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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【MAN.UTD×Bournemouth】「ゴールが奪えるセントラルMF」ルーニーが決めた素晴らしい3発!

GKデ・ヘア、DFバレンシア、スモーリング、ブリント、ボースウィック=ジャクソン。キャリックがアンカーに入り、マタ、リンガード、ルーニー、マルシアルの中盤に、トップがラシュフォード。ここにルーク・ショーが加わった顔ぶれが、プレミアリーグ2015-16シーズンにおけるマンチェスター・ユナイテッドのベストメンバーでしょう。この2年間で補強した選手で、名前があるのはアントニー・マルシアルとダレイ・ブリントだけです。ディ・マリアはクラブを去り、ファルカオは復活せず、デパイ、シュヴァインシュタイガー、シュナイデルラン、ダルミアンは持てるポテンシャルを発揮したとはいえませんでした。

ワールドカップ終了からプレミアリーグ開幕まで時間がなく、創りながら戦うしかなかった初年度はともかく、コンセプチュアルに補強を進めたはずのファン・ハール政権2年めは、プレミアリーグ5位という着地では失敗だったといわざるをえません。最終盤の4位争いはマンチェスター・シティの停滞がもたらしたものであり、最終節前までの6勝3分1敗という足跡には、素晴らしい追い込みを見せたと表現するほどの迫力はありませんでした。救いは1点、ラシュフォード、リンガード、フォス=メンサー、ボースウィック=ジャクソンといった若手が育ってくれたことです。うまくいかなかったが、未来への希望は残せた。この1年を総括すると、そんな言葉が適切なのではないでしょうか。

「おなじみとなった低調な前半」「後ろでまわしている時間が長く、ペースが一定」「とにかくシュートが少ない」「だからゴールがない」。ボーンマスとの最終戦は、いかにも今季のマンチェスター・ユナイテッドでした。プレミアリーグ37試合で46ゴールしか決められなかったチームは、サイドに展開してはダメだと中に戻し、ボーンマスのプレスがきついと一気にデ・ヘアまで戻してしまう消極的なサッカーを繰り返します。初のトップリーグ昇格で残留を決めたアウェイチームも、何が何でも勝つという気概は見られず、オールド・トラフォードを埋め尽くしたとはいえないサポーターが苛立つ時間が続きます。

いいときのアーセナルやマン・シティのようにSBとサイドアタッカーが連携してサイドを崩す工夫もなく、クロスに対して3枚がボックスに入るトッテナムのような厚みもありません。いいところがなかったホームチームは、しかし42分に1度だけ、美しい連携を見せてゴールを奪いました。ボースウィック=ジャクソンからパスを受けたマルシアルがマタとのワンツーで縦に抜け出し、グラウンダーのラストパスをラシュフォードがまたいでスルーすると、飛び出してきたのはルーニー。足元を抜けるボレーにGKフェデリチは何もできず、前半は1-0で終わります。

ファン・ハール監督のハーフタイムの使い方がうまいのか、後半になると突然よくなるのも、今季何度も見たマンチェスター・ユナイテッド。マルシアルがダイレクトパスで裏を突いた中央突破からマタがGKと向き合い、54分にはキャリックの強烈なミドルがCBクックの背中をこすってバーを直撃。その1分後、ラシュフォードが右サイドを突破すると、マタとリンガードが次々とシュートを狙い、最後のボレーはポストぎりぎりをすり抜けます。60分にクリアが流れてきたところをダイレクトで狙ったバレンシアのミドルは、フェデリチがビッグセーブ。さらにその直後、ルーニーの見事な縦パスからマタが切り返し、右足でシュートを放ったシーンも決定的でした。この攻撃を90分できれば、マンチェスター・ユナイテッドはチャンピオンズリーグ出場権をつかんでいたでしょう。

