イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Aston villa×Tottenham】完勝のアストン・ヴィラ戦にみる、トッテナムが強い理由

あらあら、と思わず声に出してしまいました。ヨーロッパリーグのドルトムント戦は出場停止だったデル・アリはともかく、お休みしていたエリック・ダイアーは当たり前のように復帰し、ハリー・ケインとデンベレもスタメン。ポチェッティーノ監督がヨーロッパリーグを軽視したとまではいいませんが、「プレミアリーグでは絶対負けない」という選手起用なのは確かです。そしてまた、スタメンに戻ったエースとデル・アリがしっかり仕事をして勝ってしまうところが見事です。

ハリー・ケインはフェイスガードに慣れたのでしょうか。相手がプレミアリーグ最下位のアストン・ヴィラで守備が緩かったとはいえ、3分にカウンターを仕掛けたラメラが美しいラストパスをハリー・ケインに通し、エースがレスコットを簡単に振り切るのをみて、今日は勝つだろうと思いました。このシュートはクロスバーに阻まれたものの、結局、デル・アリとハリー・ケインのホットラインで2発完勝。ハリー・ケインは今季プレミアリーグで19ゴールとなり、レスターのジェイミー・ヴァーディに並びました。

トッテナムの攻撃は、余計な手数をかけず、シンプルです。7分のラメラのシュートは、アルデルヴァイレルトとデンベレがビルドアップ、右にいたカイル・ウォーカーを走らせると、グラウンダーがデル・アリにつながり落としをフィニッシュ。その1分後のデル・アリの強烈な一撃は、これもアルデルヴァイレルトから始まり、楔を受けたエリクセンがダイレクトでラメラ、ラメラもダイレクトでデル・アリ。前に出たラメラをポストに使ってミドルを放ったデル・アリに迷いはありませんでした。細かくポジションを変えなければこれだけスムーズな連携はなく、一瞬でも空く選手を作らなければシュートで終われません。2つのチャンスは、このチームが毎試合117キロを走破していることも、シュートが多いこともうなずけるシーンでした。

前に味方がおらず、コースが空いたと見て取るや、思い切りよくロングシュートを打ってくるのもこのチームの特徴です。18分のエリクセンの右足は、右のポストのすぐ脇を滑っていくきわどい弾道。エジルなら絶対に打たないエリア。マタもサイドの選手の上がりを待つでしょう。24分には、敵陣で相手のクリアミスをラメラが競り、こぼれたボールをエリクセンがハリー・ケインにつなぎ、左から上がったダニー・ローズに展開。折り返しのグラウンダーをハリー・ケインがボレーし、GKグザンがかろうじて足でセーブという決定機を創ります。28分、ハリー・ケインが20メートル以上あるところから迷わずミドル。ストライカーがオールラウンダーで、プレイの好き嫌いがないのも、トッテナムの攻撃を多彩なものにしています。

30分にラメラがポストにぶつけた絶好機も、最後方のアルデルヴァイレルトから右のカイル・ウォーカーにロングフィードが通り、右SBが縦にドリブルしてグラウンダーとパス2本です。プレミアリーグ最下位のヴィラの攻撃が迫力を欠き、スパーズファンは安心して観ていられるゲームだったものの、先制までは45分が必要でした。このゴールは、デル・アリのセンスのよさがもたらしたゴールです。中央でつぶされたとき、すかさず立ち上がって周囲を見た20番は、左で手を上げて呼んでいるエースと目が合いすかさずロングパス。ハットンの対応は完全に遅れ、右隅を狙ったハリー・ケインのシュートコースは完璧でした。前半は0-1ながら、枠内シュートは1-6。プレミアリーグ優勝を狙うクラブは、後半早々に追加点を決めてホームチームを引き離します。

2つめのゴールは、カウンターからでした。48分、自陣左サイドでパスをカットしたデル・アリがエリクセンに落とすと、ハリー・ケインを経由したボールが中央のラメラへ。左のデル・アリに展開した後、ペナルティエリア手前まで運んだ20番は、ラメラの裏から入ってきたハリー・ケインを見ていました。走り負けたアリ・シソコは何もできず、ボレーが左隅に吸い込まれ、0-2。今のヴィラに、この差は絶望的です。

