘンドは本調子でないのと、アレンが前(いわゆるトップ下)だったのと、ルーカスがいなくバランサーとして中盤底で試合を作っていて思い切った上がりができませんでしたね。チャンと役割が被っていてお互い少し窮屈といいますか、やりにくそうだなと見ていて思いましたし、チャンも
    大分パフォーマンスに波がありますね。
    パフォーマンスが上向いてきたロヴレンとパスでリズムとテンポを作れるアレンの負傷交代は痛すぎました。
    攻撃陣は2点と結果は残しているので、負傷選手含め、連携を上げてくれれば今シーズンは御の字かと思います。

    DF陣はミニョレ、サコ、は不安定すぎます。レギュラーに置くのは難しいかと思います。
    コロもバックアッパーとしても物足りず、GK.左利きレギュラーCB.バックアッパーCBを補強ポイントにして、今シーズンはリーグ順位は気にせずタイトル1つでも取れば決して失敗ではないと思います。

    これから、ちょこちょこコメントさせて頂いくと思いますが、何卒よろしくお願いします^ ^

  9. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    ヘンダーソンはかかとですね。完治してくれればいいのですが。フィルミーノはいいですね。来季はさらによくなるのではないでしょうか。守備の問題は今季いっぱいはだましだましやるしかありませんが、ベンテケ、コウチーニョ、オリギが機能すればゴールは増やせそうですね。

    Kさん>
    なるほど。理解しました。攻め上がりに関しては、悩ましいですね。私は、今回のサンダーランドなら攻め続けて試合を終わらせてもいいのではないかと思いました。昨夜のマンチェスター・ユナイテッドも、引いてしまうよりも前線でボールをキープして時間を遣うべしと思いながら観ており、試合の畳み方をどうするかはなかなか奥深い問題です。

    しばおさん>
    こちらこそありがとうございます。的確な整理だと感心しながら読ませていただきました。GKとCBは獲ったほうがいいですね。前については、縦に行けるサイドアタッカーあるいはセカンドストライカータイプを獲れれば、ほかは「現状メンバーの成長とフィットに期待」でも結構やれるのではないかと思います。個々のポテンシャルは、決して低くないチームですので。

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