74分、ホームチームに試合を決める2点めが入ります。決め手となったのは、「セントラルMFルーニー」がファーに通したピンポイントのロングパス。これをバレンシアがヘッドで落とすと、ラシュフォードがダイレクトで叩いた一撃は、文句なしの左隅。戦意を喪失したボーンマスのプレスとマークは、前半とはまったく違う緩さです。エレーラ、デパイ、アシュリー・ヤングが次々と入ったマン・ユナイテッドの3点めは86分。このゴールもまた、ルーニーの新しい未来を予感させる素晴らしい2本のロングフィードで決まりました。自陣にいた10番がボースウィック=ジャクソンに展開したふわりとした浮き球で攻撃のスイッチが入り、ここから中に戻ってきたボールを受けると、今度はラインの裏に抜け出したアシュリー・ヤングにピタリと合わせた素晴らしいラストパス。GKに当てながらねじ込んだヤングが、ボールが枠に転がるのを見届け、ルーニーを指さした気持ちはよくわかります。今のキャプテンのベストポジションは、間違いなく中盤の真ん中です。彼のセンスがあれば、「中盤を仕切りながらプレミアリーグ15ゴール」も無理な数字ではないと思います。

終了直前にグラデルのシュートがスモーリングに当たって入ってしまい、プレミアリーグ最少失点クラブの座はトッテナムと分け合うことになりましたが、最後の45分は、来季につながるいいサッカーを見せてもらいました。若手のさらなる成長、ルーニーを中央に据える新しい戦い方。夏には、ストライカーを獲りましょう。このポジションには、今、ラシュフォードしかいませんので。

プレミアリーグ2015-16シーズンが終わりました。今季も1年間、おつき合いいただいたみなさま、ありがとうございました。今後は、いくつかのテーマで、激動のシーズンを振り返ってみたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。

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“【MAN.UTD×Bournemouth】「ゴールが奪えるセントラルMF」ルーニーが決めた素晴らしい3発!” への3件のフィードバック

  1. グローリーグローリー より:

    今季のユナイテッドは本当に苦しみましたが、最後までチーム一丸で食らいついたおかげで中々良いベースが出来上がりましたね。このベースをモウリーニョに受け渡す為のものとみるか、ファン・ハールの3年目へのものとみるか、ギグスに受け渡す為のものとみるかは人それぞれだと思いますが、多くの方が言うような最低最悪なシーズンではなかったと思います。ただ転換期にあるルーニーに絶対的な信頼を示してストライカーを大量放出したのは間違いでしたね。結果論ではありますが。デパイの地雷性を甘く見て獲得してしまったのも悔やまれます。あと個人的に失望が大きかったのはシュナイデルランですかね。守備もできてパス出しもできる万能型との事でしたが、ユナイテッドではただ無駄に走り回ってタックルを乱発するだけの水準の低いミッドフィルダーでした。来季はストライカーとCBを真っ先に獲得してブリントとルーニー中心で中盤を作っていって欲しいです

  2. だしまる より:

    一年お疲れ様です。長いシーズンも後はFA杯。波乱の中、様々な記事楽しませてもらいました。ファン・ハールさんのサッカー、バルセロナ・バイエルンで勝ってもつまらないと言われていたように、面白さに欠けるのでしょうか。

    さて、移籍市場は、どのチームもストライカーの奪い合いになりそうです。とはいえ、超一流は市場に出回り難く、少々お高くても捕りに行くべしと思います。

    動く可能性ありなのは、どの辺でしょうね。

    イグアイン、イブラヒモビッチ、ルカク、オーバメヤン、ジェコ、ちょっと地味めではスポルティングのイスラム・スリマニ、アヤックスのアルカディウシュ・ミリクあたりは良さそうです。

  3. yuto より:

    苦しいシーズンでしたがそれでも5位の結果は上々かと思います。
    批判されることが多いですが、自分は若手の積極的な起用をみせたファンハール監督をリスペクトします。
    グローリーさんがおっしゃっているように、シュネイデルランを始め今シーズンに移籍してきた選手のマルシャル以外が低調なパフォーマンスだったことが悔やまれます。
    個人的にはシュバインシュタイガーには新たなリーダーとして期待していたのですが・・・

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