59分のカイル・ウォーカーのミドルは、ダニー・ローズからのサイドチェンジ一発。直後のラメラの左足シュートは、デンベレの縦パス1本。トッテナムの攻撃はやはり最短距離、最大効率です。75分にエリック・ダイアー、デンベレ、エリクセンとつないだ中央突破は、ハリー・ケインの落としからうまく抜けたラメラが気のないシュートを打ったのを叱らないといけません。0-0なら、もっと力のこもったシュートを放っていたのではないでしょうか。最終盤に、ようやくヴィラが反撃。84分にアイェウが左からゴールライン際を突破してシュートをポストに当てると、中のゲステデの左足もクロスバー。87分のCKをゲステデにヘッドで流されたシーンも危険だったものの、スコアは動きません。0-2のクリーンシートは、ドルトムント戦で完敗したショックを感じさせないスパーズらしい勝利でした。

ポジションの細かいチューニングを厭わない走るサッカー。縦への志向が強く、ダイレクトパスを駆使したシンプルな攻撃。複数の選手が一斉にダッシュを始める、意志疎通の取れたカウンター。エリック・ダイアーがバイタルエリアをつぶし、アルデルヴァイレルトが危険なスペースをカバーする安定的な守備。トッテナムが強い理由がわかる90分でした。アルデルヴァイレルトは、攻撃面の貢献度も高いですね。デンベレやデル・アリが走り回るこのチームが、プレミアリーグNo.1の運動量を失わない限り、最後まで優勝争いに残るでしょう。レスターも強いですが、こちらも強いです。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【Aston villa×Tottenham】完勝のアストン・ヴィラ戦にみる、トッテナムが強い理由” への5件のフィードバック

  1. にわかスパーズファン より:

    更新おつかれさまです。
    管理者様がそこまで褒めていただけるなんて嬉しい限りです。なんですが、後半ラスト10分のバタバタは昨シーズンや今シーズン前半のようで、ヒヤヒヤしました。ここらへんが今シーズン加入の若いビマーとスパーズ4年目でトビーとアヤックスでもコンビを組んでいたヤンの違いなのかなと思いました。ビマー1人の責任ではありませんが、疲れなのか若さなのかガナーズ戦もそうでしたが、少し気持ちに隙が生まれる瞬間がありました。コスタやアグエロなら決めるでしょうし、サンチェスには決められてます。すみません、少し辛口になってしまいました。
    シーズン開幕前はなんとか4位以内に入れるかもしれない。開幕当初はケインはジンクスか?今年もEL圏内かな。と思っていたのにまさかの優勝争い、相手が大躍進レスターと宿敵ガナーズとなれば要求が高くなってしまってるようです。笑
    それはそうとスパーズの今シーズンの特徴として両センターバックの縦への意識が高いことが挙げられます。楔のパスはもちろん、トビーは美しいロングパスも持っています。実はこの特徴の裏にはロリスがパス回しに多く参加している事があります。成功率、本数共にリーグ1位だった気がします。チラッと記事を見てソースどこだか忘れちゃってますが。名GKが集まるプレミアリーグで現代GKに1番近いのは実はロリスなのかもしれませんよ。

    長文失礼しました。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    アルデルヴァイレルトが加入して、最終ラインからビルドアップできている事は今季のスパーズ躍進の隠れた要因ですね。

    フェルトンゲンの復帰も近付いているようで、ボールを使った練習を再開していますし、ユナイテッド戦に間に合ってマルシャルやラシュフォードを沈黙させて欲しいです(笑)

  3. makoto より:

    にわかスパーズファンさん>
    ロリスの記事、「スカイスポーツ」ですね。私は、こちらに記事を書きましたので覚えてます。
    http://sportie.com/2016/02/premie-league-gk

    プレミアリーグ大好き!さん>
    最初の1行は大賛成ですが、その後の2行はやめてください(笑)

  4. にわかスパーズファン より:

    ソースありがとうございます。
    まさか管理者様も記事を書かれていたとは。勉強不足申し訳ございません。

  5. makoto より:

    にわかスパーズファンさん>
    いえいえ。おもしろいデータですよね。

コメントを残す