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【Stoke×MAN.CITY】辛勝だけど凄かった…チームを大きく変えたペップ戦略&采配に脱帽!

さすがペップ・グアルディオラといわざるをえません。プレミアリーグ2節のマンチェスター・シティは、ストークとのアウェイゲーム。ペップのサッカーといえば、ボールポゼッション、変幻自在なフォーメーション、ティキタカ、獲られたボールをすぐに獲り返すなどといった言葉が(正しいかどうかはともかく)一般的なイメージだと思われますが、稀代の名将が率いたバルセロナとバイエルンは実はまったく違うスタイルでした。ドイツで常に首位を独走していたチームは、初期は一世を風靡したバルセロナの香りが漂っていましたが、昨シーズンはロングフィードからのカウンターも駆使しており、年々攻め方のバリエーションが豊富になっていました。

新指揮官はマンチェスター・シティにはどんなサッカーをインストールするのか、プレミアリーグ流の「本家バルサとは似て非なるポゼッションサッカー」はどう変貌を遂げるのかに注目すると同時に、群雄割拠のリーグで「勝ちながら変える」のは難しいのではないかという懸念もあったのですが、どうやら杞憂に終わりそうです。このチームは、既に昨季とはまったく違うチームなのですが、ストーク戦におけるいちばんの驚きは「スタメンの新戦力がジョン・ストーンズひとりなのに、公式戦わずか3戦めでここまで戦い方を変えたこと」です。

サンダーランドとの開幕戦から、ジョン・ストーンズだけを残して最終ラインを3枚代えたペップ。CBだったコラロフは本職の左に戻り、オタメンディとサバレタは今季プレミアリーグ初出場。それにも関わらず、ジョー・アレンに右から突破されたピンチ以外に、前半はストークに崩されるシーンはありませんでした。何しろ、プレスの位置が高い!アグエロやデブライネは相手にカットされた瞬間、ボール奪取に走り、フェルナンジーニョとダヴィド・シルヴァにウイングやSBが加わり複数で囲み始めるのは敵陣です。プレシーズンマッチから、これをやろうとしているのは見て取れましたが、ペジェグリーニ時代からのメンバーだけで、短期間でこうも変わるかと感心しました。

2つめの変化は両翼の2人、スターリングとヘスス・ナバスです。彼らは、「相手の中央が整う前にSBを抜き去れ」と厳命されているかのようにアグレッシブです。昨季プレミアリーグでは今ひとつだったスターリングが見違えるような切れ味を披露しているのは、コンディションがいいからではなく、迷いがないからだと思われます。ヘスス・ナバスがダイビングヘッドでゴールを狙う姿を観たことがあったか、少なくとも記憶のなかから引っ張り出せません。この右ウイングは、最近2シーズンのプレミアリーグで1度もゴールネットを揺らしていない選手です。どうやらペップ・シティは、ポゼッションを取ろうなどとは考えていないようです。彼らが大事にしているのは、奪った後に速くゴール前に辿り着くことではないでしょうか。バイエルン就任初年度は1試合平均700本以上、ヘルタ・ベルリンとのホームゲームでは1000本を超えるパスをつないでいたペップのチームですが、一昨日のマン・シティは500本に満たない数字に終わっています。

そろそろ、このチームのキーマンを紹介しなければなりません。前線で決定的なパスが出せるデブライネ、ストライカーに求められることはおよそ何でもできるアグエロ、セントラルに下がってバランスを取るダヴィド・シルヴァはもちろん大事なタレントですが、ペップサッカーを支えているのはフェルナンジーニョとジョン・ストーンズでしょう。危ないエリアをいち早く察知できるフェルナンジーニョのカバーリングがあるからこそ、ピンチになる前に相手の攻撃の芽を摘み、最終ラインを高く保つことができます。ドリブルで敵陣まで運んでからダヴィド・シルヴァやデブライネに渡すシーンも多いジョン・ストーンズがどれだけ攻撃に貢献しているかは、ビルドアップの際に彼を追うとよくわかります。

一部の評論家や選手が、「ジョー・ハートを外すなどという冷酷なことは…」と怒ってらっしゃるようですが、ペップ・シティを真剣に観たら、少なくとも感情的な非難の言葉はあらためようと思うのではないでしょうか。トラップやキックが不正確なGKは、高いラインの裏を突かれることが多いペップのチームではリスクです。同様に、運動量に難があるヤヤ・トゥレや、ポカが多くポジショニングセンスも微妙なマンガラが放出候補といわれているのも納得です。

試合を観ていない方が、ストーク戦の1-4というスコアを見れば、「ペップ圧勝」「ストークの守備崩壊」と受け取ってしまうかもしれません。しかし実際はきわどいゲームでした。前半のアグエロの2発は、オタメンディの手とシャツをつかみ続けるという「しなくてもいいファール」を取られたショークロスのPK献上と、デブライネのFKをヘッドで叩いたもの。相手を崩したゴールは終盤までなく、後半開始早々にボージャン・クルキッチにPKを決められてから、途中出場のノリートがイヘアナチョの完璧なラストパスを蹴り込むまでの30数分は苦しい戦いを強いられています。ペップはフィニッシュの精度が課題と語っており、シュート数8対12のゲームを手放しでは喜べないでしょう。

それでも、私は思います。マンチェスター・シティは強くなった。今後、勝ちながらさらに強くなる。ペップは2年以内にプレミアリーグで優勝するだろう、と。9月10日のマンチェスター・ダービーは、モウリーニョさんは勝たなくてはなりません。オールド・トラフォードだからというばかりではなく、構築途上でありギュンドアンやレロイ・サネが未だいないチームを叩くのは、早ければ早いほどチャンスだからです。

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“【Stoke×MAN.CITY】辛勝だけど凄かった…チームを大きく変えたペップ戦略&采配に脱帽!” への4件のフィードバック

  1. シティふぁん より:

    昨季とは違うチームですね
    運動量が多く守備をさぼる人がいません
    マイクディーンのせいなのか、新しいルール変更があったのかわかりませんが
    あのPKの判定には驚きました
    プレミアリーグも優勝して欲しいですが
    やはりCL躍進に期待してしまいます

  2. yam より:

    ペップvsモウリーニョ或いはベンゲル。
    気になりすぎる。
    レスター戦をどうするかも意外に気になる。
    今年も強いのか?バーディー対策?
    レスターはつかみ所がわかりづらい。

  3. ぐら より:

    試合としては2点目直後のシーンでストークが1点返していれば…という感じでした
    しかしスターリングいいですね
    無理なドリブル突破ではなくパスを選択したシーンが印象に残りました。

  4. makoto より:

    シティふぁんさん>
    両方とも、今までなら、なかなか取らないPKでしたよね。CLは私も楽しみです。

    yamさん>
    レスターは、ボールを取る位置が低すぎて、カウンターがはまりにくくなってました。サイド攻撃の形を再構築しないと苦戦必死です。

    ぐらさん>
    スターリング、気持ちが乗ってますね。昨季以上の結果を出してくれると思います。

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